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■■■ 金曜日・初日【1】〜金曜日から出かけます ■■■

■■■ 【第1話】早起きは一文どころか・・ ■■■

 俺の朝は早い。なぜかと言えば

  ・朝早いと仕事がはかどる(電話番にならずに、誰にも邪魔されずに仕事に集中できる)
  ・電車で座れる(最近はちょっと座れないことが多いけど)
  ・夏の暑さをしのげる(冬はシベリア並みの地獄だけど)

という、俺にとっての利点があるからだ。 そんな俺にとってスタート直前ドライバー並の集中(ウソウソ)をしている時間に電話が鳴った。普通、朝早くの内線電話はたいてい宅配便(トップ便)で届けられるメーカからの部品であり、取りに行きたくないのである。しかるにおのずと電話をとる手のスピードが遅い。しかし受取人はたいてい会社にきていないという、全く頭に来るものである。一方、外線からの電話はたいてい、「今日、調子悪くて休みます」というものだ。

 その日にかかってきた電話は外線で、取ろうと思ったとたんに誰かに取られてしまった。そしてそんなことを忘れて机一杯に溜まった書類に目を通している時だ。
「佐藤、電話だよ。ロックタイトさんから」
「おおお、ロックタイトか。俺に何のようだろう?そういえば今ももめているあそこの接着の件かな?俺、そういえばまだこっちの営業の人と会ってなかったからなぁ・・・」と0.128秒のうちにシナプスに電流が流れた(ちなみによくドラマで「100万ボルトの電流が流れた」と言っている人がいるが、脚本家もちゃんと調べろと言いたい!)。そして「そうだ、こっちの営業さんに昨年の俺の桃源郷での出来事を話してあげよう」と、電話を取った。

俺:「もしもし・・・」

ロ:「あの、ロックタイトの大阪支店の I と言います。始めまして。・・・・・・・(いろいろ)・・・・・・・ところでGTのレース見に行きませんか?今度英田でやるんですけど・・・」

俺:「うっへぇ、いいんですか?いきますいきます。でもちょっと遠いですね。○○日に予定が入っていないか確認とっておきますので・・・・鈴鹿だとよく分かるんですが、英田は行ったことが無いのでちょっと心配です・・・」

と、来週もう一度電話をくれることで、話がまとまった。
家に帰ってかみさんにその話をしたら

「その日はこども劇場で”ジャズコンサート”よ。3人分の券買っといたのに・・・」

「うぇぇ、俺そんなの行くっていったっけ?」

と、またかみさんの機嫌を損ねてしまった俺であった。しかしめげることなく、インターネットで全日本GT選手権を調べまくりだ。F1一辺倒の俺にはルールやらドライバーやら、ぜんぜん分からない。こりゃあ内容を見るより、レース写真を撮るのに専念しよう。

 そして翌週。俺はもう行く気になっていた。

「英田といえば岡山だろ。F1も開催したとこだぜ。セナ様があの世に召される前のグランプリだったなぁ・・・」

と遠くを見る目になっていたのだった。しかしかかってきた電話は

「英田はやっぱり遠いですよね。最終戦の鈴鹿が10月の終わりにありますので、そちらに招待させていただきます。」

と、なんだか良かったようながっかりしたような。その後数週間を中途半端な気持ちで過ごしたあと、I さんからまた電話がかかってきた。開口一番・・・

「佐藤さん、F1どうですか?」

「(?ほへ?、なんて言ったんだ?今、確か”F1”って言ったぞ)

「い、い、いいんで、で、で、です、す、か、か、かぁ・・・?」

 おいおい、今年も行けるのかいな。どこかで超常現象が起きたような、予定外の大事で放心状態になっている夢見ごこちの俺なのであった。



■■■ 【第2話】準備をととのへ ■■■

 昨年は急遽決まったこともあって、準備期間がほとんどなかった。今年はそれなりに準備をするぞ。ポイントはやっぱり写真・デジカメだ。昨年は銀塩カメラで700枚以上、デジカメで200枚弱。あの時は”これ以上撮れない”というくらい撮ったと思ったけど、今見てみるとまだまだ撮ってもいい感じ。特に一般大衆受けするのはレースクイーンなのだが、あまりこの手の写真を撮っていなかった。自己改革して、大胆にならなくては。

 銀塩カメラは昨年と同じく、28〜70mmはコンパクトカメラ、70〜210mmは一眼のズーム、それに400mm望遠。そして問題はデジカメだ。デジカメの進化は早い。仕事のメリットを生かし、検討用のカメラを見繕って借りてきた。目指すはフジのファインピックス40iだ。比較には弟が持っていたオリンパスの2020zoom。どちらも名機じゃ。土曜日の朝6時、デジカメ4台持って朝の街をためし撮りだ。朝家を出るときかみさんに

 「最近、危ない人が出てるみたいだから、間違えられないようにね」と、忠告を受けて、いざ出陣。帰ってきて、見てみてびっくりだ。デジカメの進化ははやい! 何とまぁきれいに写ること。これじゃそく買い換えなくちゃ。

■■■ 【第3話】するする金曜日 ■■■

 出発前夜、1年前は呆れるくらい緊張して眠れなかったのがウソのように熟睡しまくりで、逆に寝坊した俺であった。大物になったものだなぁ・・・・ウワッハッハッハッハ!
 準備万全の今年は、事前に夜行等いろいろなルートを検討したのだが、やっぱり昨年と同じ朝一番の”のぞみ1号”に決まり。さすがに金曜日のウイークデー、サラリーマンが多く、何となく浮いたような。


 名古屋に着いた。去年は新幹線を撮りたくて、ホームに最後まで残っていたんだっけなぁ、なんて考えていたけど、1年ってとっても短い。昨日のように覚えている。そこでアインシュタインよろしく

”人生の時間感覚は年齢の2乗に比例する”

なんて論文を書いたら共感を覚えてくれる人が20億人くらいはいるだろう。

 新幹線の改札を出てあるく。去年はやけに長く感じた近鉄への乗り換えもまったく気にならない。そして迷うことなく”特急券用”の窓口へ。なんとまさに今、出発を待っていると止まっている7時50分発の特急券を取ることができた。去年はそれが取れなくて1本待ったんだっけなぁ。

 白子に着いて駅を出るとなんと目の前にバスがスタンバッテいる。そのまま乗ってすぐ発進。なんなの? なんでこんなにすいているの? 全く混んでないのにも拍子抜けだなぁ。 バスはおんぼろものだった。なんてんたって降りるときに押すブザーが超古い。レトロでいい味出しているっす。道路も混むことなくサーキットに到着。

 なんだかつきまくっている2000年の鈴鹿参りだ。


■■■ 【第4話】ディスプレー車で万歳(ウイリアムズ) ■■■

 サーキットでルンルン気分の俺のセンサーが”ピピピ”と反応した。何かこっちがくさい。本能に呼ばれるまま向かった先には・・・おおお、マシンが置いてある。ウイリアムズだ。BMWと組んでからマシンのカラーリング権をBMWに渡したそうで、えらくシックな、今のF1では珍しいくらいシックなカラーリングだ。


◆正面から撮ってて、いきなり心臓バクバク。展示車といえこんなに近くから撮れるなんて幸せ。金曜日はまだ人も少なくて寄れ寄れ状態なのだ。

◆フロントウイングのエンドプレートにはフラップのクイック仰角調整ネジが目立つのだ。これはモントーヤがアメリカのカートから持ってきたものって言われているのだ。

◆ウイングステーの内側には「セナ」のマークが今でも貼られている。



◆サイドポンツーンのリアにかけての絞込みはトレンドであるのだ。BMWの意向でモノトーンに仕上げられているマシンでは、コンパックの影とブリジストンのちょびっと赤がアクセントになっているのだ。

◆OZホイールも細スポーク化してきたぞ。ホイールセンターにはロックピンがあるのだ。

◆リアウイングエンドプレートにはウイングの角度を変えるための孔があけられているのだ。



◆フロントウイングの翼端版はいつの頃からか単なる薄板から厚みを持った翼形状になったのだ。これを知らなくてプラモの部品を薄々攻撃で薄くしちゃったことがあったっけ。

◆COMPAQがタイトルスポンサーなのであ〜る。文字も長くなく短くなくちょうどいいね。

◆リアのブレーキ冷却用の空気取り入れ部。カーボンの目がやたら目だってうれしい・・・




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