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レッドスペシャル・オールドレディーX線写真を読み解く

X線透過写真(全体編)

 レッドスペシャル解析に絶大な貢献をし、世の中のレッドスペシャル愛好家が狂喜乱舞した(と思われる)「X線透過写真」、これを良く見ると3枚の写真をつなぎ合わせたものだということが分かる。つなぎの境界はボディーくぼみ部と6フレット部の2ヶ所である。ボディー部はブリッジ部あたりを撮影中心、ネックハイポジション部は13フレットあたり、ネックローポジション部はナット部あたりが撮影中心であろう。

 このX線画像を良〜〜く見ると1〜6フレットはフレットが左側に膨らみ、7〜12フレットは右側に膨らんでいることからも分割写真ということが分かる。ボディー膨らみ部表裏のバインダーは均等な幅でずれている。なので撮影軸の垂直度はきちんと出ているようだ。これはX線撮影装置は工業製品であるからして、幾何学的撮影条件は信頼できるものであるだろう。

 このX線写真と同じようにCAD上で撮影位置ずらしたものを3枚キャプチャーし、おのおのの画像をつぎはぎしてみた図を示す。黄色い線が写真の分割ライン、水色のドットが各写真の撮影中心、各分割部分の撮影距離は逆算から1mとしている。

 ちなみにこのX線張り合わせ写真、実は右側のヘッド部は少し大きい。画像編集した人は完璧な仕事をしていない。なのでここではこの部分の写真だけ微妙に縮小している。弦ピッチと0フレットスケールを測ると分かるぞ。






X線透過写真(ボディー編)

 さて最も重要なボディー形状を決める際にも、やはりX線写真が大きな威力を発揮する。しかし気になるのは、「つぎはぎ」された画像ってどうなんだ、ということだろう。信じていいのか否か。前章では「撮影距離と垂直方向で撮影された写真は、同一面においては寸法のひずみがない」と導いた。工業製品であるX線撮影装置で撮影していればこれらのパラメーターは間違いようがないだろう、つなぎあわせであってもボディー表面に限れば正確なシェイプを保っているはずである。ということでいろいろ悩んだが、このページを書きながら自己学習が進んだ結果、

X線透過写真を「神」とすることが決定した。

 では、X線写真のように貼りあわせしたものがもし1枚写真だったら見え方がどう変わるか?をちょっと考察してみようと思う。こういう時にはやっぱりCAD図が役に立つのだ。では以下に2枚のCAD3D図をキャプチャーしたものを示す。

 【A】ブリッジを撮影中心とし貼りあわせをしていないボディー図
 【B】上記X線撮影と同条件でキャプチャした2枚の図をX線画像と同じ位置で上下貼りあわせたボディー図

見ようによってはあまり違いが見れないかもしれない・・・




 ではボディー写真貼りあわせ部分を中心にもう少し詳細に考察してみよう。自分でも驚いたのだが、X線写真と全く同じように深さ方向の見え方が全く同じになった。「驚いた」というのは変な話かもしれない。そうなるべきことが検証できたということだね。ということで、いくつかのポイントとなる箇所に番号付けをしてコメントを記す。



1.木ねじ(トップ/ボトムのブロックボード締結用) 撮影中心から離れるにしたがってボディー厚み方向のネジなどの部品は傾きが大きく見える。ブリッジ中心で撮影した場合とネック12フレット付近で撮影した画像を貼りあわせたものでは、当然であるが、傾いている方向が逆である。X線写真とばっちり同じ、よし!
2.左右角部分の上下バインダー見え方 この部分が一番違いの出るところだ。裏側のバインダーの見え方がかなり違う。ボディー中心側側から撮影すると裏側バインダーはほぼ表バインダーの内側に見えるが、分割の場合カッターウェイ部分は表バインダーの外側に見える。
3.ボディーサイド部の見え方 当然なのだが、貼り合わせ図のネック側は12フレットあたりからの撮影であるので、ネックジョイント側ボディーサイドが見える。
4.シールド用半田 93年の大改修でチャンバー部は銅箔シールドで覆われた。その銅シールドを電気的に導通させるため、あちこちに半田が盛られている。X線では金属である半田は真っ白にわかりやすく映るのだ。そしてX線写真貼りあわせライン近辺にも半田がされているが、この半田はボディー深さ半分の場所であるため、つなぎあわせの「両画像に」この半田が見えてしまっている。一つしかない半田だが、双子のように2個並んだ画像もX線画像とばっちり同じ、よし!
5.つなぎ合わせ部バインダー 表のバインダーはきれいにつながっている。これは貼りあわせをした人が上バインダー基準で行ったからである。しかし、裏のバインダーは理論通りにずれてしまっている。そのずれ方もX線写真をばっちり同じ、よし!
6.チャンバー側面銅箔シールド チャンバー全体に貼られた銅箔シールドであるが、X線撮影装置から見ると側面に貼られたシールドは金属密度が高くみえるため、X線写真では真っ白に見える。中央側(6a)より外側(6b)の白幅が太く見えるのは、撮影中心から離れた場所は撮影距離(深さ)に対するずれが大きくなるということに起因してるからだ。CAD図で見るとそれがよくわかる。そしてシェイプをトレースする時も太くなっている線のどちらを利用したらよいかもおのずとわかるだろう。


トレース時TIPS

 以上により、写真からボディー形状などをトレースするときは「Z(厚み)方向の決まった面だけを利用する」と結論づけた。具体的にはボディー表面だけ。厚み(ボディー深さ)方向の部位を参照するときは、その深さと撮影中心と思われる部位からのXY距離、および撮影高さが分かればなんとか推定はできそう。まあ参考程度にするのがよろしいと思われる。簡単に言えば、遠くのモノは小さくなり、近くのモノを大きく映るという至極普通のことである。




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