人生新しいやりたいことができると、毎日がわくわくして生きる活力がもりもり湧いてくる。この感覚は何物にも代えられないのである。早く家に帰ってあれこれ試したい。あー帰りたい、となる。
ZO-3ってのはスピーカーがついていて「音」が出せることが最大の特徴である。そしてその音であるが、アコギの代わりとかジャズです!って人には良いのだろうが、やっぱりエレキギター(昭和の響き)であるからして
、ギュイーンて感じのディストーションがかかった音で弾ける幸せを感じられると、もっともっとZO-3を手にする機会が増えると思われる。ZO-3のシリーズにもマルチエフェクターを内蔵したDigi-ZOってモデルがあるが、これは高すぎて手が出ない。
ならば作ってしまえ、というのが私の小さいころからのポリシーである。なければ作ればよいのだ。そしてその「作る工程」こそが楽しさの源泉なのである。それもまさにそれ!っていう部品を買うのではなく、なんでそれなの?という直接の関係なない部品、それを100均やユザワヤなどで脳みそをフル回転させて、転用できる部品はないか?と物色する変な人になるのである。それがうまくできた時の達成感たるや、麻薬の非ではない(麻薬なんてやったことないのでたとえですよ、たとえ)。
そんなことを考えていたとき、ふと通りかかったメンバーの実験机でなにやら「CANの解析はこうやって・・・・」と、頼まれごとさくっとこなしている若手(若手の基準はなんなんだろう?)がいた。そこにあったのが「ブレッドボード」である。ああ、これいい。学研のマイキットや電子ブロック(年齢ばれるね)よりもプリミティブでいい。これ最高と、家に帰って即探し、秋月通販でポチポチポチポチした。このブレットボード、連結型で大きくもできるのね。すごいね、考えてるね、考えてあるものって大好きだ!このブレッドボードの存在が回路検証のハードルを大きく下げてくれたのは言うまでもない。
さてやりたいこと=目標が決まると俄然張り切ってしまうのが日本人である。そして私も日本人の端くれであるからして、冬休みはディストーション回路検討に明け暮れた。ネットでいろいろ勉強すると、ディストーション回路としてはLM386(汎用アンプ)を用いてオーバードライブさせる方法と、ダイオードで信号をクリップさせる方法に二分されていた。フムフム確かにそうだ。
そしてまず試してみたのはLM386パワーアンプドライブ方式だ。しかしこれはどうも電流が流れすぎてしまう。これじゃああっという間に電池終わりじゃん。ダメじゃん、と即撤収。
次はダイオードクリップタイプである。ネットに落ちていたMXRのデッドコピーの回路をブレッドボードで作ってみて、ZO-3のアンプSPにつないでみると、おお〜すげーいい、すげーを越えていい、良すぎ、こんなにすごいZO-3最強。と脳内エンドエンドロフィンが大量に排出された。こうなれば寝る時間も惜しんで、中国製品質NGっぽいユニバーサル基板をアマゾンでど〜んと安く購入し、4558をドンとのせてディストーション回路が出来上がった。それをZO-3アンプに組み込んだら、最高のZO-3が仕上がった。ああ至福の時間。
このギターをソファーに置いておいたら、めったにものを褒めない息子が「このギターは最高じゃ」と叫んだ。それほどZO-3が自歪するとすごいのである。
何台か作ったディストーション基板であるが、そのうち、ZO-3のもともとのアンプを使うよりもアンプ回路をディストーションに同居させた方がよっぽどいいんじゃないか?ということに気が付いた。秋月にあるTA7302キットをはじめとしていくつかのアンプキットを買ってみて、一番バランスがいいTA7032をディストーション基板と同居させてみた。
仕事がら小さくまとめて作るのが私のアイデンティティーであり、結果、ディストーションアンプ基板はもともとのZO-3アンプ基板より小さく作ることができた。よし、これならZO-3内の既存アンプからのリプレースや配線も問題ないだろう。
初代ディストーション回路はMXRのコピーであり、デュアルのオペアンプの片側しか使ってなく、かつオペアンプの利得可変をつかさどる抵抗のうち入力側(利得計算で分母に来る側)を可変していた。これは抵抗を大きくすると利得が下がるので、ボリュームとしてはCカーブが欲しくなる。しかしCカーブなんてめったに売ってないのでBカーブで代用するのだが、やはりボリューム回転角に対する歪方が対数になってなくてよろしくない。
で、ネットを徘徊していたらオペアンプ2段で利得を稼き、初段と後段のオペアンプ利得調整抵抗を一つのボリュームで兼ねている回路があった。これはいい。即採用。そしてこの回路が今のところディストーションアンプのマイ標準となっている。
別に誰かに売るとかそういうことではない。ただ単にユニバーサル基板で作るのが嫌になっただけである。ユニバーサル基板って結構面倒なのだ。やっぱりちゃんとした基板で、部品を考えることなく孔に刺し銅箔面に半田するだけ・・・っていう基板にしたい。そういうスマートさにあこがれる。なのでヤフオクでたんまり買ってしまったが、ユニバーサル基板とはおさらばし、きれいな基板を作ろう一人プロジェクトが発足した。
基板を作るまでの流れとしてはざっくり以下のようになる。
@回路決定
A部品剪定
B基板アートワーク
C基板作成
ここでの一番のハードルはBの基板アートワーク(パターン作成)である。このアートワークも実はCの基板作成と密接に絡んでいる。どういう風に基板を作るかによって、どういうパターンを作成しなくてはいけないか?が決まるのである。
シーケンシャルに仕事をすると「まずこれが決まらなきゃ次にいけない」といういうふうになるが、自分ひとりでやってればそんなの関係なく、「走りながら考える」のである。行き詰ったら先のことから考えて、還流させてしまえばいい。だめな会社じゃ絶対に許されない手法だ。けどね、今の動きの早い世の中、じっくり腰を据えてなんてやっていちゃだめだ。過去の先人の事例を調べつつなんでもやってみることだ。自分だけでやる一人プロジェクトであればなんでもやればいい。こういうのが会社の仕事より断然楽しい理由だ。
さてどうやって基板を作るか?を考えつつもまずはパターン作成に「Eagle」っていう回路CADを使ってみた。規模が小さい趣味的基板はフリーウエアバージョンで使えちゃうのである。やってみると回路図がかっこよくスパッと描ける。いいねぇ。しかし部品形状を指定しないと基板アートワークに進めない。さらにパターン配線がちょっと考えている作戦とは違って普通の「線」になってしまう。実は基板作成にはローランドDGの「モデラ」を使うことを前からひそかに考えていて、でもその場合「線」でパターンが書かれるとちょっと厄介ってのがあった。う〜ん、どうしよう。
ではちょっと目線を変えて、基板作成をどうするか?を考えてみた。私が中学生の時以来基板を作る手法の基本は変わっていないようだ。古来からのエッチング手法である。
銅箔基板にマジックペンなどでパターンを描く。その後第2酸化鉄の液に浸すことで、インクなどでガードされていない部分の銅が溶けパターンのみが残るというものである。エッチングが終わった後は地道に部品用の孔をあけなくてはいけなく、それがめちゃくちゃ大変である。中学生の頃はこれを実践していた。お金のないころであり、パターンはマジックインキで描いていた。
調べてみるとエッチングもアマチュアレベルでは進化をしているようだ。まずパターン描画手法が進化している。PC上でパターンを作画したたらそれをレーザープリンタで出力し、生基板に転写しているらしい。ほぉ賢いね。今までマジックペンでしこしこ書いていたのからは進化である。さらに第2酸化鉄でのエッチングもジップロックに液と生基板を入れてやっているらしい。うむ賢いね。で、まとめると
○よいところ
・特別な装置を必要としない
×大変なところ
・基板にパーツ分だけ孔開けが必要
・レーザープリンタ出力の生基板へのパターン転写
・第2酸化鉄廃液処理
特別な装置を必要としないのは良いのだが、やはり人手がかかりすぎる。こういうところをもっとスマートにやりたいのである。それは機械に頼り自動化を進めるということだ。で、やっぱりNCに進む。
思案して考えればおのずと解が出るものだ。いままでは回路パターンを削り出そうと思っていたが、とあることから境界線を削ればいいという発想に転換したら、あららら・・・と、課題が一気に解決に向かった。そして今は「基板生産」が標準化されている。その辺のハウツーを説明しよう。
簡単にできるようにエクセルを利用している。縦横のグリッドを正方ピクセルにして、1セルの縦横を1/10インチとしている。抵抗、コンデンサ、ダイオード、オペアンプ、ピン等々の絵を描きパーツ化している。そして回路図を見ながら部品配置とパターンを描いていく。通常パターンはグレー、電源系はオレンジ、1/2オフセット電源は紫と色分けしておくと回路の内容がすぐわかってよろしい。この回路図はあくまでも回路パターンを描くためのものなのである。お絵かきであり、このデータは何ら利用できない。
上で作った部品配置やパターンをCADに置き換える。なぜCADか?というと、この後出てくるDrEngraveというCAMアプリがdxf形式を読み込めるからである。
作業としてはエクセルで作ったパターンを単純にCADに置き換える。なら最初からCADで描けばいいじゃん・・・という話が出るが、CAD(ライノセロス)は線画になるのでパターンが見えにくいのだ。実際に描くものは
@パーツ(灰色)
Aパターン(水色/紫/赤)
Bパターンセパレート線(水色)
C孔ライン(赤)
D外形
である。
ここで話を進めるためには、DrEngraveの話をしなくてはないけない。モデラは普通のNCである。このCAMアプリ(MP4:モデラプレーヤー4)で基板を作ろうと思うと、削るべきところ(パターンじゃない部分)を「面」で削るように動く。細かいパターン部分を再現しようと思うと、そのパターン間隔以下の径のビットを使わなければいけない。そのすごく細いビットだと広い面を削るのにひたすら時間がかかる。これじゃぁどうもうまくない。と壁に突き当たった時も助けはネットにあった。DrEngraveというアプリを使えばいい。
DrEngraveは「彫刻アプリ」と呼ばれている。何が彫刻かはよくわからないが、普通の使い方はビットマップでデータ入力し、黒く塗りつぶされた部分をひたすら削るようだ。つまり小学生の時に作った「版画」をつくるようなもののようだ。しかしこのアプリ、dxfファイルのインポートができるのである。それこそがこのアプリの真骨頂なのである。
線データであるdxfファイルを読み込み、面ではなくその線データ上を指示した深さでそのままトレースするのである。当然エンドミルの径なんかをDrEngraveが認識することはなく、ただひたすら線をなぞるだけである。しかし、この単純な機能が欲しかった。0.8mmや1mmのエンドミルで「パターン境界線」をなぞれば、それはすなわち「パターンやランドがすごく大きな基板」として出来上がりだ。高周波云々とか言わなければ機能的には何の問題もないのである。
正直このDrEngraveはモデラのおまけみたいなアプリで、今までそんなものがあったことすら知らなかった。またこのアプリ、実に使いにくくWindows95時代の遺産のようなアプリだ。使いにくくともこのアプリじゃないとできないことがある。私の取っ手の基板作成の肝アプリであった。
このDrEngraveに入力するデータをCAD(ライノ)で作るのだが欲しいデータはBパターンセパレート線 C孔ラインである。パターンセパレートラインはそのままであるが、面倒なのは孔ラインである。なぜ「孔」ではなく「孔ライン」か? それはDrEngraveが線データのままエンドミルを動かすからである。つまり穴をあけるのは極小の丸ラインをトレースすればいいという考えである。
とういことで、CADではBパターンセパレート線とC孔ラインを銅箔面から見た形にしてdxf出力をするのである。
DrEngraveはプリンタドライバである。プリンタとはターゲットであるモデラ(NC)のことである。しかしプリンタを接続したPCでないと、設定ができないのだ。つまりオフラインのPCで切削条件データを作れない。NCにつながったPCで毎回チマチマやらなくてはならない。くぅーやりにきー
【DrEngraveの基本設定】
●グリッドピッチを1/20インチ(mm)に設定
(基板の標準孔ピッチである1/10の真ん中、もしくは外側にラインを引きたいことがあるため〜主に基板きりだし外形)
●
まず上で作ったセパレートパターン
ZO-3コンセプトのレッドスペシャルを作ろうか?と通勤で「歩きながら考える」時間を妄想に充てている。ボディーサイズや外形アウトラインのディフォルメなど、あれこれ妄想すると楽しくてしょうがない。さて新しくいろいろ作るとなると、そこに利用するコンポーネントをどうするか?という問題に突き当たる。ZO-3コンセプトの場合、スピーカーがそれにあたるのだ。
スピーカー。超アナログで昔からあるけど、電気信号と物理量(空気振動)変換機としてはこれに勝るものがない。そのスピーカー、ZO-3に組み込めるものでよいものがなかなかない。要は大きさ(口径、厚み)とコストである。その辺はこの章の骨子ではないので深くは語らないが、要はスピーカーを探すために、夜な夜なネットサーフィンを続けているのだ。そんなネットサーフィンをしていると、アマゾンの「おすすめ」が役に立つのだ。プルでなくプッシュ、このプッシュ型のサービスはその何をプッシュするか?のエンジンが賢くなると途端に便利になる。今回スピーカーを探しているときにであった「エフェクター本」少しクリックしたらまた別の本がドバーッと「おすすめ」され、そこで異様な評価を得ている本に出会った。それが
「サウンド・クリエーターのためのエフェクタ製作講座/vol3」
である。2015年6月時点でのレビューで★5個x12、★4個x1という、ハイスコアなレビューを得ている本だ。エフェクター作成をやっているが、やはりアナログ回路の基礎をしっかり勉強したいという気持ちが日に日に高まってきてて、それに最適な本である。
そしてvol1/2は廃刊、また
モディファイ