ことの始まりは・・・
そう、それはいわゆる先進国と呼ばれている欧米から始まった。。例えば昔のセナ全盛期赤白マクラーレン、シューマッハが台頭してきたベネトン、今のフェラーリ、共通しているのは???? そう答えはタバコスポンサー。これらのチームはタイトルスポンサーがタバコ会社で、マシンにはMarlboroやらCAMELやらRothmansやらのステッカーがインダクションポッドやら、サイドポンツーンやら、リアウイングといった一等地にでかでかと貼ってあったのは皆さんも良くご存知のことだろう。
ちなみに今は嫌煙家(だってタバコを吸う人ってマナーが悪い!・・・人が目に付くから)の私も昔は紫の煙をぷはぁ〜とふかしていたと言うこともあって、とりあえずいろいろと買ってみた。
ちなみにwastはあくまでもブランド名であり、会社名だとリーツマンになる。日本だとJT、Marlboroだとフィリップモリスなのである。下のwastはF1仕様だ。ノーズからの赤いラインが箱にも模されている。Marlboroはレギュラーのもののフォントが見慣れたフォントとは違っている。F1で見慣れたフォントは右側だ。これはテレビで視認性が良くなるために太くしたってのが理由だろう。
しかし90年前半のドイツGPやイギリスGP、今はもっと増えてフランスGPやアメリカGP、将来的には欧米全土において、テレビに映っているマシンを見るとなんだか間抜けに見えることになるだろう。それはタバコマークが全く消されているからだ。国によって規制度合いが違うので、マークの変え方もいろいろあるのである。これは別途説明しよう。タバコ以外にもフランスなんぞはアルコール系の広告も禁止だったりするのだ。まあF1はそれほどアルコール系の広告は多くないので気づくことは少ないと思うが・・・
そしてその広告規制が90年代半ばから日本のトイ市場にも持ち込まれてしまった。そう、気持ちとしては”しまった!”という心境だ。「プラモデルはおもちゃであり、子供が遊ぶもんだからタバコ広告なんていかん」・・・ということらしい。確かにマールボロの親会社であるフィリップモリスなんて、「おまえらのつくるタバコのせいで俺は肺がんになってしまったじゃないか、どうしてくれる?」なんて裁判起こされて大負けしていることもあるし、慎重になっちゃうのも分からなくも無い。
この対応として田宮のプラモデルに入っている90年前半までのマシンには、デカールなどはMarlboroマーク部を上部に集めて、タバコ規制が厳しい国とそうでない国への、出荷の対応を取りやすいようにしていたりした。また1/43のホワイトメタルキット(こんなもん子供が作るわけ無いのに・・・)はHな週刊誌の袋とじH写真よろしく、いかにも怪しそうな黒袋にタバコマークだけ隠して同梱なんて、いかにも”私悪いことしています”的に対応しているのである。
しかしレースカーなんていうものはカラーリングとマーキングが命みたいなところがあるので、タバコマークがないマシンは模型的にも全くの片手落ちになってしまう。”クリープのないコーヒーなんて”的なニュアンス、分かってもらえるだろうか? 普通というか資金的に余裕があれば、サードパーティーから出ているタバコデカールを買うのが正攻法である。このアフターマーケットのデカールというものは、それこそいろいろなものが発売されていて、見ているだけでも楽しくなっちゃうものだ。一度模型やさんでご覧あれ。しかしこのデカールはキットの価格と同じくらいしちゃったりするので、大量仕入れモデラーである筆者には全く出来ない相談なのだ。
じゃあどうするか? 答えはひとつ、自分でつくっちゃうのだ。
◆Marlboro
マークの基本形は二つ。一つはリアウイングやフェラーリのフロントノーズに付くような単なる”Marlboro"の文字。もう一つはマルボロシェブロンとよばれている、赤の逆三角形ライクな下部にMarlboroの文字が入るもの。文字だけのところだと、バーコード状になるのが一般的で、90年代のマクラーレンは田宮からの進言もあって”McLAREN”なんてチーム名を入れたこともあった。今のフェラーリのモノコック前部だと昔のフェラーリよろしくマークなしだ。マールボロシェブロンの方は、Marlboroの文字が空欄になっていたり、さらに厳しい規制だとシェブロンが三角形から長方形に変わったり、もっと厳しくなった昨今(フェラーリで)では真っ白になっていたりするのだ。面白系だとタミヤのMP4/8はシェブロンの三角形をさけるためか、三角の頂点部分が丸まっていたりしたのだ。要はMarlboroがなければというわけではなく、三角形がMarlblroを連想させてしまうのでだめよ・・・と言うことらしい。う〜ん、シビア!
◆CABIN
CABIN(日本たばこが最初にスポンサード下時の銘柄・・・今はMILD SEVEN)は凝っていた。CABINそのものの文字が無ければよいと解釈して、だまし文字とした。”Challenge your spilit IN”の小文字部分を小さくし、C○○IN(○には小文字が入る)とした。書体が同じだとそれらしく見えるのね。
◆CAMEL
CAMELはゆるい規制の時はおなじみのらくだ絵として、厳しい規制になったときは、文字を丸くデフォルメして分からなくしたりした。
◆マクラーレン
Westにタイトルスポンサーが変わってから、タバコ規制のあるグランプリではドライバーの名前をWestの文字に当てていた。MikaやらDavidやらKimiやら。シルバーとレッドのブラシシェイプもあるんだぞ。
ちなみにもっともタバコを関係が深かったチームと言えば、マクラーレンであることは疑いがない。JPSブラックのロータスとともに赤白のマールボロシェブロン(三角もよう)をマシンのカラーリングにしてしまったデザインは、F1を良く知らない人でも分かるくらいのアイデンティティーがあるものだ。
そのマクラーレンもセナが抜け、ホンダにも去られ94年ころからは凋落の一途をたどっていた。そんな時期にマクラーレンを支えたハッキネンは花道を歩いてきたシューマッハと違って”苦労人”の感が強くなるのは致し方ないことだ。そのマクラーレンの成績不振のためだろう、長年タイトルスポンサー・・・というよりマクラーレン=マールボロと言っても過言ではない関係のマールボロ(フィリップモリス)は96年いっぱいでそのスポンサーを降り、大々的にフェラーリに乗り換えた。
マクラーレンもそれを機にメルセデスのコーポレートカラーであるシルバーを基調とした現行カラーリングに移行した。この現行カラーリングは黒・メタリックグレー・シルバー・白のグラデーションといった非常に凝ったものだ。そしてワンポイントになるのがフロントノーズ下の蛍光レッド。これこそ究極のタバコ広告だと思う。だって全体がタバコなのではないか? ノーズの赤はタバコの火、そこから煙(=グラデーション)がゆれているって思えないかい?