今回の改造での大きな方針に「安く改造する」というものがある。その一環でサンバーストなる「レッドスペシャルじゃないじゃん」カラーを落札したのだった。そして色を塗り替えるという非常に大きな作業を敢行しなければならない。まあギターリペアを手がける身であれば「リペイント」は避けられないテクであろう。今回はこの辺のスキルをつける意味でもあるのだ。
まずは色をはがすところだ。ちなみにまずは目立たないだろう裏面から練習を兼ねてスタートである。しかしどうやってはがせばいいのか?さっぱりわからないので、とりあえず「スクレイパー」でしごいてみることにした。印象としては、トップのウレタンクリアー層がパリパリとはがれてくれるという算段である。結果としては「ぜんぜんだめじゃん」である。この方法は玉砕だった。じゃ、ひびを入れてそこからパリパリはがしていけないか?ということで、スクレイパーの端っこで裏の目立たなさそうなところをガツガツ叩いて塗面にひびを入れた。が、そこからはがれてくれることもなかった。ガツガツ叩いたところは、図2のように痕が残ってしまった・・・
そこで方針転換。まずは電動サンダーに登場いただいた。100円ショップで買ってきた網状やすりを取り付けていざ削る。うん、それなりに削れる。だが電動がいまいち手になじまない。平面をがりがり削るのはいいのだが、曲面はまずだめだ。それに場所による力の微妙な入れ具合もうまくできない。10分トライして「次の方法」に変更することにした。
そしてこの次の方法が一番しっくり来た。それはただの「ペーパーホルダ」である。サンディングペーパーをただはさむだけのものだ。これが一番いい。力加減とかスピードとか超アナログコントロールが可能なのだ。ロボットはいつの時代かに来るだろうが、やっぱりいつまで経っても人間のこの微妙な「加減」をまねすることは難しいだろう、と思ってしまう。しかしこの表面のクリア層は分厚い。削り粉は大量なんてもんじゃない。マスクをしないと肺が粉塵でやられてしまうだろう。さらに体が感じたことがある。これ以降たくさんのギターの表面塗装除去を行ったが、このクリア層を削ると決まって同じ「臭い」がするのであった(同じ塗料なんだろう)。体で感じたこの「感覚」は絶対忘れないだろう。
まずは背面がざっと削れた。まだサンバーストのカラーがまだらに多少残っているが(図7/8)、まあ軽くサンディングすれば取れるだろう。そして面倒なのはサイドやネックといった曲面である。がこれはまた別途である。
ここで発見。サンバーストカラーのあるまじきBurnsレッドスペシャルであるが、エッジのバインダーのサイド面は0.5mmほど黒塗装でバインダーを隠していることが分かった(図10)。クリアレッド塗装のモデルはここがどうなっているのだろう?塗装をしてからバインダーを貼るか、バインダーを貼ってから塗装をするかによってここは変わってくるところだろう。サンバーストモデルを見ることで、当然「バインダーを貼ってから塗装」ということが分かる。サンバーストは黒で塗りつぶせるがクリア系の場合、それをやろうとすると、バインダーの境目でシビアにマスキングをしなければならない。量産モデルでそんな面倒なことはしないだろう。だとすると、オリジナルライクなBurns赤RSはバインダを張る前にクリアレッド塗装して、その後にバインダーを貼っているのか? う〜ん疑問である。
さて表側もサンディングだ。実はここでは多少時間軸がずれている。なぜかと言えば、すでにボディー表面のPU位置移動のザグリと、トレモロユニットが収まる半月状のザグリと、ブリッジ下の穴埋めを終えているからだ。なぜこういう順番になったかというと、表面の塗装下地仕上げを最初に行ったあとにザグリ加工をすると、トリマーやらのこすれでまた傷がついてしまいそうだったからである。
表のサンディングは裏を経験しているため、進行度合いが早い。何事も経験なのである。そしてほとんど終了。表(図13)、裏(図14。ちなみに左にある木はベンチの木をサンディングして塗りなおしたところ。表はまだ少し塗装が残っている(図15)。サンバーストってのが良く分かるのである。ちなみに半月状のザグリはなんかいい感じ・・・(図16)。
きれいに塗装をはがしたBurns。これならナチュラルでもいいんじゃないの?と思えるいい感じの色である。
さてここで分かったことは以下の通り。
-表面のウレタンクリアは強固
-ウレタンの下にカラー塗装がしてある
-カラー塗装の下は「木」ではなく、なにやら透明層がある
この透明層、調べたら「ウッドシーラー」もしくは「サンディングシーラー」というものらしい。この辺の木工塗装は模型と違って全く未知の世界であり、勉強である。このシーラー層をうまく残しておくのが良さそうだ。だが思ったよりこのシーラー層は厚いみたいで、それなりに削ってもなかなか木が見えてこない。でもサクサクサクサク気持ちよく削れるので、勢い余って削りすぎちゃわないのがポイントである。ちなみにやっぱりエッジは勢いがついてしまい、木部が露出してしまった。