さて、大学も半ばを過ぎるとギターの熱もだいぶ鎮火しきた。さすがに黒のレスポールカスタムなんていうシェイプはなんとなく時代遅れっぽく、さらにトップエッジが腕に当たるのが痛いっていう理由もあった。弾かなくなると、弦はさびるし、金属パーツもボロボロになるし、加えて指先も本来のふにゃふにゃになってしまい、もっと弾かなくなる循環が繰り返されるのだ。
社会人になって、とあるイベントで結構な額の商品券をゲットした。と同時になんとなくフェンダージャパンのカタログを入手したりもした。そしてだんだんと「ストラト」への欲求がむくむくしてきた。だいたい初めてエレキギターを買うときには、「レスポールタイプ」か「ストラトキャスタータイプ」のどちらかを選ぶのが我々の世代なのである。今のガキんちょはメーカオリジナルななんだか良くわけのわからないモデルを持っているが、そんなのは許されないのだ。
10年以上レスポールタイプだった私は、(たとえ話として)今の従順な彼女じゃない、なんだかちょっと悪っぽい女性とも付き合ってみたい・・・っていう感情があるように(えっ?そんなのない?)、ストラトへの恋が膨らんでいった。まあ中学の頃から、ストラトのその「なまめかしい」ボディーにはぞっこんなのであった。特に正面向かって左側を横から見たときのそのシェイプ(ボディーの削りこみ)といったらもう芸術品なのである。さらにダブルカッターウエーなのでハイポジションが弾きやすいし、なんてったて、トレモロアームがついている。さらに人間工学的に考えつくされた、っていうよりも邪魔なところを削りましたっぽい、そのシェイプのおかげで美しさと、腕があったっても痛く無いという一石二鳥を得られるっていう、のぼせている時はいいところしか見えていない状態で一気に楽器屋に突入した。
狙ったのはフェンダージャパンの中上級モデルであるSTR-850LSである。楽器屋は町田のタハラ。商品券を握り締め、「これ下さい」と男らしく悩まず「ドン!」ってな具合で店員さんへ声をかけた。まあ実際はここに来るまで散々あれこれ思案したのは内緒なのである。そして店員さんはおもむろに飾ってあるギターを梱包っていうかソフトケースにつめ始めた。あれ?新品があるんじゃないの?と思ったが、太っ腹を装い、何気ない風を装った。ところでギターって展示品を買うのって当たり前なのか?まあ木製品なので、その木目の美しさとかを納得して買うなら現品が一番なのだろうけど・・・
●カラー:オレンジサンバースト
●PU:レースセンサータイプ(フロント/ミドル:シルバー、リア:ブルー)
●ペグ:GOTOH製
●弦幅:34.8mm(ナット) 44.0mm(12フレット)
●ネック幅:43.0mm(ナット) 53.0mm(12フレット)
●ネック厚: mm(1フレット) mm(12フレット)
●質量:4.5kg
このオレンジっぽいサンバーストがかっこよくてしょうがない。さらにリアのブリッジ駒が従来の板金ものからアルミダイキャストに進化している。PUもマグネットピースがカバーで隠れているレースセンサーってのも、新世代のストラトっぽくてかっこいい。5ポジションスイッチなので、いわゆるハーフトーンが出せる。歪ませないか軽く歪ませたくらいだと、ハーフトーンが美しいぞ。ジェフ・ベックのシーズ・ア・ウーマンあたりを弾くとうれしくなる。
しかし唯一気になるのが、電池である。プリアンプを必要とし006P電池をつけないと音が出ないのである。それにシールドを刺すとパワーonなので、シールドつけっぱなしでしまうことができない。
いつ見ても思う。レスポールは工芸品だけどストラトは芸術品だと!