70年代に学生だった音楽少年は、大体にしてジェフ・ベックが好きで、来日した時に使っていた、白ストラトにシェクターPUを載せ、3SWなモデルに心を奪われた。そして私の中ではそのストラトは純白カラーの白であって、どこかのハードオフで白ストラトを買ったとき、「これはジェフベックモデルに化かそう」と決めた。でも月日が流れすぎてしまった・・・
で自分のサイトを見直してみたら、ちゃんと買った時からそういっていたのが判明した。ここ参照。
このジェフストラトに搭載されているPUは、シェクターがPU+PG+SWのアッセンブリで供給したものらしい。PGはアルミ製、通常のストラトSWではなく、トグルスイッチが3個マウントされている。3SWの機能がいまいちよくわからない。タップだったりフェイズだったり、もしくはシリアル配線かもしれない。でも、私としては見かけが似ていればOkという「ヘタレ」であって、でも見かけ・・・は大事なので、スイッチ選択に注力したりするわけである。
さてこのストラトを分解しPGあたりをまじまじを見てみると、このPGアウトラインがボディー外形からオフセットしたラインに合致していない。まあ安物にそこまで求めてもしょうがない。で、どうせ作り変えるのだから、ちゃんとしたラインを再トレースしなおすこととした。
まずベースになる安物ストラトについていたPGをスキャンした。これをCADに取り込んで、CADデータとしてPGラインを作成する。3つのSWはストラトのレバーSWの場所に、昔のジェフのストラト写真から採寸したピッチで描く。同様にストラトの3ノブ(VOL+2TONE)も2ノブに変える。これをプリントアウトして、本体に重ねて、さらに修正してを何度か繰り返し、PGデータを作成する。
しかしこのPGデータはあくまで「この」ストラトボディー用専用であって、ほかのモデルにはたぶん使えない。
データが作れれば次は実際にNCで切り出す。しかしこの切り出しも結構スリリングである。買ったアクリル板の工法(キャストか押し出しか)と切り出すバイトの関係で、切削負荷が高すぎて、アクリルが溶けてしまうことがある。で、実際今回も溶けた。なるべく切削深さ方向のピッチを小さくして、負荷を減らしたつもりだったが、どうやら中華製バイトだったので歯の痛みが早く、切削負荷が高かったようである。まあそれなりの値段だからしょうがない。
こういう時、切削の途中で見に行った時に溶けたにおいがして、「あーーー」と叫ぶのである。今回は早めに見つけたので、板を裏返して国産バイトで再切削とした。アクリル高いしね。
今回は黒アクリルの在庫がなかったので、透明アクリルに塗装することとしている。
実はこの3SWのストラトは、マニアはスイッチにもこだわっているらしい。まずスイッチを留めるナットが六角ではないらしい。丸形のローレットが切られているもの。在庫にあったような気がするが、見つけられかった。さらにスイッチの一番ネック側のものが別仕様のスイッチ(頭が赤)らしい。あとボリュームノブはテレキャスのもの。この辺りはジャストなものがないので、それらしいもので代替えしている。
このストラトの特徴はシェクターPU+PGAssyってあることは間違いない。そしてその一つの特徴であるPUを模すとき、3つのポイントがある。
1.PUカバーがない
2.ポールピース径が大きい
3.ボールピース頭とボビンプレートが面一
当然私のことであるから、安物ギターのPUを活用するのは必須である。安物ギターのPUポールピースの直径は今回作ろうとしているシェクターPUより小さい。ってことで、薄い金属プレートを切り出してポールピースの上に貼り付けようとも思った。けど、面倒なのでやめた。PUカバーがなくボビンのトッププレートとポールピース面一なのは何とか再現したい。でもボビンを新しくするのはちょっと大変。なので、PUケースを切り出してボビンっぽくすることとした。この時に使うPUは、ポールピースのエッジ丸まっていない、エッジがたっているものをチョイスる。
であるからして、PUカバーを薄く切り出し、ボビンに似せることにした。当然ボビンに似せるため、わざと粗さを演出する塗装を施すのである。