フランケンの中で一番人気なのがこの「黒白赤」のフランケンである。ZO-3フランケンシリーズでは4台めの作成になるので、ちょっと冒険してみるとこにした。それはトレモロユニットの新規組み込みである。「素」ZO-3は固定ブリッジである。これをシンクロナイズドのユニット改造するわけだ。久々の改造にちょっとわくわくするのである。その辺の改造記を書いてみよう。
まずは簡単にいけるネックヘッドの塗装から行ってみよう。黒白赤フランケンはネックの違いによりさらに細かい時代考証ができるのである。今回はZO-3のヘッドがクレイマーのバナナヘッドに似ているということで、後期のバナナヘッドバージョンにしてみることにした。まあ「似ている」っていう理由よりも以下の二つの理由がお起きのだが・・・
●ヘッドにあるストライプ柄が派手でうれしい
●もともとあるZO-3のヘッド塗装をはがさなくていいので楽チン
ヘッドの塗装をはがすのは結構面倒なのだ。なので、軽くサンディングしてその上から塗装をすることにした。バナナヘッドフランケンの場合、ストライプ塗装はヘッド表面のみである。ヘッドのサイド(厚み部分)はマスキングだ。
まず黒塗装、そして残す黒ストライプ部分をマスキング。ZO-3の場合、オリジナルと同じストライプを施すのは無理なので、適当にテイストが残っている感じでよい。それが楽でいいね。
そして白塗装。マスキングテープをはがすといい感じのストライプが見えた。この瞬間がいい!
次は残る白分のマスキングだ。オリジナル形状じゃないのでマスキングが楽だ、と書いたが、やはり形状差による無理な場所がたくさん出てきて、それなりに大変だった。
そしていい感じに仕上がった。しかしマスキングテープもしくは上から吹いた塗料の溶剤による下塗装の劣化が結構大きかったのと、塗装後のサンディングによって、白の色調が結構汚くなった。なので、汚くなった白部分だけもう一度白を吹く事にした。当然繊細な塗装になったのでハンドピースを使うのだ。
冒頭にも書いたとおり、ボディーはシンクロナイズドトレモロユニットが取り付くように加工することにした。まあ実験的意味合いが濃い。しかしもともとストラト用に考えられたトレモロユニットなので、ZO-3に展開するにはそれなりに考えなくてはならないところがあるのだ。で、加工方針と課題は以下の通り。
1.ボディー加工形状を決める
2.厚み方向の深さを決める(シンクロ〜トレモロはボディーの薄いストラト向けなため)
3.ボディーバックスプリング部の再設計(ストラト用の長いスプリングが入る余裕が無い)
もしくはプッシュ型のスプリングにするか?(Burns改造で大成功だったので)
ということで、1は現物トレモロユニットを見ながら決めた。2は裏側のスプリングユニットを深く削りこんだ。3はばね定数の大きな短いスプリングを5本利用することにした(最終的に決まるまで、トレモロが動かないようにロックしてある)。
ZO-3の場合、弦のテールエンドはボディー裏に埋め込まれた金属パーツだ。加工する前にこれを取り除く必要がある。どういうパーツなのだか分からないので、まずはパーツの周辺にドリルで穴をあけ、ノミで落としていく作戦をとった。しかしノミが思いのほか食い込まない。
なので作戦変更。金属パーツにタッピングスクリューを無理やりねじ込み、そのスクリューごと抜き去る作戦だ。これはビンゴ。気持ちよくサクサクと金属パーツが抜けた。ハラショー!
いよいよボディーに刃物を入れる。ボッシュのトリマが大活躍だ。しかし集成材の木は柔らかいのでさくさく削れてしまうぞ。表側はあっさり終了だ。
トレモロブロックはジャンクギターから拝借した。アーム棒のスリーブ部分だけ出っ張っていたので、それをよけるために内側だけ削った。ボディーの余計なねじ孔はお約束の「爪楊枝+タイトボンド」で補修だ。そしてトレモロ固定用のタップ穴を開けて準備完了。
次に裏側。手持ちのバイトだとZO3の厚いボディーを裏まで貫通できるほどの長さが無かったので、気合一発で位置決めしようかと思ったが、ドリルで貫通させて、そこを基準にすることにした。なんとまあきれいに削れたこと。コーナー部に電装系側とのやり取りできる孔が出来た。これは弦とのアース取りに使用する。またトリマ削りの最初のとき、テンプレート代わりに使っていた板が動いてしまい、余計なところを削ってしまった。パテで埋めておこう。
さてお約束の塗装である。毎回同じ塗装シーンばかりでは飽きちゃうのであっさりと。実は黒塗装の黒が弱かったのか、黒の上に吹いた白の溶剤が強力だったのか、いずれにしても、白を吹いたら黒が溶けてしまい白と混ざってしまった。もう一度あのマスキングをやり直す気にもなれず、そのままにしておこう。まあフランケンだし。
ジャンクZO-3で良くあるのが、バッテリーボックスの破損と006P電池スナップの破損である。今回はまずふたがない。なら作る。あとスライダ側の爪が折れている。爪はレギュラーZO3と違って、ふた側に薄いプラ板を作って回避、ふた開くときにスプリングはギターの5弦がちょうど良かった。
さて今回のZO-3はちょっとレアである。8本所有するZO-3も微妙に違いがあるが、このZO-3はえらく初期型と思われる。それは「スピーカーネットにお金をかけている」からである。通常のZO-3はスピーカネットは平面である。つまりボディー表面から10mmくらい下がったところにスピーカーネットが位置する。そのため樹脂の部品で丸穴周囲を化粧しているのだ。しかしこのZO-3はそのスピーカーネットがプレスでフォーミングされている。つまりプレスというひとつ余計な工程を得ているのだ。たぶん途中から樹脂エスカッションの方が安上がりとなったのだろう。貴重なZO-3である。