グランドスタンドのVIPロード(俺が勝手に付けた名前)を駆け上がり、スタンドの外に出てびっくりだ。なんとまぁたくさんの人がもう帰路についているではないか。もう朝8時台の横浜線と同じだぞ。M事業部長が早く帰ることに躍起になっている理由がよくわかった。サーキットに来るときは時間も日にちもバラバラだし、サーキット付近にキャンプしている人も多いようだ。集まるときはバラバラだけど帰るときは一斉なもんだから、こうなっちゃうのね。
混み混みの人の中をロックタイトご一行がバスへ向かっていく。おみやげを買う暇なんてありゃしない。本戦後のショップは結構投げ売りしてるのかな? そして何とか朝乗ったサロンバス2台に便乗して、さあ出発。4時だった。p>
が、駐車場を出るまで30分、その後サーキット前の交差点に到着するまで1時間(約400mくらい?)、ホンダの鈴鹿事業所を過ぎてから少しは流れたのもつかの間、東名阪の鈴鹿インターに乗ったのはサーキットを出て3時間以上も経ってからだった。高速に乗ったからといってマクラーレンMP4/14のようなスピードが出るわけがなく、俺が毎日乗っている”マクリアムトン号(3段変速付きママチャリ!)”ぐらいのスピードが精一杯だった。
途中30分程度の休憩をとって再出発したが、このころからロックタイトスタッフの関心は帰りの新幹線に移っていった。まあ俺だって、どうやっていつ頃帰ることができるのか、心配ではあった。当初のスケジュールでは名古屋までの帰りの時間は4時間で、8時には到着する予定であった。が、ぜんぜんだめ。スタッフは指定券の予約をしていたようだが、悲しいかな、キャンセルの憂目にあったようだ。
今回のツアーでやたら神経を使っただろうスタッフの女性2人は、無事に大役を終えた充実感と肉体的限界のためだろう、帰りのバスのなかで熟睡してた。が、最後の大仕事のため疲れた体に鞭打って、新幹線の件で大活躍を始めた。
携帯で連絡を取り合っているのは、後続のバス組と、別ルートで帰路についた朝俺を迎えてくれたUさんであった。Uさんは所用で借りていたレンタカーを鈴鹿の駅まで届け、近鉄で帰路についたらしい。我らのバスが高速でトロトロ走っているときに、すでに名古屋駅に到着していたようだ。名古屋で電話を受けたUさんは、指定券のキャンセルやら、乗れそうな便の予約やらと奔走していたようだが、いかんせん何時に名古屋に着くかわからない状況では予約も入れられず、混沌とした時間が過ぎていった。
スタッフがあたふたしているのは、名古屋に何時に着けるかわからない状況と、帰りの新幹線の時間が分からないことによるものだ。そんなとき、
と、行きの新幹線予約をしたときにメモっておいた、帰りの新幹線の時間を殴り書きしてある紙切れを差し出した。うーん、これくらいの恩返しはしなくちゃね。俺からの贈り物を受け取ったスタッフ姉さまは、名古屋にいるUさんを、正太郎が鉄人28号をあやつるように遠隔操作し、新幹線の予約状況とかいろいろとこなしていた。しかし9時頃の便はすべて予約がいっぱいらしい。まあ俺はその日のうちに帰れれればいいや。
スタッフは大変だ。新幹線の予約状況とか聞くにつけ指定席やら自由席やらグリーン車やら言っている。藤沢さんと「あの〜気使わないでください。僕ら自由席でもぜんぜんいいですから」。名古屋からの1時間半くらい立っててでも十分である。かまへんかまへん。
名古屋に近づくにつれ車も流れるようになってきた。そして名古屋駅についたのはピットボックスを出て6時間経った、9時半であった。すぐさま緑の窓口に駆け込むスタッフ。なんと”グリーン”なんか取っちゃってくれるの? いいのいいの? 生まれてから一度もグリーン車なんて乗ったことの無い俺。
「おお、椅子もゆったりしていて飛行機のビジネスクラスのようだ(座ったこと無いけど)。」
と感激であった。
あっという間に新横浜に到着し。多くのスタッフと我ら招待客は下車したのであった。スタッフの方に感謝しきれないほどのお礼を言って、俺は横浜線に飛び乗った。・・・のはいいが、夜も遅い電車は”町田”止まりであった。トホホ・・・
町田のホームで次の電車を待つ間、ヨドバシカメラを前にして激動の2日間が走馬灯の様に浮かんでは消え、ぼんやりしていた俺は危うく最終電車を逃すところだった。
その後やっとのことで利用駅で降り、駅前駐輪場から愛車”マクリアムトン号”にまたがった俺は、
良くあるでしょ、やくざ映画を見た後に方で風切って歩いているお方とか、入社研修時にランボー2を見て、ランボーごっこしている方とか(>俺か?)・・・
夜も遅い時間なので他にチャリこいている人はいなかったが、いたら絶対スリップストリームにはいってスパッと抜いていただろう。(^_^;) また、帰宅時にいつも引っかかる信号がある。毎日「いけるかな?だめだろうなぁ」と思っているせいかも知れないが、ほとんど引っかかるのだ。しかし、ハッキネンの不屈の精神を目の前で見た俺は
「諦めたらそこで終わりだぜ。精一杯やってだめなら、それはそれでしょうがない。手を抜いてだめだったら絶対あとで後悔するな」
という、青春ドラマのヒーローのような気持ちでアタックをかけた。・・・見事クリアである。俺の人生、年下のハッキネンが鍛えなおしてくれたぜ。