■TOP > ギャラリー > ピットインタイヤ交換ジオラマ 1992年 Mclaren MP4/7

■■■ F1 タイヤ交換ジオラマ 1992年 Mclaren MP4/7 ■■■


■■■ 背景 ■■■

 マクラーレン+セナのマシンがコンプリートリリースされ、モデラーが狂喜乱舞してから結構時間がたった2016年の春、なんとなく模型を復活してみたい気持ちと、きれいに作ってもどうせ10年もたつと色がくすむはデカールは黄ばむはで、どうせ持っていたくもなくなっちゃうだろうなぁ、とモチベーションとマイナス思考が喧嘩をしていた。

 そしてその中間のいかにも日本的に「とりあえず」とつぶやき、パーツを袋からは出してみるなんていう、意思があるんだか無いんだか分からない行動をとっていた。仕事じゃないんだから誰からも文句言われる筋合いはないのである。

 そんなとき「ちょっとマクラーレンの模型飾りたいんだよね」と、私に頼みたい風ではあるけどなんとなく頼みづらく、でもちょっと言ってみようかなぁ「的な」言葉がそろそろ暑くなりかけた初夏の日に発せられた。というか、絶対私に言っている。別に頼られれば喜んでやっちゃう自分なので、頼んでくれればいいのに。でも空気が確実に読めたので「はい、私がやります」と日本人的手をあげない自己主張しない目立たないという「3ない」民族性を破ってしまった。そこから始まった地獄のような日々はSaySaySayで書いたとおりである。

 結局作ったのは、91年はフジミMP4/6キットを生かした部品展開モデル、93年はセナとヘルメットをテーマに、そして92年は今回の展示のハイライトであるピットインタイヤ交換ジオラマにした。本当は90年のMP4/5Bで作りたかったんだけど、91年以降でそろえたいという「気」を感じ、自らMP4/7に決めたのだ。

 今回の作品群は当初もっと壮大な計画であったが、納品1か月前に「もう無理~むりむりむり」とお父さん気が狂っちゃったんじゃないの?家族に言われるまで追い詰められ、泣く泣く上記3モデルに集中したのである。本当のことを言えば、フェラーリやルパンジオラマと言った、ストックヤードに大量にある「●作成中」のシールの貼られた模型箱を取り出しちゃぁ懐かしくなって、ちょっと触って、だめだめだめと自分をたしなめ、でも加藤茶バリに「ちょっとだけよ~」と違う箱を開けて、確かにちょっとだけ製作していたりもしたのが、遅れた要因でもある。でもそんなこと自分から言い出さなければ「佐藤さん、作るの大変だったでしょ~」「そうなんだよ、もうこれだけでヘロヘロになったんだよ」となんとなく同情やら尊敬やらしてくれるのだけど、やっぱりWEBでは誰も見ていないような、妙な錯覚があるので真実を書いてしまうのである。

■■■ 全体俯瞰 ■■■


◆左前方からのショット。全体の配置は毎回悩むのところだ。なるべく隙間が無いように配置したいが、やはり人口密度のばらつきは出てしまいますな。路面舗装の違いを再現するため、ライトグレーとダークグレーをなるべく塗料の粒子を粗くして吹いた。結構ざらざら感が出ている。上記路面の境目や黄色ラインの堺はわざとぼかしたりガタをつけたりしている。わとそうしたのを分かってもらわないと単に下手くそと呼ばれそうなので・・・



◆右前方からのショット。この遠さからだと、汚し塗装がほとんど分からない。今回のモデルの特徴の一つが汚し塗装だったんで、これは後にもっと分かる写真を貼らんと・・・



◆やっぱりちょっと前側にもっていきすぎた感あり。まあ今となってはどうすることもできないのですな。ちなみにマクラーレンはロン(ああ、ロンと呼べるようになった自分に酔っている~~~)のきっちりした方針が貫かれており、4本のタイヤとフロントのエアジャッキの位置に路面にきちんと位置が決まるように白赤の塗装を施している。




■■■ フロントセクション ■■■


◆フロントノーズ周りはお気に入りである。やはりジャッキアップクルーと汚し塗装が上手くいったことがその要因だろうなぁ。 



◆フロントウイング前端の汚れは結構うまくいったで「ニヤ」ですな。しかしフラップの前端の汚れが足りない。わかってはいるけど、納品時間に間に合わなくて泣く泣くこのままである。汚そうと思って強制的にやってしまうと、メインウイング上面が必要以上に汚れてしまうのを避けたかった。今となってはメインウイングとフラップの間に紙でも挟んでブラシ拭けばよかったと反省しきりだ。ノーズ上面もいい感じに汚れているが、実際こんな風に汚れることはなさそう。一番いいのは風洞に入れて風と一緒に塗料ミストをだせばいい・・・? 本当の汚れは気流に沿ってついているのだ。でもブラシだとそれを再現できない。あと時間に追われてフラップのガーニフラップを黒塗装するのと、アンテナつけるの忘れた。 



◆これぞマクラーレンのタイヤ交換というべき、フロントジャッキアップクルーである。ビデオでオンボードカメラを見ていると、こんな風に見えるのね。  



◆もう画像やビデオで何100回見たかわからないフロントエアジャッキ。Marlboroは当然自分印刷デカールで、マールボロシェブロン(三角)角度も目検討である。実は目検討を馬鹿にしてはいけない。目検討はほんの些細な寸法ずれとかをちゃんと認識できちゃうのであるから・・・。このエアジャッキたびたび改良が施されているようだ。今回は特に92年としたかったが、92年のジャッキが見つけられなくなんとなくちゃんぽん仕様である。

◆実はこのジャッキを持たせるクルーの改造が一番大変だった。なぜかといえば、ジャッキの仕様が最後まで決まらなく、ある程度の「エイヤ!」で腕の角度とか体の傾きとか、足の位置(ジャッキON/OFFは足でやっていた感じ?)を決めたのだった。なので最後はパイプやハンドル部分を全部作り替えなければならないという、納品前日の大改修につながったのだった。



◆裏側はなんとなくこれであっていると思う。左右にエアアクチュエータ、これの下にあるシャフトが伸びて下のリンク機構で作られているプレートと一緒にアクチュエータ自身が上がるのね。エアアクチュエータには上と下にエア供給部分があって、それが左右で連結されてハンドル部のエア元につながっている。

◆フラッシュを使わないで撮るとトーンが変わるね。ちなみにシューズも拡大しなければまあまあの出来である。



◆フロントジャッキクルーの右手は、エア供給元にある「突き出した棒」を握る仕様になっている。一応握っているでしょ。



◆「握っている」ところ、もう一発。

◆MP4/7はなんとなく失敗作の烙印を押されているが、今までのマクラーレンと違い雌型モノコックと大きなカウルというマクラーレンとして過渡期の構成をしたマシンであった。そしてこの今までのマクラーレンとは思えない絞り込まれたモノコックノーズがやけにかっこいいのである。





■■■ 右フロントセクション ■■■


◆右フロントは交換完了状態である。右側の2体はほぼキットのままで楽チン。左側のクルーは足をべったり地面につけてみた。キットではこのポーズがあまりないし、前回のフェラーリでも「足べったり」は作らなかった。今回はべったりを作ったらいい感じだったので、多用してしまった。これら手をあげる人で難しかったのは、背中のMarlboro刺繍が挙げた手に引きずられ「変形」してしまうことである。イラストレーターの変形ツールをあれこれ試し、結構いい感じの変形Marlboroを作れたのだった。

◆シャツの表側にはMalboroワッペンだけ(本当はネームも刺繍で入っている)なので、やけにさわやかになっている。本当はごちゃごちゃついたほうが派手で模型映えするのだが・・・。マクラーレンの場合インパクトレンチ担当クルーはオレンジっぽいグローブだ。





■■■ 右リアセクション ■■■


◆右リアはタイヤがまだ外れていない。フロントはもう終わっているのにいいんかい?というのはなしである。いろいろなシーンを織り込みたかったので、こうなった。まあタイヤが外れないことは当時よくあったからまあいいっかである。ニュータイヤを持っているクルーのポーズが結構好きだ。このポーズ実はフェラーリ作ったときに気に入ってたのでまたここで登場願った。



◆走行で汚れたタイヤを表現してみた。フロントタイヤを過激に汚してみたのでリアはちょっとおとなしめにしてみた。右側のタイヤを外すクルーは右手でタイヤをたたく直前としてみたが、そんなの分かる人はいないよね。





■■■ 左フロントセクション ■■■


◆左フロントも走行後のタイヤがまだ外れていないところ。本当はインパクトレンチとほとんど一緒にタイやが外れているのだけど、まあいいっか。左フロントタイヤはタイヤ外側にブリスターを作ってみた。半田ごてで溶かしたが、家じゅうが臭くなってひんしゅくをかった。



◆別アングルでブリスターができたタイヤ。ああ、なんかとってもいい感じ。

◆実は左フロントセクション、ブリスタータイヤと同じくらいニュータイヤを持っているクルーがお気に入りなのだ。脚ぺったりでタイヤを抱えているところが上手く作れた。普通はタイヤの重みでクルーが傾くのであるが、「ぺったり」としたことで、うまくバランスがとれた。



◆ぺったり!

◆早く外せとばかりにスタンバイしているクルー。





■■■ 左リアセクション ■■■


◆左リアセクションはニュータイヤを取付ける寸前のところを切り取ってみた。ニュータイヤを取り付ける直前のクルーが超お気に入りである。



◆走行後のタイヤを外すクルーは、大役を終えた後比較的のんびりしているようにも見える。今回は外したタイヤを持って屈んでいるところを再現してみた。単にタイヤをべったりと地面につけるのも能がないので、ちょっとだけ傾けてタイヤを持っているようにしてみたが、まあ分からないね。

◆案外腰を折っている。この上半身は思いのほか作るの大変だった。外した走行後のリアタイヤは結構痛んでいるところを再現したが、これも暗くて分からないね。



◆取りつく瞬間。ああ、時間がなかったのでブレーキディスクやキャリパーがキットのまんまである。キャリパー切り出して作り直せばよかったし、せめてブレーキディスクに穴開けておけばよかった・・・と後悔してみたり。



◆別アングルでお気に入りのクルーを。タイヤを上下で抱えているのがよくわかる図。

◆なんだかこの角度だとマシンのが汚れが分かりませんなぁ。リアのジャッキアップリグ。フェラーリの時は車輪が白だったけど、マクラーレンは数々の資料を分析した結果黒と判明。





■■■ リアセクション ■■■


◆リアウイングの汚しは結構いい感じになった。ちなみにタミヤMP4/7の面倒なところ。リアウイングが全一体成型されているところ。正直塗り分けられないというか、塗り分けする工数が半端じゃない。なので今回はチャレンジをしてみた。上側のメインウイングとフラップを翼端板から超薄モデリングソーで切り離した。マスキング+塗装+デカール貼り+クリアー塗装+研ぎ出しをしたあと、再組立てという面倒な工程としてみた。ウイングは切り出した分横幅が減っているので、ノギスで左右から抑えながら接着した。ノギスの中でウイングが動くので、位置決めが超大変だったよ。



◆リアジャッキアップクルーはキットのまま(多少手の位置を調整したが)。

◆実はリアセクションの写真、案外撮ってなかった。




■■■ ドライバーセクション ■■■


◆我ヒーローのセナ様を作る。結構緊張である。ドライバーはフェラーリF189のキットから流用したが、やはりMP4/7にはうまく入らず結構改造しまくった。一応スーツには92年仕様のスポンサーマークを作って貼ってみた。やっぱり自作デカールは模型の幅をすごく広げるね。アルプスMDプリンタ、いつまでも動いてくれよな! ちなみにこのマシンはイタリアGP仕様である。薄いウイングがそれを証明しているが、イタリアGPのセナ車はウインドシールドがブラックカーボン仕様だったのだ。それも再現しなくちゃいけない。さて汚れ塗装。いろいろ調べるとサイドのラジエーターインレット部分はすごく汚れている。なのでここは思いっきりやってみた。あとミラーもね。



◆まだまだマシンのデザインは直線基調なのだな。

◆このドライバーのバイザーを拭くシーンは前からやってみたかったのである。こううまくいくとなんだからうれしいぞ。



◆最初に手足を切り貼りした時、クルーは左手をインダクションポッドに載せていた。が、やっぱりヘルメットだよなぁ・・・とつくりかえた。このクルーも仮ドライバーを乗せた仮MP4/7で手足の位置決めをしたが、納品前日にクルーを配置したらぴったりだった。よしっ!



◆セナのヘルメットってやっぱかっこいいわ。今のドライバーはブラシ多様しすぎてごちゃごちゃ感がすぎる。セナのシンプルでいてそれでもスカスカじゃなくてさらに視認性が高いデザイン。神デザインであるな。

◆インダクションポッドを強めに汚した。やはりここは汚れるところだからねぇ。





◆実はMP4/7の保有デカールはほとんどニス部分が黄ばんでいて使い物にならなかった。まあMarlboro自体が入ってないし、ほとんどが白バックに貼るデカールだし、ということで全部自分印刷のデカールである。ゼッケン1とマールボロシェブロン三角だけは色味が印刷で出せなかったのでキットのものを使ったけど。





■■■ 製作秘話 ■■■


■■■ 準備 ■■■

 以前フェラーリのピットインタイヤ交換ジオラマを作ったが、あちこちに納得できないところがあったのだった。これは自分の中にながーくしこりとして残っており、いつかはリベンジだと誓いを立てていた。しかし声に出して誓わない誓いは誓いになんてならないことは明白な事実であり、いつしか誓いはM78星雲よりも遠いところに行ってしまった。

 しかし今回は「約束」となった。約束は「契約」であり、人と人の信頼関係である。そういう約束は明らかにモチベーションになり、封印されていたピットクルーたちを袋から出してあげる原動力になった。それが6月に半ばであることが写真のexifデータから判明し、そんなに前から取り組んでいたのか・・・と遠い目になった。



■■■ 構想 ■■■

 まずは構想である。どんなものを作ろうか、どんなシーンか、どんな配置か?これらは自分で決めるべきもので、楽だと思われるかもしれないが、「自分で決める」というのは案外しんどいものだ。まず決めたことは以下4つだ。

 ●1992年 MP4/7のジオラマ
 ●ドライバーは当然セナ
 ●ドライバーのバイザーを拭くクルーを再現
 ●マクラーレンの特徴であったフロントエアジャッキを再現
 ●汚し塗装にチャレンジ

 これ以外のピットクルーのポーズはなんとなくその場の勢いでやることとした。今回はマシン作成効率化のため、3モデルで同じような作業をまとめて行っていた。そのためマシン自体が完成したのが納品前夜であった。マシンは何層もの塗装が必要で各塗装工程間の「乾燥」にも結構な時間がかかる。さらにメインな色が蛍光レッドなんていうキワモノ色なので非常に時間がかかった。という理由もあり、ピットクルーのポーズ検討(手足切り貼り、パテで手足を決める)は、ショーウインドーと呼んでいる単なる本棚に飾ってある20年前に作ったマシン群を利用した。テクな未熟な頃の作品で笑っちゃう出来であったが、それでも配置検討には十分役に立った。


◆A3のカッティングマットが剛性感あってグーだった。そしてそのままこのサイズで木枠を作った。ちなみにベースマシンはMP4/8。最初はどのマシンにするかまだ決まっていなかった。マシンの周りにどういう人を配置しようかをテープで腕足などを仮留めしながら決めていった。




■■■ フィギュア関連 ■■■


■■■ ピットクルー作成 ■■■

 今回のジオラマは16名のピットクルーを配置した。各タイヤに3名x4で12名、フロント/リアのジャッキアップに2名、ロリポップクルー1名、そしてセナのバイザーを拭くクルー1名である。そしてピットクルーはタミヤの「ピットクルー(絶版)」を使っている。キットには7人分のクルーがいるが、16名のクルーを作るためにはやはり3キット必要だ。でも在庫がちゃんとあるんだもんね(でも残り在庫は2キットなのでもうタイヤ交換ジオラマは作れない・・・)。

 各々のピットクルーは過去F1雑誌からスキャンしておいた画像、ネットで収集した画像、昔のビデオをなどを参考にポーズを決める。今回はタイヤを抱えるなどダイナミックなポーズを志向した。


◆今回は大活躍だった丸ノコ。やっぱり文明の利器は使うべきである。

 そしてそれこそ切り裂きジェイソンのごとく、首、肩、ひじ、手首、ひざ、足首とありとあらゆる場所を切りポーズをつけた。その切り出しにはリューター+丸ノコが活躍した。ツールは山ほどあるが意外に持っているだけで満足している節がある私であるが、さすがに今回は切る場所が多くモーターツールを使ってみたらまあ便利便利。今までが何だったろう?の世界である。丸ノコ万歳!(しかし切っているときに切れたプラ片が飛んできて目玉にあたった。熱いのがわかった。失明するかと思うくらい痛かった。なのでこれからはメガネをかけてやろうと誓った。



 またつま先や指、手首など、ちょっとだけ曲げたいことが多くある。これを切出し整形しパテ付けするのはやっぱりちょっと面倒だ。で考えた。プラ部品だから熱で軟化するよな「よしやってみよう」。そう私は「よしやってみよう」派である。ゴダゴダとやる前から言うのではなく、やってみるのが一番近道なのだ。そしてドライヤー先端に厚紙でフードを作り、先端を10mmほどの円型にしてみた。「やってみると」強力で、5秒くらい熱しただけでいい感じに軟化し、つま先などはポーズをつけたい角度に押し当てるとその通りに曲がってくれる。この技最高だ。特許取ろう!


◆一番安いドライヤーを買った。治具だからいいのである。しかし意外なほど強力な熱風が出るのであった。なんでも考えればいいアイデアは出てくるし、その辺のものも有効活用できちゃうのだ。

◆平たい足だったけど熱して曲げたらほら簡単につま先曲がった。グー!




 パテ盛りでポーズを作るのは結構楽しい。楽しいけど難しい。なぜかといえば、腕を上げたい場合、単に腕を上げるだけではだめなのだ。体も引っ張られるし腰の角度も変わる。つまり一つ動かすと全身が動かさないとバランスがとれない。ここはまだまだ修行を積まなければならないなぁ。さて各部位はエポキシパテでつなげる。案外乾燥が遅かったりして、自重で決めた角度が動いちゃったりするので要注意である。久しぶりにヨドバシにエポパテを買いに行ったら「速乾性」なんてのが売ってたんで使ってみたのだけど、ちょっと色が濃いので失敗だったかも。それほど速乾でもないし・・・


◆こんなふうに仮組をしている。実際のタイヤを用いて手首の角度とか指の角度とかを決めながらポーズを作る。

◆隙間があったって構わない。まずはポーズを確定させるのが最優先である。



◆基本的に手首/腕はは切り離すことが多い、っていうかほとんど切り離している。っていうか今ベースになっているのはMP4/5B。90年末買ってすぐ作ったからなんと27年前か・・・(遠い目)。当然デカールは黄ばんじゃっているなぁ。

◆関係ないけどMP4/5Bってラジエーター外のカウル下って黒塗装だったのに当時気が付いてない。



◆なんとなく「キョンシー」をイメージさせるポーズだなぁ。右側はインダクションポッドに左手を掛けるポーズで不採用。左側が左手をヘルメット上に置くポーズで採用。

◆実際にドライバーにヘルメットを仮留めしてテストしてみようと思ったが、ドライバーが簡単に設置できなかった。実際この最終調整は納品前夜に行ったが、結構うまく行ったのは偶然かも。



◆フェラーリジオラマの時、雑誌のほんの小さな写真でフェラーリクルーがピットロード側に立って両手でエアホースを引っかからないように抑えているのを発見した。これは「絵になる」と思い作ったらやっぱり絵になった。なので今回も作ってみたのだが、昔のマクラーレンのピットシーンのどの資料をひも解いてもそういうシーンが無い。なので泣く泣くお蔵入りになったクルーである。

◆手を切り離すとパテでは接着力が弱く1mmの真鍮棒で補強することが必要だ。



◆ちょとぎょっとする絵ですな。

◆クルーを配置していたら、フロントジャッキクルーの頭の向きがどうにもこうにも納得できなかったので、ギロチンしてしまった。もう塗装も済んでいたのに・・・




■■■ ピットクルー塗装 ■■■

 ポーズを決めたクルーは上半身と下半身を分けて管理している。これは塗装を考えてのことだ。そして上下いずれもパテの色を消すために白サーフェーサー塗装を施す。マクラーレンのシャツは白だからちょうどいい。注意するべきは上半身下半身とも、塗装で消えない位置に自分がどこのポジションかを記載しておくことだ。同じような上半身下半身が一堂に介した場合、もうパニックになることは証明済である。

 さて下半身。まず半ズボンをどの赤色にするか?これもまた悩む。実物を見たことないし、写真はカラーバランスでいくらでも色なんて変わってしまう。もう気合一発でシャインレッドに決定。シューズは半ズボンよりも赤が強く見えるのでモンザレッド、シューズ下には白の縁取りとアシックスの白マークを入れよう。足裏は黒にするとあまりにもコントラストが強すぎるので、白を混ぜて少しトーンを落とす。秘密であるが、あまりにも時間がなかったため、ピットクルーの塗装はかみさんに任せた。そのかみさん、肌色を塗装多国籍だよね、いろんな肌の人いるよね、とあれこれいろいろな肌の色で遊んでいる。遊びすぎで「ゾンビ」のようにおどろおどろしい色になってたりしてるが、そこ文句言うとやってくれなくなるので怖くて言えない。

 上半身で難しいのは、シャツの肩部分にあるマールボロシェブロンの赤柄である。何が難しいって「エッジ」をちゃんとシャキンとさせるのが難しい。かみさん意外にもうまくやってくれた。グローブは赤、インパクトレンチクルーのグローブはオレンジ、目も外人だから青だよねとか結構楽しそうにやっていた。

 シャツにはデカールが貼られる。胸にMarlboro(三角付き)、右肩には上からGOOD*YEAR―Shell―Courtaulds、左肩は上からBOSS-TAG HEUERである。これはキットデカールに付属しているが、黄ばみがひどく使えない。なのでイラストレーターで作ってデカール印刷したものを使う。背中にはどでかくMarlboroである。これらのデカールを貼った後全体のトーンを合わせる意味で、フラットクリアーを吹いている。




◆下半身だけ別管理。

◆足裏がぺったりつくクルーは足裏にポジションを記載する。横から見ると殺人鬼の作業場みたいだなぁ。



◆上半身。これらかフラットクリアーで全体のトーンを整えるところ。塗装では爪楊枝は必須の治具である。マクラーレンの場合赤グローブがいいアクセントになる。



◆なんとなく爆発でみんな倒れたとか、化学兵器で一網打尽にされたとか、そんなふうに見えなくもない。




■■■ ドライバー(セナ) ■■■

 前回のフェラーリジオラマはマンセルで作った。マンセルフィギュアやヘルメットも結構うまくいった。マンセルの特徴である片目ずつ開いているインナーの白いヘッドカバー?や、火災などの時のエア供給用ホースなどがいいアクセントになった。そして今回のセナ。いろいろハードルが高かった。

 まずセナヘルメットのデカールがピリッとしない。25年前に購入したあとすぐに廃版になった「ドライバーフィギュア」のヘルメットデカールは既に使用済である。当然セナヘルメットで作成した。これは専用デカールってこともあってばっちり形状であった(当然Marlboroマークはない)。しかし25年前に作ったときにヘルメット内の保護布を緑色でつくってあり、これは91年までの色で会って、92年の青インナーにはならない。では新ヘルメットにモデラ―ズのドライバーフィギュア用デカールを使おう。モデラーズの1/20ドライバーフィギュアはプロストとマンセルそしてセナがすべてタバコマーク入りのスーパーデカールであるい。さらにカルトグラフ製なので隠ぺい力はばっちり。良し完璧!と思って貼り始めたがすぐに難敵であることが分かった。まず硬い。これはデカール軟化剤で何とかするにしても、R寸法が合わない。不本意ではあるが、ヘルメット裏は少しデカールの合わせが合っていない。

 次にバイザー。これは少しテクが入っている。バイザーの両サイドは比較的大きな径のアルミの部品で固定されている。これを再現しよう。フェラーリモデルで何度か利用した「伸ばしランナー」を利用する。ヘルメットとバイザーを位置決めしてピンバイスで通しの穴をあける。その後その穴に伸ばしランナーを差し込み、3mmほど残して切断。ここで「線香」を登場させ、伸ばしランナーの先端に線香の赤い先端を近づけると・・・「あらら」伸ばしランナーがチュルチュルと縮まりながら丸まっていくのだ。そしてその瞬間、カッターの平たいところとかを押し付けると「丸」がつぶれて「円盤」形状になる。この技も特許もんであると思うぞ。

 さてセナボディー。ベースになったフェラーリF189のドライバフィギュアはMP4/7に入らない。よく見ると横方向ではなくお尻あたりの形状が干渉しているようなので、フィギュアのお尻あたりを嫌ってほど削る。削りすぎたらスペーサー詰めてやればいいんで、それこそ思いっきり削るのである。デカールは自作品である。アルプスプリンタ大活躍!




◆腕とボディーは別部品である。腕はステアリングとボディーでうまく押さえられているので、接着なしで問題なし。

◆92年は新たにKENWOODマークが追加された。グローブの手の甲部位には白があるのはなかなか知られていないと思う。



◆セナヘルメット。一応顔や内部保護部材などを塗装したが、バイザーをスモーク仕様にしたら結局見えなくなった。

◆ボディーは散々切った切った切ったでやっと納まった。セナのスーツ首部分がちょっと干渉したので削った。






■■■ マシン関連 ■■■


■■■ タミヤキット MP4/7 ■■■


◆まだまだ在庫があるMP4/7っていうか、そのほかのモデルたっぷり在庫あるよ。

 92年のジオラマに決めたのは18インチ幅広タイヤで決めたかったというのがある。他に91年や90年のお気に入りマシンにリプレイスする場合も92年までの幅広タイヤで共通化できるということもある。さらに幅広タイヤ時代はGOOD*YEARマークが白の吹き付けってこともある。テンプレートで吹いたGOOD*YEARマークはかすれて味があるのだ。

 MP4/7は比較的作りやすい構造である。なんてったってマクラーレン最後のフルカウル型マシンであることが大きい。カウルの継ぎ目がごまかしやすい。93年MP4/8以降は他チーム同様メス型モノコック+エンジンカウルという構成の場合、モノコックとカウルの境目が解消できない。なので、モノコックとカウルをはじめに接着して成型しておくなんていう手法をよく使った。別にカウル外すことなんてないプロポーショナルモデルだからOKなのである。







■■■ 下処理 ■■■

 昔は下処理なんてちょこっとやっただけだったが、最近はこの下処理をさぼると結局最後に泣きを見ることがわかり手を抜けなくなっている。この下処理で意外に見過ごしがちなのが「パーティングライン」の処理である。金型であるからパーティングラインは避けて通れない。老眼になった今、パーティングラインを見えにくく見逃しがちであるのだが、知恵がついてパーティングラインはここにあるようなぁと推測できるようになったのが勝ってい、やはり伊達に歳をとってないことを感じる。

 接着による段差やヒケ、押し出しピン跡などを、エポキシパテ、ラッカーパテ、溶きパテなどで何度か修正を繰り返す。




◆むかーし作ったMP4/7はサイドポッド前端にあったパーティングラインを見逃している。それにしてもデカールの黄ばみがひどいなぁ。

◆見えるところの押し出しピンは埋めるなり削り取るなりしなきゃいけない。これはMP4/6のパーツ分解モデルで見えちゃう部分だから修正を入れた。




■■■ マスキング ■■■

 模型作成で意外に工数がかかるものに「マスキング」がある。今となってはほとんどの塗装をエアブラシで行っているわけであるため、マスキングは必須なのである。Marlboro時代のマクラーレンは誰もが知っている三角塗り分けであり、それは直線基調であり、一見簡単に見える。しかし「やる」と「分かる」が、マスキングは模型の出来を左右するほどの重要工程であり気が抜けないのだ。

 蛍光レッドをデカールで仕上げていたときはマスキングは必要無い。でもデカールの場合凹凸や面ごとに分かれた部位にきれいに貼るのは結構しんどいし、完成後のクオリティーは明らかに塗装に劣るのである。やっぱり「塗装」がいい。

 さて、いわゆるMarlboroシェブロンと呼ばれている逆三角赤。まずはマスキングの型紙を作成することから始めなくてはならない。タミヤのキットはデカール仕上げが標準であるけど、細い塗り分け凸がモールドされている。しかしこんなモールドは下地仕上げで簡単に消滅してしまうのでやっぱり型紙が必要だ。実はフジミのMP4/6には塗り分けのマスキング型紙がついていた。おお、これ使えるじゃんと思ったのも数分。折り曲がり部(後述)の位置が微妙に合わなくてすぐにただのゴミと化した。フジミよ、もっとまじめに作りたまえ。

 そんなこんなでやっぱりマスキングシートは自分で作ることにした。まずはデカールをスキャンしてデカールベースで型紙を作ってみた。しかしデカールは複数枚で構成されており、そのPC上ではつながりが一意的に決まらなく使えない。結局最も原始的ではあるが、方眼紙的スケールを印刷して、それをカットアンドトライしながら制度を高めていく手法とした。

 マクラーレンの型紙なんて「直線だから簡単じゃん」という声が聞こえてきそうだし、私もそう思ってたのであるが、実は赤ラインは2か所折れ曲がるところがあり、そこの角度も合わせておかないとマスキングテープに無理がかかり、きちんとマスキングされなくなったりする。この角度あわせも結構大変な作業であった。

 でもMP4/6、4/7、4/8はもう型紙作れた。これから作るこの3モデルは楽だぞ(っていつ作るんだ?)




◆MP4/6で型紙試行錯誤中。

◆MP4/7の型紙。作った型紙をマスキングテープに貼り付け切り出すのだ。



◆昔のデカールで仕上げたモデルは境目がばっちりわかるので採寸しやすくてグー!。

◆これはMP4/8のマスキングであるが、MP4/8の場合、トレンドにしたがって後部下側が3次元形状でえぐれている。一番最初に作ったモデルはここもデカールで頑張ったがどうにもこうにも曲がらないデカールを無理やり曲げた感が強く次回こそは・・・と心に誓った部位なのだった。ちなみにマスキングテープは裏まできちんと張り込まないと、カウルに空いている穴から表側に塗料ミストが流れ込んだりするので、要注意である。



◆MP4/8モノコックのは、白サーフェーサー - 蛍光レッド - 黒 - クリアーと塗装を進める。マスキングは何度も大量にやらなければならないので、マスキングテープは捨てずに何度も再利用している。

◆これもMP4/8。フロントウイングフラップのガーニーフラップもちゃんと黒で塗装しよう。




■■■ 蛍光レッド ■■■

 蛍光レッドは難しい。

・上からクリアーを掛けるとにじむ
・上からデカールを貼るとデカールが透けてくる
・一度に濃く吹くとひび割れる
・退色しやすい

といった特徴がある。確かに実践してみるとその通りで、なかなか使おうとは思わなかった。しかし蛍光レッドもいろいろなメーカーから発売されいろいろな特徴があって試してみる価値はある。




◆結局右から2番目のクレオス171番にモンザレッド10%、ひび割れ防止にクリア―30%を「マイマクラーレン標準」とした。右のガイアカラーも試してみたかったけど、ちょっと時間が無くてこれから実験してみよう。

◆夏に入る前に、いろいろな赤やその赤の上に蛍光レッドを上塗りしたりしておいた。結局上塗りでなく、調合としたんだけど・・・



◆MP4/7とMp4/8を拭き終わったところ。同じ色は一緒に塗装したいのである。塗装後はマスキングをはがすのが不安でもあり楽しくもある瞬間である。




■■■ ウイング ■■■

 そのMP4/7で一番頭を悩ませたのが一体型のリアウイングである。前にも書いたので詳しくは書かないが、結局メインウイングとフラップは翼端板から切り離して別塗装して再度接着なんっていう「何やってんだろう・・・」的工作となった。タミヤも良かれと思ってやっているだろうけど、「良くない!」ぞ。




◆全体を蛍光レッドで吹いた後、蛍光レッド部をマスキングして黒を吹く。翼端板はエンドのリップは黒。アンダーウイングフラップもガーニーフラップは黒である。マスキングのエッジ処理に神経を使う部分である。

◆自作塗装治具はいろいろな種類がある。これは割りばしの先にクリップを接着したもの。結構使える。翼端板内側やリップを黒塗装だ。



◆メインウイング/フラップを一体型リアウイングから切り離し、再接着しているところ。ガイドも何もないので気合一発で水平や角度出しをする。人間の目はすごくシビアなので信頼してよろしいぞ。

◆フロントウイング翼端板は接着後左右を金属ブロックで垂直出しを兼ねて押さえつけるのが良い。何もしないと確実に接着が取れたり垂直が出なかったりする。




■■■ デカール印刷 ■■■

 オールドF1マシンを作成していて困ることがこの「デカール」である。デカール困ったっちゃんの一つは「たばこ対応」である。90年くらいまではMarlboroマークなども平気で入っていたが、91年くらいになると全滅になった。タミヤも海外モデルはたばこマークなしで出荷していたと思われ、例えばMP4/4やMP4/5BのMarlboroマークはデカールの上部分にまとまって配置されていたりした。

 デカール困ったちゃんのもう一つは「黄ばみ」である。デカールも数年経つと透明部分が黄ばんでくる。接着のためのニスが黄ばんでくると言われている。つまり在庫として長らくたったキットのデカールはほぼ使えない。さらにキットも作って10年ほどたつと貼ったデカールが黄ばんでくる。とくに白ベースのマシン(まさにマクラーレン!)はその黄ばみが目立ちすぎる。

 作ったモデルのデカール黄ばみはもうあきらめるしかないが、作る前のデカール対応は結局

 「自分でオンデマンドでデカールを作る」

しかない。なので私は日々F1関係のロゴをネット収集している。これも以前はいわゆるラスターデータ(Jpegとかのドットデータ)で収集していた。しかしラスターデータはやっぱり使いにくい。なので腹をくくりベクターデータ収集に作戦変更した。ネットの世界はすごいものでフリーでベクターデータを集めたサイトとかあったりして、ここにそれまたお宝データが落ちていたりする。しかし半分くらいはデータを修正したり、自分でスクラッチでデータ作ったりしなければならない。

 しかしこのデカール印刷をするための最大の武器が「アルプスMDプリンタ」であることはPaddock-Clubをご覧の肩は良くご存じだろう。このMDプリンタの最大の特徴が「白」を印刷できることである。色の上に色のデカールを貼るとき、下地に白を打っておかないと色が変わってしまうのだ。MDプリンタはサポートもサプライ品も供給終了である。修理もしてもらえない。なので大事に使わなければならない。加えて、Windows 2000 32bitまでしかドライバが無い。実験の結果Windows7の32bitまでは何とか動かせたが、今の母艦Windows10 64bitはもう動かせない。なのでスペックダウンしたPCをあえて購入し、メモリ増設などして動かせるようにしたのだった。




◆今回印刷したデカールの一部。右は黒だけのマークを集め単色印刷で解像度を高めた。アルプスプリンタは一色印刷してまたシートを巻き戻し次の色と印刷を繰り返す仕様である。できるだけ出し入れは少なくしたい。黒シートの最上部にはクルーの袖に貼るマーク。その下は背中になるMarlboro。右側は手をあげたりしていてMarlboroの形が変わっているクルーのもの。大きなMarlboroはセナ1/2ヘルメットに貼るMarlboroでヘルメットのR形状に合わせるため、微妙に湾曲させている。その下がMP4/7用。最下段が予備用。左側のデカールはカラータイプ。上はMP4/8時代のセナを再現するために、ヘルメットバイザーに着けるKENWOOD & シェル貝殻マーク。大きさを確かめるためにいくつかサイズで印刷した。その下はセナスーツとシューマッハ94年仕様スーツ。一番下は隙間を埋めるためのお遊びデカール。




■■■ 納品前日 ■■■

 本当にぎりぎりセーフだった。納品前日でこんな具合なのだから・・・




◆こんなところもやっているっていう事例。当時は翼端板下気流をコントロールする意味で「ボーテックスジェネレーター」というでかい部品がついていた。それがあまりにも大きくなったので各チームワイヤーで吊っていた。そういうちょっとしたとことの再現が自分の中ではうれしいのである。このワイヤーを再現するため、剛性が高く直線を維持するもの・・・さらにさびないもの・・・と考えて「ギターのコーティング弦」を採用した。いわゆる業界標準のエリクサーである。弦を張って余った部分を何かに使えるんじゃないか?ととっておいたのがよかった。と、そういう廃物みたいなものが我が家にはわんさかとあって、整理に困っているのだが・・・

◆これはMP4/6分解モデルに使った、サスペンションスプリングである。こうやって身近なもので再現するのが楽しいの。



◆デカール貼って何度かクリアコートした状態。この時点で納品前日の朝4時。見た通りまだ汚し塗装していない。上側のMP4/8のリアカウルと下側のMP4/7のフルカウルを見比べると、やっぱりマクラーレンはフルカウルっていうのがしっくりくるね。



◆これも同様に納品前日の朝4時の状況。前夜不覚にも寝落ちしてしまったが、奇跡的に早朝に目が覚めた。やっぱり「意識」が睡眠をコントロールしているんだなぁ、と思わないわけにはいかない。



◆休日や平日帰宅後の夜はこんな状態が続いた。家族には申し訳ないが、食事は別小型テーブルを出して、昭和のように床に座って取った。




■■■ 汚し塗装 ■■■

 今回のジオラマでお気に入りの一つがこの「汚し塗装」である。ピカピカに磨き上げたマシンをわざわざ汚すのだ。そんなことしていいのか?と自問したのだが、納期前日の夕方涙を流しながらエアブラシのボタンを引く自分と、汚し始めたらどんどんリアル感が出てにやけ始める自分がいた。

 汚し塗装をするとき自分なりに工夫した点は

 ●塗料はいつもはあり得ない「ダマ」となるようにする

 である。吹き出せる状態で可能な限り濃い塗料として、なるべく吹き付け圧を低くするためにタミヤの旧タイプコンプレッサーを利用して、ボタンを押し塗料が吐出する瞬間の「ダマ」になりやすいのを利用したのだった。

 汚し塗装を始めたのは納品前日の夜である。その後マシンを完成させてもうへとへとで「クルーの配置」は納品日の午前中にせざるを得なかった。何もトラブルがないことを祈って・・・




◆フロントメインウイング前端はまあ一番汚れる箇所だから、これくらい汚しても問題ナッシング(オヤジワードだなぁ)。

◆リアウイングもばっちり汚れるのでこれで問題ナッシング(しつこいって)。



◆インダクションポッドとサイドポンツーンはちょっと汚しすぎかも。でもスケールモデルってちょっと大げさなくらいにやらないとダメなんだよね。

◆ちなみにヘルメットの後ろは当然あまり汚れない。なので、インダクションポッド下(ヘルメット後ろ)を親指を浮かし気味でつかんで汚しをしてみた。うまい具合に汚れが付かなかった。


実はカウルを接着した。タミヤはダボが結構いい感じに軽圧入っぽくなるのでそのままでもよいのだが、ディスプレイ中に外れたらシャレにならないので、保険である。しかし後ろ側から接着したら、MP4/7カウルの前端にひっかけがあって、それがノーズに引っかかる構造なのを忘れていた。何が言いたいかというと、カウルの前端が収まらない・・・。どうしよう。


◆しょうがないので引っかかりのための出っ張りを切って、アロンで内部部品に接着した。ああ俺としたことが・・・。ちょっと抑えたくらいじゃアロンはがれちゃうので、強力ばねのはさみで1時間固定した。

◆1か月展示してても接着維持しているので、たぶんくっついたね。よかった。



◆さあ、ここまでくればあと少し・・・




■■■ その他 ■■■

■■■ エアージャッキ ■■■

 今回のジオラマで気合を入れたうちの一つが「フロントエアジャッキ」であることは何度も述べた。しかしこれまで作っちゃうのは世界じゅうで3人くらいかな?と思う。事実未だにネットでは見たことがない。

 大変だった。正直簡単で標準的なパイプ人力ジャッキにしようかとも何度も思った。しかしここでめげたらせっかくのマクラーレンジオラマがウソジオラマになってしまう。負けられない。ということで、ネットでの資料あさり、見えないところまで見透かすがごとくの写真解析、最後は「多分こんなんだ!」という気合で完成させた。アクチュエータ―出力に金属シャフトを使ってリアル感を出したりと、いろいろ手が込んでいるのである。




◆パイピングには真鍮線が大活躍する。0.2mmから0.1mmピッチで1.5mmまでそろえていることにうっとりする自分である。

◆エアジョイントはシルバーブルーつなぎ手には赤い継手があるが、それは熱収縮チューブとししょう。



◆パイプアームは1.2mmの真鍮線とした。ハンドル部を接着するために一部を平面状に加工しておく。真鍮はサクサク削れて好きな材料である。どこまで削るかはその辺のマスキングテープかすを利用する。

◆無事接着できたところ。今回の工作ではアロンを多用した。あんがいいいね、アロン。




■■■ コース ■■■

 ジオラマであるからにしてコースが必要である。これもこの時のことを見越して100均で買っておいたスチロール板が活躍した。見越しすぎて20枚も買ってあるのだが・・・。まず全体の配置を決めた後、路面境界やイエローラインなどの寸法を決める。その後グレーサーフェーサーで全面ライトグレー化、あとは決めた寸法に従って広範囲のマスキングをしながら塗装する。ポイントはなるべく遠目に吹いて「ざらざら感」を出すこと。路面境界やイエローラインはきれいな塗り分けエッジとせずに、ちょっとぼやかすことである。

 コースの裏にはサインを入れておいた。裏なんて見る機会ないだろうけど一応自分の作品だからやってみたかったのね。




◆マクラーレンピット塗装治具を作った。ちなみにSuperGTでのピットエリアへの路面マークは色ガムテープを貼った後にゴムハンマーで叩いていた。

◆昔のサーキットは意外にピットロードの舗装状態が悪かったりする。しかし模型だとこういうところが意外にアクセントになってよろしい。スチロール板は木工用ボンドで木枠フレームに接着する。




■■■ 木枠 ■■■

 さてコースだけ作ってもちょっとちゃちいので、毎度のことながら木製フレームを作る。これももう何個も作っている定番作業であるが、のこぎりを45度の角度できっちり切り出す技がいつまでたっても身につかない。毎回「いまいちだなぁ・・・」と思いながら作業している。フレームは木製2段組で各々をペーパーでならした後、接着しオイルステインとニス3回仕上げである。


◆上側の枠を45度に切ったもの。これだけでどっと疲れるのだ。

◆この後にもっと補強している。



◆エッジはRをつけないとちょっとカッコ悪い。合わせて320番で磨くとさわり心地の良い木肌になる。

◆上下の木枠を接着だ。




■■■ 自分にご苦労様と言おう ■■■

 久しぶりに大作を作って自分に「ご苦労様」と言いたい。ロンも喜んでくれたし、作った甲斐があったのだった。










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