マクラーレン+セナのマシンがコンプリートリリースされ、モデラーが狂喜乱舞してから結構時間がたった2016年の春、なんとなく模型を復活してみたい気持ちと、きれいに作ってもどうせ10年もたつと色がくすむはデカールは黄ばむはで、どうせ持っていたくもなくなっちゃうだろうなぁ、とモチベーションとマイナス思考が喧嘩をしていた。
そしてその中間のいかにも日本的に「とりあえず」とつぶやき、パーツを袋からは出してみるなんていう、意思があるんだか無いんだか分からない行動をとっていた。仕事じゃないんだから誰からも文句言われる筋合いはないのである。
そんなとき「ちょっとマクラーレンの模型飾りたいんだよね」と、私に頼みたい風ではあるけどなんとなく頼みづらく、でもちょっと言ってみようかなぁ「的な」言葉がそろそろ暑くなりかけた初夏の日に発せられた。というか、絶対私に言っている。別に頼られれば喜んでやっちゃう自分なので、頼んでくれればいいのに。でも空気が確実に読めたので「はい、私がやります」と日本人的手をあげない自己主張しない目立たないという「3ない」民族性を破ってしまった。そこから始まった地獄のような日々はSaySaySayで書いたとおりである。
結局作ったのは、91年はフジミMP4/6キットを生かした部品展開モデル、93年はセナとヘルメットをテーマに、そして92年は今回の展示のハイライトであるピットインタイヤ交換ジオラマにした。本当は90年のMP4/5Bで作りたかったんだけど、91年以降でそろえたいという「気」を感じ、自らMP4/7に決めたのだ。
今回の作品群は当初もっと壮大な計画であったが、納品1か月前に「もう無理~むりむりむり」とお父さん気が狂っちゃったんじゃないの?家族に言われるまで追い詰められ、泣く泣く上記3モデルに集中したのである。本当のことを言えば、フェラーリやルパンジオラマと言った、ストックヤードに大量にある「●作成中」のシールの貼られた模型箱を取り出しちゃぁ懐かしくなって、ちょっと触って、だめだめだめと自分をたしなめ、でも加藤茶バリに「ちょっとだけよ~」と違う箱を開けて、確かにちょっとだけ製作していたりもしたのが、遅れた要因でもある。でもそんなこと自分から言い出さなければ「佐藤さん、作るの大変だったでしょ~」「そうなんだよ、もうこれだけでヘロヘロになったんだよ」となんとなく同情やら尊敬やらしてくれるのだけど、やっぱりWEBでは誰も見ていないような、妙な錯覚があるので真実を書いてしまうのである。
以前フェラーリのピットインタイヤ交換ジオラマを作ったが、あちこちに納得できないところがあったのだった。これは自分の中にながーくしこりとして残っており、いつかはリベンジだと誓いを立てていた。しかし声に出して誓わない誓いは誓いになんてならないことは明白な事実であり、いつしか誓いはM78星雲よりも遠いところに行ってしまった。
しかし今回は「約束」となった。約束は「契約」であり、人と人の信頼関係である。そういう約束は明らかにモチベーションになり、封印されていたピットクルーたちを袋から出してあげる原動力になった。それが6月に半ばであることが写真のexifデータから判明し、そんなに前から取り組んでいたのか・・・と遠い目になった。
まずは構想である。どんなものを作ろうか、どんなシーンか、どんな配置か?これらは自分で決めるべきもので、楽だと思われるかもしれないが、「自分で決める」というのは案外しんどいものだ。まず決めたことは以下4つだ。
●1992年 MP4/7のジオラマ
●ドライバーは当然セナ
●ドライバーのバイザーを拭くクルーを再現
●マクラーレンの特徴であったフロントエアジャッキを再現
●汚し塗装にチャレンジ
これ以外のピットクルーのポーズはなんとなくその場の勢いでやることとした。今回はマシン作成効率化のため、3モデルで同じような作業をまとめて行っていた。そのためマシン自体が完成したのが納品前夜であった。マシンは何層もの塗装が必要で各塗装工程間の「乾燥」にも結構な時間がかかる。さらにメインな色が蛍光レッドなんていうキワモノ色なので非常に時間がかかった。という理由もあり、ピットクルーのポーズ検討(手足切り貼り、パテで手足を決める)は、ショーウインドーと呼んでいる単なる本棚に飾ってある20年前に作ったマシン群を利用した。テクな未熟な頃の作品で笑っちゃう出来であったが、それでも配置検討には十分役に立った。
今回のジオラマは16名のピットクルーを配置した。各タイヤに3名x4で12名、フロント/リアのジャッキアップに2名、ロリポップクルー1名、そしてセナのバイザーを拭くクルー1名である。そしてピットクルーはタミヤの「ピットクルー(絶版)」を使っている。キットには7人分のクルーがいるが、16名のクルーを作るためにはやはり3キット必要だ。でも在庫がちゃんとあるんだもんね(でも残り在庫は2キットなのでもうタイヤ交換ジオラマは作れない・・・)。
各々のピットクルーは過去F1雑誌からスキャンしておいた画像、ネットで収集した画像、昔のビデオをなどを参考にポーズを決める。今回はタイヤを抱えるなどダイナミックなポーズを志向した。
そしてそれこそ切り裂きジェイソンのごとく、首、肩、ひじ、手首、ひざ、足首とありとあらゆる場所を切りポーズをつけた。その切り出しにはリューター+丸ノコが活躍した。ツールは山ほどあるが意外に持っているだけで満足している節がある私であるが、さすがに今回は切る場所が多くモーターツールを使ってみたらまあ便利便利。今までが何だったろう?の世界である。丸ノコ万歳!(しかし切っているときに切れたプラ片が飛んできて目玉にあたった。熱いのがわかった。失明するかと思うくらい痛かった。なのでこれからはメガネをかけてやろうと誓った。
またつま先や指、手首など、ちょっとだけ曲げたいことが多くある。これを切出し整形しパテ付けするのはやっぱりちょっと面倒だ。で考えた。プラ部品だから熱で軟化するよな「よしやってみよう」。そう私は「よしやってみよう」派である。ゴダゴダとやる前から言うのではなく、やってみるのが一番近道なのだ。そしてドライヤー先端に厚紙でフードを作り、先端を10mmほどの円型にしてみた。「やってみると」強力で、5秒くらい熱しただけでいい感じに軟化し、つま先などはポーズをつけたい角度に押し当てるとその通りに曲がってくれる。この技最高だ。特許取ろう!
パテ盛りでポーズを作るのは結構楽しい。楽しいけど難しい。なぜかといえば、腕を上げたい場合、単に腕を上げるだけではだめなのだ。体も引っ張られるし腰の角度も変わる。つまり一つ動かすと全身が動かさないとバランスがとれない。ここはまだまだ修行を積まなければならないなぁ。さて各部位はエポキシパテでつなげる。案外乾燥が遅かったりして、自重で決めた角度が動いちゃったりするので要注意である。久しぶりにヨドバシにエポパテを買いに行ったら「速乾性」なんてのが売ってたんで使ってみたのだけど、ちょっと色が濃いので失敗だったかも。それほど速乾でもないし・・・
ポーズを決めたクルーは上半身と下半身を分けて管理している。これは塗装を考えてのことだ。そして上下いずれもパテの色を消すために白サーフェーサー塗装を施す。マクラーレンのシャツは白だからちょうどいい。注意するべきは上半身下半身とも、塗装で消えない位置に自分がどこのポジションかを記載しておくことだ。同じような上半身下半身が一堂に介した場合、もうパニックになることは証明済である。
さて下半身。まず半ズボンをどの赤色にするか?これもまた悩む。実物を見たことないし、写真はカラーバランスでいくらでも色なんて変わってしまう。もう気合一発でシャインレッドに決定。シューズは半ズボンよりも赤が強く見えるのでモンザレッド、シューズ下には白の縁取りとアシックスの白マークを入れよう。足裏は黒にするとあまりにもコントラストが強すぎるので、白を混ぜて少しトーンを落とす。秘密であるが、あまりにも時間がなかったため、ピットクルーの塗装はかみさんに任せた。そのかみさん、肌色を塗装多国籍だよね、いろんな肌の人いるよね、とあれこれいろいろな肌の色で遊んでいる。遊びすぎで「ゾンビ」のようにおどろおどろしい色になってたりしてるが、そこ文句言うとやってくれなくなるので怖くて言えない。
上半身で難しいのは、シャツの肩部分にあるマールボロシェブロンの赤柄である。何が難しいって「エッジ」をちゃんとシャキンとさせるのが難しい。かみさん意外にもうまくやってくれた。グローブは赤、インパクトレンチクルーのグローブはオレンジ、目も外人だから青だよねとか結構楽しそうにやっていた。
シャツにはデカールが貼られる。胸にMarlboro(三角付き)、右肩には上からGOOD*YEAR―Shell―Courtaulds、左肩は上からBOSS-TAG HEUERである。これはキットデカールに付属しているが、黄ばみがひどく使えない。なのでイラストレーターで作ってデカール印刷したものを使う。背中にはどでかくMarlboroである。これらのデカールを貼った後全体のトーンを合わせる意味で、フラットクリアーを吹いている。
前回のフェラーリジオラマはマンセルで作った。マンセルフィギュアやヘルメットも結構うまくいった。マンセルの特徴である片目ずつ開いているインナーの白いヘッドカバー?や、火災などの時のエア供給用ホースなどがいいアクセントになった。そして今回のセナ。いろいろハードルが高かった。
まずセナヘルメットのデカールがピリッとしない。25年前に購入したあとすぐに廃版になった「ドライバーフィギュア」のヘルメットデカールは既に使用済である。当然セナヘルメットで作成した。これは専用デカールってこともあってばっちり形状であった(当然Marlboroマークはない)。しかし25年前に作ったときにヘルメット内の保護布を緑色でつくってあり、これは91年までの色で会って、92年の青インナーにはならない。では新ヘルメットにモデラ―ズのドライバーフィギュア用デカールを使おう。モデラーズの1/20ドライバーフィギュアはプロストとマンセルそしてセナがすべてタバコマーク入りのスーパーデカールであるい。さらにカルトグラフ製なので隠ぺい力はばっちり。良し完璧!と思って貼り始めたがすぐに難敵であることが分かった。まず硬い。これはデカール軟化剤で何とかするにしても、R寸法が合わない。不本意ではあるが、ヘルメット裏は少しデカールの合わせが合っていない。
次にバイザー。これは少しテクが入っている。バイザーの両サイドは比較的大きな径のアルミの部品で固定されている。これを再現しよう。フェラーリモデルで何度か利用した「伸ばしランナー」を利用する。ヘルメットとバイザーを位置決めしてピンバイスで通しの穴をあける。その後その穴に伸ばしランナーを差し込み、3mmほど残して切断。ここで「線香」を登場させ、伸ばしランナーの先端に線香の赤い先端を近づけると・・・「あらら」伸ばしランナーがチュルチュルと縮まりながら丸まっていくのだ。そしてその瞬間、カッターの平たいところとかを押し付けると「丸」がつぶれて「円盤」形状になる。この技も特許もんであると思うぞ。
さてセナボディー。ベースになったフェラーリF189のドライバフィギュアはMP4/7に入らない。よく見ると横方向ではなくお尻あたりの形状が干渉しているようなので、フィギュアのお尻あたりを嫌ってほど削る。削りすぎたらスペーサー詰めてやればいいんで、それこそ思いっきり削るのである。デカールは自作品である。アルプスプリンタ大活躍!
92年のジオラマに決めたのは18インチ幅広タイヤで決めたかったというのがある。他に91年や90年のお気に入りマシンにリプレイスする場合も92年までの幅広タイヤで共通化できるということもある。さらに幅広タイヤ時代はGOOD*YEARマークが白の吹き付けってこともある。テンプレートで吹いたGOOD*YEARマークはかすれて味があるのだ。
MP4/7は比較的作りやすい構造である。なんてったってマクラーレン最後のフルカウル型マシンであることが大きい。カウルの継ぎ目がごまかしやすい。93年MP4/8以降は他チーム同様メス型モノコック+エンジンカウルという構成の場合、モノコックとカウルの境目が解消できない。なので、モノコックとカウルをはじめに接着して成型しておくなんていう手法をよく使った。別にカウル外すことなんてないプロポーショナルモデルだからOKなのである。
昔は下処理なんてちょこっとやっただけだったが、最近はこの下処理をさぼると結局最後に泣きを見ることがわかり手を抜けなくなっている。この下処理で意外に見過ごしがちなのが「パーティングライン」の処理である。金型であるからパーティングラインは避けて通れない。老眼になった今、パーティングラインを見えにくく見逃しがちであるのだが、知恵がついてパーティングラインはここにあるようなぁと推測できるようになったのが勝ってい、やはり伊達に歳をとってないことを感じる。
接着による段差やヒケ、押し出しピン跡などを、エポキシパテ、ラッカーパテ、溶きパテなどで何度か修正を繰り返す。
模型作成で意外に工数がかかるものに「マスキング」がある。今となってはほとんどの塗装をエアブラシで行っているわけであるため、マスキングは必須なのである。Marlboro時代のマクラーレンは誰もが知っている三角塗り分けであり、それは直線基調であり、一見簡単に見える。しかし「やる」と「分かる」が、マスキングは模型の出来を左右するほどの重要工程であり気が抜けないのだ。
蛍光レッドをデカールで仕上げていたときはマスキングは必要無い。でもデカールの場合凹凸や面ごとに分かれた部位にきれいに貼るのは結構しんどいし、完成後のクオリティーは明らかに塗装に劣るのである。やっぱり「塗装」がいい。
さて、いわゆるMarlboroシェブロンと呼ばれている逆三角赤。まずはマスキングの型紙を作成することから始めなくてはならない。タミヤのキットはデカール仕上げが標準であるけど、細い塗り分け凸がモールドされている。しかしこんなモールドは下地仕上げで簡単に消滅してしまうのでやっぱり型紙が必要だ。実はフジミのMP4/6には塗り分けのマスキング型紙がついていた。おお、これ使えるじゃんと思ったのも数分。折り曲がり部(後述)の位置が微妙に合わなくてすぐにただのゴミと化した。フジミよ、もっとまじめに作りたまえ。
そんなこんなでやっぱりマスキングシートは自分で作ることにした。まずはデカールをスキャンしてデカールベースで型紙を作ってみた。しかしデカールは複数枚で構成されており、そのPC上ではつながりが一意的に決まらなく使えない。結局最も原始的ではあるが、方眼紙的スケールを印刷して、それをカットアンドトライしながら制度を高めていく手法とした。
マクラーレンの型紙なんて「直線だから簡単じゃん」という声が聞こえてきそうだし、私もそう思ってたのであるが、実は赤ラインは2か所折れ曲がるところがあり、そこの角度も合わせておかないとマスキングテープに無理がかかり、きちんとマスキングされなくなったりする。この角度あわせも結構大変な作業であった。
でもMP4/6、4/7、4/8はもう型紙作れた。これから作るこの3モデルは楽だぞ(っていつ作るんだ?)
蛍光レッドは難しい。
・上からクリアーを掛けるとにじむ
・上からデカールを貼るとデカールが透けてくる
・一度に濃く吹くとひび割れる
・退色しやすい
といった特徴がある。確かに実践してみるとその通りで、なかなか使おうとは思わなかった。しかし蛍光レッドもいろいろなメーカーから発売されいろいろな特徴があって試してみる価値はある。
そのMP4/7で一番頭を悩ませたのが一体型のリアウイングである。前にも書いたので詳しくは書かないが、結局メインウイングとフラップは翼端板から切り離して別塗装して再度接着なんっていう「何やってんだろう・・・」的工作となった。タミヤも良かれと思ってやっているだろうけど、「良くない!」ぞ。
オールドF1マシンを作成していて困ることがこの「デカール」である。デカール困ったっちゃんの一つは「たばこ対応」である。90年くらいまではMarlboroマークなども平気で入っていたが、91年くらいになると全滅になった。タミヤも海外モデルはたばこマークなしで出荷していたと思われ、例えばMP4/4やMP4/5BのMarlboroマークはデカールの上部分にまとまって配置されていたりした。
デカール困ったちゃんのもう一つは「黄ばみ」である。デカールも数年経つと透明部分が黄ばんでくる。接着のためのニスが黄ばんでくると言われている。つまり在庫として長らくたったキットのデカールはほぼ使えない。さらにキットも作って10年ほどたつと貼ったデカールが黄ばんでくる。とくに白ベースのマシン(まさにマクラーレン!)はその黄ばみが目立ちすぎる。
作ったモデルのデカール黄ばみはもうあきらめるしかないが、作る前のデカール対応は結局
「自分でオンデマンドでデカールを作る」
しかない。なので私は日々F1関係のロゴをネット収集している。これも以前はいわゆるラスターデータ(Jpegとかのドットデータ)で収集していた。しかしラスターデータはやっぱり使いにくい。なので腹をくくりベクターデータ収集に作戦変更した。ネットの世界はすごいものでフリーでベクターデータを集めたサイトとかあったりして、ここにそれまたお宝データが落ちていたりする。しかし半分くらいはデータを修正したり、自分でスクラッチでデータ作ったりしなければならない。
しかしこのデカール印刷をするための最大の武器が「アルプスMDプリンタ」であることはPaddock-Clubをご覧の肩は良くご存じだろう。このMDプリンタの最大の特徴が「白」を印刷できることである。色の上に色のデカールを貼るとき、下地に白を打っておかないと色が変わってしまうのだ。MDプリンタはサポートもサプライ品も供給終了である。修理もしてもらえない。なので大事に使わなければならない。加えて、Windows 2000 32bitまでしかドライバが無い。実験の結果Windows7の32bitまでは何とか動かせたが、今の母艦Windows10 64bitはもう動かせない。なのでスペックダウンしたPCをあえて購入し、メモリ増設などして動かせるようにしたのだった。
本当にぎりぎりセーフだった。納品前日でこんな具合なのだから・・・
今回のジオラマでお気に入りの一つがこの「汚し塗装」である。ピカピカに磨き上げたマシンをわざわざ汚すのだ。そんなことしていいのか?と自問したのだが、納期前日の夕方涙を流しながらエアブラシのボタンを引く自分と、汚し始めたらどんどんリアル感が出てにやけ始める自分がいた。
汚し塗装をするとき自分なりに工夫した点は
●塗料はいつもはあり得ない「ダマ」となるようにする
である。吹き出せる状態で可能な限り濃い塗料として、なるべく吹き付け圧を低くするためにタミヤの旧タイプコンプレッサーを利用して、ボタンを押し塗料が吐出する瞬間の「ダマ」になりやすいのを利用したのだった。
汚し塗装を始めたのは納品前日の夜である。その後マシンを完成させてもうへとへとで「クルーの配置」は納品日の午前中にせざるを得なかった。何もトラブルがないことを祈って・・・
実はカウルを接着した。タミヤはダボが結構いい感じに軽圧入っぽくなるのでそのままでもよいのだが、ディスプレイ中に外れたらシャレにならないので、保険である。しかし後ろ側から接着したら、MP4/7カウルの前端にひっかけがあって、それがノーズに引っかかる構造なのを忘れていた。何が言いたいかというと、カウルの前端が収まらない・・・。どうしよう。
今回のジオラマで気合を入れたうちの一つが「フロントエアジャッキ」であることは何度も述べた。しかしこれまで作っちゃうのは世界じゅうで3人くらいかな?と思う。事実未だにネットでは見たことがない。
大変だった。正直簡単で標準的なパイプ人力ジャッキにしようかとも何度も思った。しかしここでめげたらせっかくのマクラーレンジオラマがウソジオラマになってしまう。負けられない。ということで、ネットでの資料あさり、見えないところまで見透かすがごとくの写真解析、最後は「多分こんなんだ!」という気合で完成させた。アクチュエータ―出力に金属シャフトを使ってリアル感を出したりと、いろいろ手が込んでいるのである。
ジオラマであるからにしてコースが必要である。これもこの時のことを見越して100均で買っておいたスチロール板が活躍した。見越しすぎて20枚も買ってあるのだが・・・。まず全体の配置を決めた後、路面境界やイエローラインなどの寸法を決める。その後グレーサーフェーサーで全面ライトグレー化、あとは決めた寸法に従って広範囲のマスキングをしながら塗装する。ポイントはなるべく遠目に吹いて「ざらざら感」を出すこと。路面境界やイエローラインはきれいな塗り分けエッジとせずに、ちょっとぼやかすことである。
コースの裏にはサインを入れておいた。裏なんて見る機会ないだろうけど一応自分の作品だからやってみたかったのね。
さてコースだけ作ってもちょっとちゃちいので、毎度のことながら木製フレームを作る。これももう何個も作っている定番作業であるが、のこぎりを45度の角度できっちり切り出す技がいつまでたっても身につかない。毎回「いまいちだなぁ・・・」と思いながら作業している。フレームは木製2段組で各々をペーパーでならした後、接着しオイルステインとニス3回仕上げである。
久しぶりに大作を作って自分に「ご苦労様」と言いたい。ロンも喜んでくれたし、作った甲斐があったのだった。