■TOP > Burns Red Special大改造 > (新)オールドレディーのモデリングと考察

■■■ ボディー形状・寸法を決めるために ■■■

 レッドスペシャルのモデリングが困難を極めるのは、撮影した写真からでしかサイズを導くことができない点である。これが今でもいつまでも「悩み」の元凶になるのである。そしてそれは、レッドスペシャルをキチンと撮影した画像が豊富に出てきた今だからこそ、出てきた悩みでもある。以前のように「この画像しかないよね」となれば、その画像だけを頼りにすればよい。

 しかしいくつか参照できる画像があると、その画像をフォトショップなどでレイヤに重ねアルファを変えて透過させたりすることができる。重ね合わせた画像がぴったり重なればベリーハッピーなのだが、そんなことは全くなくて、どっちを信じればいいんだ!的な悩みで日々悶々としてしまうのだ。なので、ある程度の割り切りの基にモデリングするしかない。但し以下に示すように、写真の特徴点から幾何学的な逆変換でカメラ撮影距離を逆算し、その撮影距離からパーツ寸法などの推定することも可能である。

 今回はこの写真からの幾何学検証でレッドスペシャルを解析しててみたいと思う。参考に、私が利用しているCADはご存じのとおりRhinocerosであるが、このCADの3D図表示部「パースペクティブビュー」はカメラ焦点距離、カメラ位置などを自由自在にコントロールできる。今回の解析にははこの機能が大変役立ったのだった。

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 今回レッドスペシャルを根本から解析しなおすため、さまざまな写真を収集した。その写真を元に各部の採寸や構造推定をしているわけだ。なので、その元画像を示しながら解説を入れることが、解説内容を理解してもらうのにちょうどいいと思う。が、もともと当サイトのポリシーとして著作物である画像の引用を控えることにしている。しかし少し工夫をしてグレーなかたちとすることで理解が深まるようにしたいと思う。



■■■ 撮影位置による写真の見え方 ■■■

 レッドスペシャルのX線透過写真を見てすぐ気付くのは、表側のバインダーと裏側のバインダーが重なって見えていなことである。裏側のバインダーは写真上では内側に見える。これは写真の性質上(いわゆるパースペクティブ)「遠くにあるもの(裏バインダー)はより小さく見える」ということからくる。さらにこの「小さく見え度合」であるが、赤緑グリッド線を見ると良く分かるが、撮影中心から遠いほうがより大きくずれて見えるのである。

 以下これらの検証をレッドスペシャルの外形をかたどった簡単なモデルと赤緑のグリッド線を例にして確認してみよう。グリッド線は400mm範囲を50mm間隔としている。赤線が上、緑線上下間隔は39mmとした。


◇X線写真のボディー部分(バインダーがずれている)

◇解析のベースとするモデル(赤が表面、緑が裏面)


撮影距離による影響

 まずカメラとギターの距離を変えた時にX線の絵はどうなるのか?を検証してみよう。

 カメラ撮影位置をボディー中央部真上、撮影距離を350mmと1,000mmの距離で比較してみる。まずカメラの撮影距離を350mmにしたもの。赤が表側のバインダ、緑が裏側のバインダ、水色点が撮影中心である。裏側のバインダは内側に大きく入り込んで写っている。撮影中心がギター中心なので、ボディーサイド部は可視できない。高さが変わっても(ギター表・裏ということ)画像の歪みは無いが、スケールは大きく変わっている




 次にカメラ撮影距離を1000mmと遠ざけたもの。表裏でのバインダーの大きさ違いは圧倒的に少なくなってほぼ重なっている。





【図1】木部の基本レイヤーである。思ったより骨っぽいのが分かる。

 以上から分かるのは、なるべく遠くから撮影した画像で、撮影中心に近い部位ほどギター表・裏のずれが少ない、ということである。まあこんなことは改めて言わなくても感覚的にわかるのであるが。ここでちょっとだけ幾何学的に寸法計算してみよう。

・カメラとギターの距離:H
・ギターの厚み:D
・バインダー部の撮影中心からの距離(ギターボディー幅の1/2):W
・撮影パースによるギター表裏バインダー部の写真上の見かけ距離:a


 上記をもとにX線透過写真における撮影距離Hを求めてみた。Dは39mm、Wは約160mm、aは約6.5mmとすると、撮影距離:Hは約1mとなった。なんだかそれっぽい数字でありちょっとうれしいかも。

 但しX線透過画像は後に示すような「加工」が入っていてちょっと厄介である・・・

撮影位置による影響

 カメラ撮影軸(撮影の中心垂直線)がギターのどの部分になるかも重要である。特に撮影軸がギター中心からから離れた場合、ギター厚みによる撮影距離の違いで見える画像の位置や大きさが変わるからである。そのあたりを例の模式化した画像で見てみよう。

 今回はギター撮影中心点を矢印のように右上方向にx:200mm、y:200mm移動した(撮影距離は300mm)。シェイプの大きさと位置が変わっているが、シェイプの歪みは無いことが分かる。つまり撮影中心がどこであっても同一平面状である限り正確なシェイプが得られるのである。但しレンズの収差による歪みの影響は無視している。ちなみに、撮影位置がボディー外側に移動したことで、当然だが向かって右側のボディーサイド部が見えている。これもあとのレッドスペシャル生画像解析のとき解析する。




被写体傾きによる影響

 こういう形状把握的撮影は被写体とカメラの垂線方向を一致させる必要があるが、安易に撮影すると被写体が傾いてしまう。いや安易に撮影しなくても治具などを利用しないとなかなか垂直にカメラを向けられない。レッドスペシャルの写真も大半がそういうものなので注意が必要だ。そのあたりを例の模式化した画像で見てみよう。今回はギターを10°傾けてみた。

 まず撮影軸ははボディー中心を狙い撮影距離300mmで見てみよう。右のグリッドを見ると良く分かるが、シェイプだけを見ると大きく歪んでおり、このままではトレースに使えない。ボディー形状は分かりにくいが、右側の膨らみが大きくなっているのが分かる。




 次に撮影距離を1mまで離してみると、歪みはだいぶ収まる。




 参考に撮影距離を300mm、さらに撮影中心を右上200mm/200mmにしてみるとちょっとトレースには使えないくらい歪んでしまう。




撮影における総括

 撮影された写真から寸法を採寸するために知っておかなければいけないのは、以下の3項目となる。
【1】カメラから被写体までの距離
【2】カメラ垂線の被写体に対する位置
【3】カメラ垂線に対する被写体の傾き
 これらを考慮したうえで画像の解析を行うことが重要である。っていっても実際は難しくてなかなか思うようにいかないのが世の常であるのだよ。









レッドスペシャル解析用正面写真

 さてネットで入手できる写真で、正面から撮影されボディー形状推定やパーツ配置推定に役立つ全体写真は以下の5+1枚である。
  【1】92年ライブパンフレット掲載写真
  【2】RS本撮影時の写真1(ボディーの高解像写真あり)
  【3】RS本撮影時の写真2
  【4】X線透過写真
  【5】79年日本公演バックステージ(おまけ)
  【6】RS本撮影時ビックガードはずしボディー写真

 このボディーの比較的高解像な4写真(No1,2,4,6)をフォトショップで重ね合わせ、スケールと傾きを補正し、アルファ(透過)を調整しながら形状の確認を繰り返した。実に地味〜な地味〜な作業である。そして、おのおのの写真に関して分かったことを書いてみよう。自分でも「書くため」に解析を進めると理解が進むのが良く分かるのだ。「人に物事を説明するときは自分が一番分かっていないと説明できない」ので一生懸命勉強する、ってのと同じである。ちなみに水色のドットが撮影中心と思われる場所である。


全体図









X線透過写真

X線透過写真(全体編)

 レッドスペシャル解析に絶大な貢献をし、世の中のレッドスペシャル愛好家が狂喜乱舞した(と思われる)「X線透過写真」、これを良く見ると3枚の写真をつなぎ合わせたものだということが分かる。つなぎの境界はボディーくぼみ部と6フレット部の2ヶ所である。ボディー部はブリッジ部あたりを撮影中心、ネックハイポジション部は13フレットあたり、ネックローポジション部はナット部あたりが撮影中心であろう。

 このX線画像を良〜〜く見ると1〜6フレットはフレットが左側に膨らみ、7〜12フレットは右側に膨らんでいることからも分割写真ということが分かる。ボディー膨らみ部表裏のバインダーは均等な幅でずれて見える。なので撮影軸の垂直度はきちんと出ているようだ。これはX線撮影装置は工業製品であるからして、そのつくりはしっかりしたものだからと思われる。

 この写真と同じような撮影位置と距離また分割線で、3枚のCAD図を同じようにつぎはぎしてみた図を示す。黄色い線の部分で分割、水色のドットが各写真の撮影中心、各分割部分の撮影距離は1mとした。なんかばっちりかも。






X線透過写真(ボディー編)

 さて最も重要なボディー形状を決める際にも、やはりX線写真が大きな威力を発揮する。その際にやっぱり厄介なのが、X線透過写真が切り貼りされていて、そのつなぎ目をどう解釈すればよいか?である。ここで先に述べた「撮影位置による〜」の項が参考になる。各部位ごとに撮影されたX線写真は、撮影距離や対象の傾きに関しては、多分X線撮影装置により一意に決まっており問題ないだろう。そうであれば考慮しなくてはいけないのは撮影位置だけである。X線撮影装置であればたぶん撮影距離が変わらないため、つなぎあわせであってもボディー表面部位(表バインダー部)に限れば正確なシェイプを保っているはずである。ということでいろいろ悩んだが、このページを書きながら自己学習が進んだ結果、X線透過写真は「神」であることが決定した。

 では、X線写真のように貼りあわせしたものと、1枚写真とでは見え方がどう変わるか?をちょっと考察してみよう。こういう時にはやっぱりCAD図が役に立つなぁ。CAD大好き。以下に2枚のCADの3D図をキャプチャーしたものを示す。

 【A】ブリッジを撮影中心とし貼りあわせをしていないボディー図
 【B】上記X線撮影と同条件でキャプチャした2枚の図をX線画像と同じ位置で上下貼りあわせたボディー図

見ようによってはあまり違いが見れないかもしれない。




 ではボディー写真貼りあわせ部分を中心にもう少し詳細に考察してみよう。まずはポイントとなる箇所に番号付けをした。画像の下でコメントを記してみた。




1.木ねじ(トップコアとボトムコアの締結用)
 撮影中心から離れるにしたがって撮影距離方向(ボディー深さ方向k)のネジなどの部品は傾いて見えるのである。ブリッジ中心で撮影した場合とネック12フレット付近で撮影した画像を貼りあわせたものでは、当然であるが、傾いている方向が逆である。X線写真とばっちり同じ、よし!

2.左右角部分の上下バインダー見え方
 この部分が一番違いの出るところだ。

3.ボディーサイド部の見え方
 当然なのだが、貼り合わせ図のネック側は12フレットあたりからの撮影であるので、ボディーサイドが見える。

4.シールド用半田
 93年の大改修でチャンバー部は銅箔シールドで覆われた。その銅シールドを電気的につなぐためあちこちに半田がされている。X線では金属である半田は真っ白にわかりやすく映るのだ。そしてX線写真貼りあわせライン近辺にも半田がされているが、この半田はボディー深さ半分の場所であるため、つなぎあわせの「両画像に」この半田が見えてしまっている。一つしかない半田だが、双子のように2個並んだ画像もX線画像とばっちり同じ、よし!

5.つなぎ合わせ部バインダー
 表のバインダーはきれいにつながっている。これは貼りあわせをした人が上バインダー基準で行ったからである。しかし、裏のバインダーは理論通りにずれてしまっている。そのずれ方もX線写真をばっちり同じ、よし!

6.チャンバー側面銅箔シールド
 チャンバー全体に貼られた銅箔シールドであるが、X線撮影装置から見ると側面に貼られたシールドは金属密度が高くみえるため、X線写真では真っ白に見える。中央側(6a)より外側(6b)の白幅が太く見えるのは、撮影中心から離れた場所は撮影距離(深さ)に対するずれが大きくなるということに起因してるからだ。CAD図で見るとそれがよくわかる。そしてシェイプをトレースする時も太くなっている線のどちらを利用したらよいかもおのずとわかるだろう。



レッドスペシャル正面写真はどうか

【1】92年ライブパンフレット掲載写真


【図1】解析のベースとするモデル(赤が表面、緑が裏面)

 初期はこの画像だけを頼りにモデリングをしたので、隅の隅まで舐めるように画像を見たので非常に懐かしい。

●撮影中心:パンフレット用でギター全体を撮影しているため、撮影中心はネック12フレットあたりのようだ。両ツノの内側側面がよく見えることからもそれが分かる。

●傾き:向かって左側にサイド面が見えるが右側にはそれが見えないし、ツノ部内側面も右側のほうが若干多く見える。さらにアームを受けるシャフト部分の中心側が見えている。よってギターが左を手前に傾いて撮影されたか、撮影中心が左側にずれているかである。つまり左側のボディーのボリュームが大きく見えることになる画像だ。

●その他:またフライヤーさん改修前であるから、ピックガードのブースター跡孔には黒テープである。PUサラウンドももうぼろぼろだ。



【2】RS本撮影時の写真1(ボディーの高解像写真あり)


【図1】解析のベースとするモデル(赤が表面、緑が裏面)

●撮影中心:全体写真からボディーを抜き出した写真である。全体写真であるからにして、やはり12フレットあたりが撮影中心と思われる。

●傾き:右サイド面が少し見えているため、ボディー右が上もしくはカメラ位置が右に寄ったところから撮影されているようだ。ネック付け根部分も向かって右側が少し見えている。



【3】RS本撮影時の写真2


【図1】解析のベースとするモデル(赤が表面、緑が裏面)

 これもRS本出版時に撮影されたものである。上記2の写真のように拡散光を用いて全体に光が回るようにはいていなく、テール側から一灯の斜光で「陰」を強調したものだ。記録用というよりどちらかというと芸術的な画像を狙っている。

●撮影中心:これも全体写真からボディーだけを抜き出している。が、この写真は疑問満載だ。フレットのゆがみから見ると12フレット中心で撮影されたように見える。しかしツノ内側サイド部が見えないということは、ボディー中央から撮影されたものと思われる。なぜ見えない?斜光でサイド部が見えないだけかもしれない。

●傾き:写真はサイド側面が一切写りこんでいないし、



No2写真


【図1】解析のベースとするモデル(赤が表面、緑が裏面)

●高解像ボディーPG無し  ブリッジPU上部あたりが撮影垂線のようだ。ボディーサイドの面はどの面も写っておらず、短焦点レンズで比較的近くから撮影したものと思われる。ただし各PU、指板の左側側面が多少見えることから、ボディは多少左が手前、右が奥側に傾いているようだ。つまり右側が小さく、左側が大きく写っている。



●新高解像ボディーPGあり/旧ボディー中解像度PGあり 両方とも12フレットあたりをカメラ原点で撮影したと思われ、外形ラインがピタッと重なる。 ・撮影原点:  全体撮影なため12フレットあたりを撮影原点にしている(両角の内側にサイド部が見えるため)。そのためボディーは画角端部にあたりひずみがある可能性が高い。 ・撮影垂直度:  ネックジョイント部右側および、ミドルPUレベルのボディーサイド部が見えることから、カメラ軸に対してギターが垂直になっていない(向かって左が奥に、右が手前に傾いている)。そのためボディー左側が小さく、右側が大きくなって見える。つまりこの写真をベースにトレースはできない。

主要パーツ部の拡大比較


ということで、カメラ垂線が12フレットくらいだけど撮影距離が長い画像と、カメラ垂線がボディー中央だけど撮影距離が短い画像とどっちを使おうか思案している。