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■■■ YAMATO GUITAR WORK SHOP YGW-3300(BR) ■■■


背景

 楽器っていうのは、その持っている機能と合わせて、芸術品としても成立するものと思っている。というと、少しは楽器に埋もれた生活を正当化できるのではないか?と。そして安物ジャンクギターを買いあさり、そろそろちゃんとしたものを買わなきゃな(「買うのを卒業」と書ければいいのだが・・・)、と思っていたとき、前から目をつけていたギターが出品された。

 そうヤフオクである。最近ギターを買うといえばハードオフかヤフオクしかないっていう情けない状況だが、やっぱり安く買えるに越したことはないのである。

 そしてそのギターとは一部で「謎のギター」とうわさされる「大和ヒューマンギター」という会社が作っているギターである。この会社のポリシーは「安くてかっこいいギターを供給する」という方針らしい。確かに普通じゃないギターばっかりだ。エレキギターもたくさんあるのだが、今回はアコースティックに心を動かされた。まず超豪華なインレイが施されたシリーズに食指が動いたが、それはあくまで6弦アコースティックギターであって、それならば家にたくさんある。やっぱりこんなの触ったこと無かったぜというものが欲しい。それがダブルネックアコースティックギターであった。

 ダブルネックといえばジミー・ペイジであろう。子供に「アコースティックのダブルネックだぜ!」といったら、あのイーグルスのライブで使ってたやつ?と応えたのは、ちょっと教育のしがいがあったなぁ、とうれしくなったのだが、SGのダブルネックを買ったとしてもHotel CariforniaかStairway to Heavenを弾くしかないのであって、それじゃああまりにもコストパフォーマンスが悪すぎる。ギターピン職人を目指す私としては、ここはアコースティックでしょ。

 実はこのギターにたどり着いたのは、「12弦」で検索をかけたときであった。12弦と6弦のダブルネックアコースティックが引っかかったのだった。しかしよくよく考えてみると、12弦と6弦のダブルネックって微妙に意味なさそうである。12弦はそのほとんどがストロークで弾かれる楽器というイメージがある(実は我が師匠ブライアン・メイ先生は、ライブで弾くアコギは12弦でフィンガーピックしているけど・・・)。とうことで、イジイジしていたら、なんと、ガットとスチールの両6弦ダブルネックアコースティックが出品されているではないか。これだ、コレだよ。と勢い飛びつきたかったが、実はガットがしたでスチールが上という、「逆じゃない?」と思える仕様で踏みとどまった。しかししばらくたつとガットが上でスチールが下という、「コレだ!」仕様が出てきた。でも色が黄色っぽくてちょっと嫌だ。どうやら他にブラックとシースルーブラウンがあるのだ。そのどちらかが出品されたら入札しよう、と思っていたら、ブラウン品が出品された。

 この大和ヒューマンギターという会社はベトナムで生産して安くしている(と説明されている)。だけどこのダブルネック自体は定価88,000円とそれなりに高い。楽天あたりで売られているのは4万円くらいだ。しかしヤフオクだとスタート価格=即決価格で32,800円だ。それだけでも安い。それだけでも安いのだが、このショップ「値引き」という制度を取り入れており、値引きが可能だ。買いたい金額を入力して売主がOKならそこで即落札である。そして初「値引き」をやってみたらあっさりOKになった。そして結構ちゃんとしたダンボールに包まれたハードケースに入れられ、我が家にダブルネックギターが送られてきた。

レビュー

●鳴りがいい
チューニングをして弦をはじいた瞬間、驚いた。すごく「鳴る」。しかしこの「すごく」という形容詞は相対的な判断であることを理解しなくてはならない。なぜかといえば、比較するのが、オベーションだからである。オベーションは生音は泣いちゃうくらいチープであるから・・・

 中学に入学しエレキが欲しかったけど買える限界がアコースティックだったっていう思い出の「トムソンアコースティック」を買ったのだが、それこそしゃぶるまで使い切ったギターであった。さらにトムソンじゃん、っていう頭が最後まで抜けなくて扱いも雑であった。しかしこのギター今弾くと良く響くのである。そしてその後の円高を利用しちょっと安くなったのを狙って買った憧れのオベーション/ディープボウルであるが、家に帰ってきて「ジャラ〜ン」と鳴らした瞬間に幻滅した。所詮生音で弾く楽器ではなかった。さらにリビング用に買ったスーパーシャローのオベーションはディープボールのものに輪をかけて泣けちゃうくらいの音で、もはや生音を楽しむ楽器とはいえないのであった。

 そういう状況で買った今回のダブルネック。ボディー厚は80mm、サウンドホールはホールじゃなくてデザイン穴であるが、びっくりするほど「鳴る」のである。6弦なんて鳴らすと「おっ?地震か?」と思えるほどだ。楽器の「質」にはあまりにも無頓着な私であったが、今回のギターでいろいろ勉強になったぞ。

●パーツ
 はっきり言って、微妙〜である。まずペグが安っぽい。スチール弦のペグはボックス型で一昔前の安物ギターレベルである(今の安物ギターはちゃんとグローバータイプのペグになってるのだ)。ナットも頼りない感じ。フレットはすり合わせなどされていなく、チョーキングしてみるとザラザラとした嫌な感触だ。

●塗装
 塗装の仕上げはいい感じだ。また良い悪いは別にして、面白いのが、ブリッジを貼った後にボディー全体をクリア塗装している点である。いままでこういうやり方は見たことない。そして新品ギターだなぁと感じるのがその「匂い」である。この匂いをかいだ瞬間中学1年で初めて買ったギターを弾いている感じに一気にタイプスリップした。

●サイズ
 スチール側のネックが太い。オベーションはめちゃ細くてエレキのようなネックであったので、その太さをきっちり感じる。Amを1弦までちゃんと音を出している状態で、親指で6弦1フレット(F)を押さえるパターンがきつい! ボディー厚みは80mmであり、かかえやすくてよろしい。だけどさすがにダブルネックであり、下のスチール側を弾くとき少しだけ体がきつい。

●その他
 ちゃんと006Pの電池は付いていた。ちょっと安っぽい外装のハードケースも付いている(ちょと邪魔だけど)。ガット側を弾いていてなんだか違和感があった。その違和感はポジションマークであることが分かった。なんと10フレットにポジションが打ってある。普通は9フレットじゃない?と思い、2階で塩漬けになっているオベーションガットを見てみた。おお、やっぱり9フレット。販売元にメールでもしようと思ってネットで調べてみたら、なんとガットは10フレットにマークのあるものが多いと言うことだ。こりゃ分かりにくいね。



■■■ ショット ■■■




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