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■■■ 黒白赤フランケン ■■■




■■■ 能書き ■■■

フランケン第2作「黒白赤モデル」であるが、実は第1作の黒白フランケンと同時平行製作していたのだ。しかし、いろいろ手がかかる黒白赤モデルなので、ついついというか、ただのダラダラ製作となってしまい今の今まで伸ばしてしまった。

 さて最も人気が高いといわれる黒白赤フランケンであるが、オリジナルボディーは改造に改造を重ね、かつ全く扱いに気を使わないエディーの性格からか、時代とともにどんどん汚くボロボロになっていくのであった。さらにネックはシャーベルのストラト風ヘッドのものからクレイマーのペイサーヘッドとなり、最終はクレイマーのバナナヘッドにまでなっていく、変化のギターなのである。

 今回のレプリカモデル作成にあたって、二つある最も「違うじゃん」のひとつは指板である。メイプル指板の安物ギターが入手難で、とりあえず(あくまでとりあえずだ)もともと付いていたローズ指板のネックを取り付けておいた。エディーのギターはメイプル指板がトレードマークなのでいつかはメイプル指板ネックを入手しよう。そしてもうひとつの「違うじゃん」はブリッジである。フロイドローズのブリッジが入手できていない。ジャンクギター漁りで買った「フェルナンデス」のタケウチローズであるが、駒の一つが壊れていて使えないという状況だ。しょうがないので「とりあえず」付いていたブリッジを使うことにした。まあ今回のは「練習」ですから・・・

 ベースになったギターはジャンクギター1号機のSelderブラックカラーモデル(ローズ指板)である。つまりジャンクギター2号機の同じSelderブラック(メイプル指板)より前に買ったモデルであるからにして、同時進行的に改造が進んだことがわかるだろう。



■■■ ボディーの補修(軽微なパテ埋め) ■■■

 今回の改造が手間取った理由がこのボディーの補修である。補修するところは超大きな補修と軽微な補修である。まずは軽微な補修から。これはボディーに大きな打紺、その打紺から塗装がパックリと割れ剥がれてしまった部分である。ここをパテで埋める。

 さてそのパテ、コレも悩みの種であった。レッドスペシャル改造もフランケン改造も、薄給で家族を養うのに精一杯の身、「お金を極力かけないでやる」がポリシーであるのある。つまり高価なパテなど買えない。なので最初は図にあるような「ウッディーパテ」を利用した。これはもともと床にいろいろ落下させてしまい、ボコボコした床の補修用に買ったものだった。しかしこのパテ、いろいろと使っていると「水性塗料で仕上げてください」と書いてあるのが気になり、油性塗料もばっちりというパテを追加購入した。どちらも500円くらいで買えるものだ。

 その際ちょっと奮発して800円もするが容量が少ない、ちょっとよさげなウッドエポキシパテも買っておいた。しかしもともとケチである私はこのパテをまだ使っていないのである。じゃ何のために買ったんだろう?こうやって買ってはみたものの、使わないで放置しておいたら中身が硬化したり分離しちゃって使えなくなった材料、シリコンやキャスト、エポキシパテ、ラッカーパテ、ウレタンニスなどなど、たくさん持っているのだよ。成長しない私である。はははは・・・


【図2】

【図3】





■■■ ボディーの補修(軽微じゃない大改修) ■■■

 もう一つの大きな補修というか、もう改造に匹敵するのが「弁当箱対応」である。図4を見ても分かるとおり、安物ギターの代表選手であるSelderはピックガーと内がごっそりエグリ取られている。これはどんなPUがきてもOKなボディーの共用化を極限まで進めた結果であることは間違いない。黒白フランケンはピックガードがあったためこんなのどうでも良かったが、ボディーネイキッドな黒白赤フランケンの場合、どうにかしなくちゃいけない。思案した。やっぱりベースとなるボディーを弁当箱Selderにするのをやめようかとも思った。完璧ボディーを持つ「Photogenic」(図5)という同じ安物ギターもあったことだし・・・。だけど、今回は「練習台」ということで、ちょっとチャレンジしてみようと誓った。何事もやってみることが重要である。それが以下の埋め埋め戦法である。


【図4】

【図5】




 埋め埋め戦法・・・なんて安易な呼び名だろう、だがその名の通りで最も分かりやすい工法である。つまり弁当箱を埋めるのだ。しかし全部埋めてそこからトリマーで切っていくのもちょっとなんなんで、以下の方法をとる事にした。

 ●ベース板を敷く(PUの締結ネジを逃げるために弁当箱サイドがが異様に深くざぐられているため)
 ●10mm厚の集成材を事前にトリマで切っておいて、それをはめ込む

 さてベース板。正面から撮影した写真を元にPhotoshopでアウトラインをトレースするのが順当なやり方であるが、まあ面倒だったので、紙をボディーに当てて、アウトラインを写し取った。究極のアナログ手法である。弁当箱の深さは16mmだったので、11mmのトリミングされた集成材を入れ込むため、5mmの板を切り出した。超アナログ手法でぴったりと収まった。しかしまだ接着はしていない。


【図6】

【図7】





■■■ ボディー ザグリアウトラインの作成 ■■■

 さて次は修正のハイライトであるPUザグリの作成だ。11mmの集成材をトリミングするが、アウトラインは実物フランケンの写真をベースにした。こういうのはネットにぼろぼろあるのだ。いい時代だ。このアウトラインを解像度を整え出力した(図8)。なんかそれっぽくていいねぇ。こういう気持ちの高揚が大事なのである。このトリマアウトラインは弁当箱のアウトラインとドンピシャに決まるれば最高であるが、まあそんなことはありえないので、若干1mm程度外形を小さく切り出すのがポイントである。隙間なんぞどうにでもなるが、入らない場合は大変な加工が待っているから・・・


【図8】

【図9】





■■■ ボディーの加工 ■■■

 さて集成材の加工をする前に、上記で作ったアウトラインを元にボディー側を削っておく。加工領域が弁当箱よりも少しだけはみ出しているからだ。まずアウトラインを切り出した残りの紙をあてがい、加工場所をマジックで描いておく。そしてトリマーでガーっと削る。当時はまだ安物トリマしかもっていなかったので、あまり上手い加工にはなっていない。ちなみに弁当箱の下がトンでもなく塗料でボコボコになっていたので、ペーパーで馴らしておいた。


【図10】

【図11】





■■■ ベース板の貼り付け ■■■

 上記で切り出したベース板を貼り付けた。実は手持ちの5mmの板は長さが足りなかったので、その辺にあった5mmの板切れで付け足した。この板の上から直接塗装するのもなんだから、パテで埋めておいた。あわせてトリマ加工がへたくそだった所(側面)もパテで埋めた。


【図12】

【図13】





■■■ PUザグリの貼り付け ■■■

 上記で作った型紙から切り出した11mm集成材をボディーに貼り付ける。このとき重要なのは、集成材が多少低くなるように厚み方向の寸法を決めておくことだ。集成材とベース板の間には接着剤をたっぷりぬっておき、ちょびっとフローティングするくらいの感じで接着することだ。そして上から集成材押さえつけるようにして、ボディー表面と面一にするのが良いだろう。当然接着剤は脇にあふれてくるが、それはふき取る。その際あふれた接着剤をエッジ部に刷り込み「ちょとしたR」っぽくさせておくのが良いだろう。

 さて隙間が出来るのは必然である。その隙間は「パテ」で埋めてしまえばよろしい。ちなみにスイッチキャビティーの大きさも広すぎたので、パテを盛っておいた。


【図14】

【図15】





 しかしこれだけ大面積に及ぶパ補修は大変だった。盛って、削って、また盛って、また削ってを繰り返した。さらに時間がたつを「ヒケ」ちゃったりする。そうするとまた盛って削ってを繰り返さなくてはならない。表面のパテ補修はペーパーがけで何とかなるが、狭いところにペーパーを入れるのが大変だ。それにR部分にペーパーをかけるのも大変だ。そして今回初めて導入した新兵器が「のみ」である。ダイソーで1本200円である。しかしこれは優れものだ。平面は斜めに軽くこそげばいいし、RはRのみを使えばいい。サクサクいけるので結構気持ちいいね。


【図16】

【図17】





■■■ 塗装1(黒) ■■■

 ボディー補修が終わったら塗装工程に突入だ。まずは黒。ボディーを補修したので黒をちゃんと塗装しなければならないのだ。一度黒を吹いた後、一度ペーパーをかけるが、当然多少のでこぼこで下地が出てきちゃう。これは想定済みだ。


【図18】

【図19】



■■■ マスキング1 ■■■

 しかし今回大変なのはマスキングである。白黒フランケンは簡単だった。ただマスキングすればよかった。だが、黒白赤は2度のマスキングを完璧にしないといけないのだ。赤を塗るためのマスキングはその下の黒白マスキングが本物と同じになっていないと、そこらじゅうで「ここ違うよなぁ」となってしまうのだ。なので、白黒のマスキングは前回にも増して緻密に再現しなくてはならない。もともとエディーが”適用”にマスキングしたところを精密にコピーするなんて、なんだかなぁ、という思いもある。やはりオリジナルの力である(トップを走るメーカーは自分の思うように製品展開できる。2番手以降はトップを意識しながらの開発になっちゃうのだよ)。


【図20】

【図21】





■■■ 塗装2(白) ■■■

 そして白を吹いた。ZO-3と一緒に乾燥である。


【図22】

【図23】



 相変わらずマスキングをはがすのは気持ちいいのだ。日焼けの皮をむくような、そんな至極のひと時である。


【図24】

【図25】



 白黒状態完成! 相変わらずはいい感じだなぁ。このままでもかっこいいよなぁ。


【図26】

【図27】





■■■ レリック1 ■■■

 次の赤に備え、マスキングの境目のエッジをペーパーで落としておく。そのついでに、黒白状態の時に使い古した状態のレリックを施しておこう。まあペーパーをかけただけなので、なんだか非常にきれいなレリックだ。まあいいか。


【図28】

【図29】



■■■ マスキング2 ■■■

 あああ、マスキング状態の写真撮ってなかった・・・

【追記 2010.9.22】そんなはずないのになぁ、と思っていたのだが、やっぱりちゃんと写真撮ってあった。隣のフォルダにまぎれいていたのだった。なので追加しよう。


【図40】

【図41】



 写真撮ってたら猫が近づいてきた。フランケンキャットだ。


【図42】

【図43】




■■■ 塗装3(赤) ■■■

 さて赤塗装だ。赤スプレーは2種類ある。コーナンのは300mlで198円、ロイヤルのは400mlで298円。コストパフォーマンスが高いのはコーナンだ。コーナンはガス圧が高くて一気にいける感じ。ロイヤルのはガス圧が弱くて塗料の粒子が細かい感じ。使い分けるのが良い。まずはコーナン製で吹いた。3度くらい重ね塗りしたが、したの黒が隠れなく、隠ぺい力が低い。では、と言うことで、ロイヤルスプレーを吹いた。

 と、吹いたとたんにちょっと血の気が引いた。色が違う。めちゃくちゃ暗い赤である。おー迷子ー・・・じゃなくてオーマイゴー。

 しょうがないから、ペーパーがけを結構強烈にして、赤をどんどん落としていった。


【図30】

【図31】



【図32】

【図33】





■■■ レリック2 ■■■

 さて本格的なレリックを行おう。だが、始めたらめちゃくちゃ面倒だと言うことが分かった。最後は面倒でもうどうでもいい状態だ。レリック中の写真、やっぱり撮り忘れているが、完成品写真でどうぞ。



■■■ 組み込み・その他 ■■■

 黒白赤のフランケンは、通常のピックガードをポッド部分だけ切り離して使っている。なので切り離そうと思ったが、黒でいい感じのピックガードが無い。なので、白PGを切り離し着色した。


【図34】

【図35】



 組み込みたいが、組み込めない日々が続いた。なぜかって? PUが無いからだ。どーもこーも放置プレイが長らく続いたので、しょうがないのでヤフオクでハムバックPUを落札した。エピフォン製である。


【図36】

【図37】



 最後はちょっとした部品だ。まずコイン。エディーはアームアップさせないためにフロイドローズに下に挟み込む位置にコインをネジ留めしていた。USの25セントである。完全コピーを目指すならこのコインを入手しなければならないが、まあ今回は練習だ。その辺に転がっていたカナダ25セントが色や大きさでドンピシャだったので、それを利用した。US25セントはの右向きなのであるが、カナダ25セントはエリザベスU世の左向きである。まあ面白いではないか、と勝手にいいように解釈しておこう。

次はリアに貼り付けてある「反射板」。丸型は近くのホームセンターで見つけた。が、長細い奴は見つからない。ネットではアメリカでしか売っていないそうだ。まあつけなくていいか・・・


【図38】

【図39】




 しばらくした後にやっぱりタバコ焦げを再現したくなった。こればっかりは運を天に任せるしかない。タバコを吸わない私はどうやってこれを再現するか?はんだごて?否。やはりタバコはタバコでやってみるのが良い。ということで、昔F1に行ったとき、マイルドセブンブースでもらった試供品のタバコを開封した。そして火をつけて軽くふかして・・・したら、「おえっ!」ときた。昔タバコを吸っていたにもかかわらず、今軽く火をつけるだけほんの軽く吸っただけで吐きそうになった。よくもまあこんなもん吸ってたなぁ、といまさらながら思うぞ。

 さて結果は下にある通り、ちょっと焦げすぎた。茶色に軽く焦がす感じが結構黒くなってしまって残念である。安物ギターのクリア溶剤が焦げやすいものであったのだと思う。


【図44】

【図45】




■■■ 完成 ■■■



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