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■■■ ZO-3 ■■■




■■■ 出会い ■■■

 ZO-3。絶妙な命名である。絶妙なシェイプである。昔は「邪道なギター」という思いがあり、手にするのもおこがましかったが、時がたつにつれ「面白いよね」と印象が変わってきた。決定打は会社の同僚達とバーベキューしたときに、ZO-3を持ってきた人がいたことである。弾かせてもらって面白さが良く分かった。

 しかし新品で買うほど経済的に恵まれているわけでなく、新品で買ったら手を入れるのにすご〜く躊躇するだろうということもある。そんなときにハードオフ津久井街道店で出会ってしまったのだ。ジャンクコーナーにあったそのZO-3。ポップな水色で決して好きな色じゃぁない。スイッチが壊れている、というかなくなっている。でも価格は4,200円。なかなかこの値段で見つけられない。スイッチは何とかなるだろう、ということでお買い上げだ。

 それにしても、表といい裏といい、まさに「ぞうさん」である!


【図1】

【図2】

【図3】

【図4】




■■■ 即ばらす ■■■

 家に戻り即解析だ。ほほぉ〜ZO-3はこういう構造なのね。ふむふむ。おお、スイッチは見事に壊れているじゃん。ハウジングだけが残っているぞ。ボディーからダイレクトにスイッチが出ている構造上、ぶつける可能性はめちゃ高い。多分ぶつけてスイッチのレバーがもげたのだろうなぁ、と思いながら25年くらい前に買ったスイッチストック(当時は自作電気小僧であった)から、それらしい3Pのトグルスイッチを選び出し、半田を握ったら、ぜんぜん問題ないじゃん。この状態で10分くらいZO-3のパフォーマンスを楽しんだ。ボリュームを下げるとクリーントーン、最大にするとクリンチする。音も結構でかい。ここまで確認したら、手にはドライバが握られていた。


【図5】

【図6】

【図7】

【図8】



【図9】

 ばらし始めて困ったのは、「ネジのサビ」であった。結構年季が入っているこのギター、木ネジが内部で結構さびている。別に見えないからいいじゃん、と普段なら思うのだが、そう思えない事件が発生した。ネジをはずしているとき、ちょっとトルクがかかった2ヵ所ばかり、ネジが折れた。これは困った。困ったけど、解決策が見当たらないので、このまま埋めておこう。






■■■ 塗装をはぐ ■■■

●まずはネックヘッド部の塗装をはぐ

 私はヘッド部がカラーリングされているギターが嫌いである。めちゃくちゃ保守的なのだ。なのでカラーリングされているヘッド部を即ペーパーがけだ。このペーパーがけはBurnsレッドスペシャルが練習台になった、っていうもったいなさであるが、やはりそのときのペーパーがけが塗装のリフィニッシュに関してのスキルアップになっていることは紛れもない。不透明有彩色塗装のギターを手がけたのは初めてであった。戸惑うことなくペーパーを当てる。まずFERNANDESさんとお別れである。木目が見えてくると気合が入ってくるぞ。


【図10】

【図11】


 さてここでほほぉ〜と感心したかったのは「ちゃんと下地が白塗装しているじゃん」ってことである。模型をやっていて体感したのは、黄色や赤などはきちんと下地を明るい色で作っておかないと、キチンをした発色の色になってくれないということである。感心したかったのであるが、そのまま水色塗装であった。実はPhotogenicなんていう、安物ギターメーカーも赤は下地で白を塗装していたのだが・・・。みずいろ塗装は20分できれいに取れた。サンディングシーラーを上手く残せてよかった。目標はフランケンへの改造である、へたにグロス塗装(ぎらぎら)しない方が良いので、サンディングシーラー層はそのままにしておくこととした。ということで、ネック完了!(しかし塗料粉ってちょっと削っただけでも大量にでるのだよ)


【図12】

【図13】


●ボディー表面をサンディング
 塗料の食い付きを良くするために、ボディー表面を満遍なくサンディングする。300番で行ったが、手で触った感じだといい感じで滑らかなのであるが、スプレーしたらスクラッチキズが分かってしまった。600番くらいがいいのかもしれない。




■■■ 黒塗装 ■■■


【図14】

 黒白フランケンを作るときは、まずボディーが黒で無ければならない(わけではないが、黒ベースが一番楽ちん)。なのでボディーを黒塗装するのだ。今回は裏の樹脂(多分塩ビ)カバーも例外なくデザインの中に組み込まれているため、これも黒塗装だ。

 ちなみにZO-3の場合、ネックを留めるスクリューの座になる金属プレートはない。手持ちのプレートを使ってもいいのだが、スクリューの締結位置が違うのでそれも使えない。このプレートを使わない構造の代わりに、スクリューが締まっても、ボディーにスクリューが食い込まないように、金属の環が埋め込まれている。また弦がボディーを貫通するテレキャスター方式である。その弦のエンドを固定するためにこれまた金属の環がボディー裏に埋められている。

 この両「環」は塗装したくないためマスキングが必要である。ネック部の環は15mmなので、手持ちの15mm丸シールがそのまま使えた。

 ブリッジ部は8mmの環だったので、マスキングも面倒なので、8mmの丸テープを使った。ドンピシャ!そして上記の通り、スクラッチ傷が思いのほか深かったようで、それが塗料で埋まらなかった。まあこの上から大量にクリアを吹くからそのとき消えるでしょ・・・


【図15】

【図16】



 ちなみにZO-3シリーズ、裏に比較的大きめな樹脂のフタがある(アクリルじゃなくて塩ビである)。このフタまで塗っちゃおうというのが、今回のポリシーだ。さらにスピーカー部の円形化粧版と出力プラグの保持部品、電池ボックス、この辺も全部塗っちゃうのだ。





■■■ マスキング ■■■

 黒にマスキングをして白を吹くことで、黒のストライブができる。さて今回はボディー形状が全く違うギターをフランケンっぽくするわけである。なので、センスが必要なのだ。どうだろう?私にそのセンスがあるのか?とりあえずマスキングの写真を以下の載せるが、センスあるかなぁ?


【図17】

【図18】



 ところでこのマスキングはストラトフランケンの時と同じく3Mの18mmマスキングテープで行った。マスキングし終わった後にホームセンターで15mmのマスキングテープを入手したのだが、ZO-3の小さいボディーだと15mmの方がよかったなぁ、と思った。が、今更このマスキングをはがす元気が無かったので、「まあいいっか・・・」とすることにした。

 さてZO-3の場合、ボディー前面にスピーカーの黒の金属ネットが貼られている。おお、黒か。ということで、今回はこの黒部分も全体デザインの中に取り込むことにした。ピックガードが黒なので、その部分をマスキングして、ボディー白部分をスプレーする。しかし勢いスプレーするとネットの小孔が埋まってしまう。なので、ここでは1/43のホワイトメタルモデル作成でも活躍している、ソフト99のホワイトサーフェーサーを利用した。このスプレーは粒子が細かくて細かいところのスプレーに最適である。実は最初にドバッと吹いて小孔が埋まってそれをとると塗装がはがれて、全部はがすにえらく手間取ったのだった。諸君はソフト99で吹くのだぞ!


【図19】

【図20】






■■■ 白塗装 ■■■

 さて白塗装だ。塗装on塗装の場合、一度に全部終わらせようと大量に吹くのはご法度である。まずは凸凹になろうとも軽く塗料を乗せるだけ・・・っていう精神で吹くことが大事なのである。テロテロにする程吹いちゃうと、まず垂れる。垂れるとその修正が面倒だ。さらに上吹きの塗料溶剤が下の塗装部を犯して、下の色が溶けてくることがある。なので、我慢我慢で3回くらいに分けて吹くのがよろしい。


【図21】

【図22】



 そしてマスキングをはがす時がやってきた。この瞬間が何ものにも変えられないのだ。魔力である。はがしたらきれいにストライプが出てきた。ニンマリだ!


【図23】

【図24】

【図25】

【図26】


 電池ボックスやジャックエスカッションもきれいに出来た。とおもったのだが、どうも電池ボックスは樹脂素材が違っているようで、色味が全く違ってしまった。多分樹脂が溶けているね。そして最大の失敗が図28にあるスピーカーのエスカッションである。あまりにも先を急いでいたため、ボディーからスピーカー網あみへつなぐラインをマスキングするのを忘れていた。あっちゃーなのである。ここは修正する必要がある。


【図23】

【図24】


 修正は3案考えられた。
・案1:塗装をはがしてやり直し
・案2:マスキングして、白塗装をはがす(そうすれば下地の黒が出てきてグー)
・案3:マスキングして黒を吹く
 1は面倒だけど、一番すっきりする。気づかなかったエスカッションのパーティングラインも消せる。2は簡単そうだけど、マスキングテープがペーターでやられないか?が心配。3は塗装キットを出すのが面倒だ。で楽チンな案2を選んだ。だが想像していたとおり、ペーパーをかけるにしたがってマスキングテープがやられてきたんで、途中でやめた。やっぱり急がば回れである。案3に落ち着いた。


【図23】

【図24】


 よし完了!と思って、エスカッションをはめてみたら、大前剛!(オーマイゴット) 細いじゃないか(図36)。またマスキングしてやっと完成だ。


【図23】

【図24】





■■■ ペーパーがけ ■■■


【図27】

 前にも書いたが、マスキングをはぐと白塗料の厚み以上に段差が付いている。それをやさしくペーパーがけするのである。前回はやさしくやさしくやったので問題なかったのだが、今回は#600とかで鼻歌状態でやったら、あらら、黒の削れ過ぎてその下の水色(もともとのZO-3の色)がこんにちはしかけてしまった。また黒を吹く元気もないので、レリックと思えばそれもありかな?といい方に解釈することにした。






■■■ クリア塗装 ■■■


【図28】

 さていよいよ塗装も大詰めである。最終クリアだ。塗装はドバっと吹いてテロテロな表面を得ることが重要であるが、吹きすぎて塗料が垂れたり、ガスが塗料内に入っちゃったりしてはいけない。この加減がスキルなのだ。それと一度に吹くとその溶剤が下地の塗料を犯すのである。このため、まず軽く全面に吹く、5時間くらいしたらまた吹く。ここまでは凸凹があってもよし、っていうか、凸凹があるくらいに抑えておかないと下地を犯すのだ。そして3度目にテロテロにするのである。朝一に1度目、お昼に2度目、夕方に仕上げ・・・というペースが良い。のだが、往々にして午後になると風が吹きやすい。風が吹くと塗装は大変である。でもそれを逃すと来週まで待ちかぁ・・・という心の葛藤があるのだよ。





■■■ 組み込み ■■■

 組込みである。楽しいひと時だ。

 PUはエスカッションを用いて吊られていたのを、エディー仕様のボディーダイレクトマウント&ちょっと傾けをする。となると、また木片をスペーサーにした取り付け法になる。木にタッピングするときはちゃんと下孔を開けておこう。


【図29】

【図30】


 今回はオリジナルZO-3にないピックガードもトリマで切り出した。なのでボディーに新しいネジ穴を開けなくてはならない。ないところに穴をあけるのって、結構勇気が必要である。というか、私が小心者なだけである。

 次にスイッチを組み込もうとして驚愕の事実が判明した。買ってきて早々スイッチを取り替えた話は書いたと思うが、その取り替えたスイッチのサイズがボディー穴のサイズに全く合わないのである。家にある手持ちのスイッチはどれも小さくて合わない。どうしよう? という時に頼りになるのはキッスコスプレのTさんである。Tさんの魔法箱からジャンクスイッチがたくさん出てきて、やっぱりジャストのものが出てきて、ありがたくいただいてきた。ペグもきれいにクリーニングして取り付けだ。


【図29】

【図30】


 次はLEDだ。もともとついていたLEDのホルダが壊れてしまったし、ピックガードを新設しているし、せっかくだから違う色のLEDもつけたいし、ということで丸棒に穴を開けLEDホルダを作った。LEDもオレンジにしてみた。


【図29】

【図30】


 最後に塗装用に使っていたハンドル木片をはずす。裏のマスキングに使った丸シールをはがすときれいにスクリューが見えてきた。わくわく。ネックポケットはオリジナルカラーの水色が残ったままである。


【図29】

【図30】


 以上で完成であるが、残念なことが二つ。一つはネックがローズ指板であること。ZO-3のメイプル指板は非常に流通が少ないと思われる。なのでしょうがないね。もう一つはアームがないこと。ZO-3/芸達者というモデルがアーム付きであるが、なかなか安い価格で見つからない。なので、こちらはもう1台ZO-3が見つかったら、自分でボディーを加工してアームつけちゃおう、と思っている。「アーム取り付け大加工」のページを見たい方は、ぜひとも安いZO-3を見つけて私に教えて欲しい、と語ったところで、このページを閉めよう・・・





■■■ 祝い完成 ■■■



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