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■■■ Red Special 最終構造(第3世代) ■■■

 試行錯誤検討でトレモロシステムに潜水艦部品を使うことをあきらめたブライアン親子。早々に次のトレモロシステムの実験に取り掛かったようだ。この検討時の写真は以前から何枚か流出しており、マホガニー突板(化粧板)下の裸体を見るようで、何かドキドキしたものだった。

 この第3世代は構造的には現行と同じであるからして(なので最終構造と呼ぶ)、詳細な解析に基づいたコメントは今後アップする予定の「ver3解析」に譲るとして、ここでは現状の構造とほぼ同じになる過程を、ボディー形状を中心に推測してみよう。



 ● 新トレモロシステム検討

 ● 新トレモロシステム実験・検証

 現状につながる「ナイフエッジ+アームベース+プッシュ型スプリング」で構成されるトレモロアームシステムの検討時写真が以下である。やはり「アイデアを事前に検証してそして採用」したのがよく分かる。この新システムの構造や考察は該当項にゆずるが、構造的に見ればこの写真がほぼほぼ完成系である。ちなみに、私もBurns改造の時にこの辺りの構造検討・ばね乗数の決定などのために、実験を行った。全く同じような形で行っているのが面白い。


【img.1】こうこまめに写真が撮ってあるのはいいね。さすがブライアン親子!

【img.2】この時はスプリングのばね乗数検討を行ったのであった。まだアルミLアングル併用なのが懐かしい(併用は失敗だった)。


 さてボディー形状考察の前に、この新トレモロシステム検討での疑問点を少しだけ書いておく。



 ● 新トレモロシステム検証時の不思議


【img.3】検討時状況をモデリングしてみた

なぜ検討時アーム保持ポイントが逆なのか

 右利きギターの場合、ストリングエンドを動かす機構にとりつくアームポイントは1弦側にある。まあ普通に考えて全く自然である。しかしこの検討時の写真では、アームは1弦側に取り付けられている。まあ検討だからどっちでもいいといえばいいが、詳細に考えれば、1弦と6弦ではテンションが違うので、アームベースに均等に力がかかっているわけではない。なのでアームポイントによって微妙な操作感の違いがあってもおかしくない。なぜだ?

推測1:ジミヘンへのオマージュ


 ブライアンのフェイバリットギタリストには「ジミヘン」が必ず入っている。このジミヘンを真似ようとして検討時には逆側にアームを取り付けた。

推測2:間違えた


 アームベース設計時に左右を間違えて作ってしまった。大胆な間違えだけど、左右逆間違えというのは、実は案外多い。私も入社したとき設計でやらかしてしまったし・・・

 さらに勢いでアームベースの疑問を語りまくりたいが、それはまたアームベースの項までとっておくことにする。






 新トレモロシステム組み込み

 ● 新トレモロシステムの設置検討


【img.4】潜水艦部品のための掘り込み跡がしっかり描かれている検討図。

 新トレモロシステムの検討を終え、さてこれをどう組み込もう、とブライアン親子は考えたと思う。というか、収まる構造を考えながら、新構造を考えたというのが正解だろう。その時の検討資料ではないか?と思われるのが右の図である。いつどこでこの資料を入手したのかは良く覚えていないが、レッドスペシャル本の前だったような気がする。潜水艦部品の存在はこの本で初めて明らかになったと思っているので、その前にこの潜水艦部品のための丸掘り込みを描きこんだ検討図があったということは、ブライアン親子の検討図だったとしか考えられない。「何でも鑑定団」的ネタである。

 ラフ検討図で見ると、潜水艦部品は表面より1インチの掘り込み、ナイフエッジは1/8インチとある。こういう明示的寸法が我々解析マニアを幸せにするのである。

 またボディーに埋め込まれ、ボルトを受けるボルトアンカーは最終形ではX線写真からブロック状と推測しているが、この検討図では板状になっている。






 ● 最終構造への改造ポイント

 この最終構造に移行するために、ボディーに施した加工は以下であり、結構大規模なものであった。そしてそれは主にトップ側ボディーに対して行われてる。

1.トップブロックボードへのオークコア挿入

2.トレモロチャンバー部半月状開口

3.トレモロチャンバー部内部掘り込みエリア拡大

4.ボディー部左右チャンバー拡大

 この1と2はトレモロシステムの変更によるものである。3と4はせっかくセミフォローにするならとことんやっちゃえ精神だと思われる。しかしブライアンはセミフォローにすることによる効果をなんだと考えていたのだろうか? フィードバックのしやすさか、軽量化か。さらに言うとショートスケールを採用しているのも分からない。ブライアンは187cmもの大型体格であって、レッドスペシャルもそれに応じた極太ネックなのに、なぜ小型軽量に走るのか? ネックアングルがほとんどついてないし、当初の弦は008シリーズの弦だったし。ブライアンは体弱いようだけど、もしかして相当弱いのかもしれない・・・・

 前項で検討したトレモロシステムを組み込むとなると、潜水艦部品のための「ボディーどくろ型掘り込み」に掛かる大掛かりな加工となる。この項では、初期試行錯誤時のボディーがどのように今の形になったのか?をCAD図中心に見てみることにする。なおここでは、ナイフエッジ周辺の詳細構造には触れずに、そこは本稿で詳しく説明することにする。

 以下画像に、改修において新しく加工される部位を示す。


【img.5】初期試行錯誤検討時のシンプルなボディー。

【img.6】新トレモロシステム変更他、であれこれ追加工である。




最終構造への改修

トップ ブロックボードへのオークコア挿入

 トレモロ構造の中核をなすはずだった潜水艦部品の利用をあきらめ、コンサバ(とはいえ、一応ローラー型だけど)なブリッジをチョイスしたこと、さらにトレモロスプリング用のボルトを受ける機能、ストリングステールアンカー機能、を兼ね備えた部品(勝手に「アームベース」と名付けた)を使ったトレモロ構造としたため、このアームベースを受け支点になる「ナイフエッジ」を配置することとなった。

 このナイフエッジは弦テンションとスプリングによる反力の両方を受けることになり、それをふにゃふにゃなブロックボードに設置することを良しとしない方針だったと思われる。そのためトップブロックボードにも硬いオークコアを埋め込むことにしたようだ。

 このトップオークコアの全容がわかる写真は今まで見たことがない。なのでこのトップオークコアのサイズは今まで未知のものだった。しかし上記掲載図(下にも再掲載)では、検討図レベルであるがそのトップオークコアサイズが分かるものであった。これには助かった。


【img.7】ブリッジとナイフエッジのためのオークってのが分かるけど、それよりも潜水艦部品のために開けた掘り込みを埋めるためっていう理由かな。

【img.8】再び登場の検討図。これを左図と比較すると改造ポイントが良く分かるのでは。


 またトップのブロックボードとオークコアは面一(ツライチ)である。ということはナイフエッジを隠しているものは「1mm以下のマホ突板(化粧板)」のみである。これはちょっと驚きだ。金属にマホ突板を「接着」しているってことである。私には金属に知識はあまりないが、空気から遮断されればさびないのかな? いずれにしろ、一生メンテナンス出来ないところにある部品をどう設置するか?この辺は多分ハロルド(父)の知識がだいぶ生かされたものだと思う。



トップオークの形状

 別に何も気にしなければ気にならないと思うが、気になると悶々とすることがある。それがトップオークの形状である。

 結局、すったもんだの末最終的には普通に立方体角形状だと思っている。しかし心の隅に「実は埋めるところだけのオークにしてないか?半円筒のオークなんじゃないか?」という疑問があった。今のところ、これを知っているのはブライアンのみであると思う。さてどうなんだろう?

 掘ってしまったところを埋めるだけならば、新しくブロックボード側を削る必要がないので、半円筒でいいはずだ。そして半円筒のオークコアで作られたレスぺコピーモデルを見たこともある。それに有力情報として半円筒という話を聞いたことがある。しかし、ブリッジのことを考えるとやはり立方体角形状のオークコアではないか?と思える。弦の振動を一手に引き受けるのはブリッジであって、それがふにゃふにゃブロックボードというのもなんか嫌。

 ということで、新たな事実が明らかになるまでは、トップオークは潜水艦パーツのための半円筒形状を削りこんだ立方体角形状とすることにする。

 しかし、ここで「さあ次は」とスイスイ行くかといえばそうはいかない。この潜水艦パーツのために掘った穴は、ボトム側にもかかるものであることは、初期検討時写真から事実と判明している。そしてX線画像でこの丸の影が見えるといことは、「この丸/半丸形状は全部きれいさっぱり削り消されたわけではない」ということがわかる。上でトップオークは角形状とした。であるならば、X線画像に残る丸影はボトム側のものであることになる。これを前提として、ではボトム側の半円筒をどう埋めるか?ということを考えると、以下の三つの考察ができる。

考察1.ボトムオーク部を薄い半円筒オークで埋めた

考察2.トップオークは考察1の半円筒オークがくっついているような形状で加工した

考察3.実はボトムオーク側半円筒部は空洞のまま

 考察3は角形状トップオークのすわりが悪くなりそうで、まずないと思う。考察2であるなら、ルーターがないときつい。でもボディー表面に3mmを残してブロックボードを大がかりな掘り込み加工していることを考えれば、ルーターは使ったとみていいだろう。ならできる。でもやっぱり面倒。厚み方向にかかるルーティングはやりたくないだろう(でもナイフエッジはやっているけど)。完璧を目指すなら考察2で行きたいが、やはり工数を考えると現実的には考察1かな、と思う。


【img.9】考察1は、ボトムはボトム用の埋め込みオークで埋める

【img.10】考察2は、こんな形のオークかもしれない。加工は面倒臭いけど




アームベース設置のためのボディー開口とトレモロチャンバー

 弦のテールエンドとアーミングの基台とを兼ねる「アームベース」、さらにアームベースにかかる弦テンションをバランスさせる「トレモロスプリング関連部品」を設置するために、大きな開口が必要になった。必要最小限の開口にすることもできただろうが、ここでブライアン親子は、レッドスペシャルの大きな意匠となる、半月型の開口とし、それを隠すトレモロカバーを作った。レッドスペシャルを初めて見ると、こんなところにカバーがあることに違和感を感じるかもしれない。しかしもう何10年もレッドスペシャルを見続けた結果、もうこの半月板が無いレッドスペシャルは考えられないという「脳」になっている。


【img.11】新規なアームベースシステムを入れると、既存潜水艦部品用掘り込みに干渉するので拡大が必要という図。

【img.12】リアルはこうなっている。


 実はX線写真が公開されるまで、この部分は開口部形状でそのまま座ぐられていると思っていた。言い訳するわけではないが、普通はそう考えるだろう。ただしフライヤーさん改修画像第1段写真を穴のあくほど見ていたとき、なんか開口部形状でそのままじゃないようにも見えた。でも先入観がそれを拒み、無理やり開口部形状での掘り込みと思うことにしていた。

 実際には必要ない部分まで掘り込みされた構造になっている。


【img.13】新規なアームベースシステムを入れると、既存潜水艦部品用掘り込みに収まりきれず拡大が必要という図。

【img.14】リアルはこうなっている。




トレモロブロック用 掘り込み詳細

 トレモロブロック用の掘り込みは、主にアームベースおよびその可動範囲の逃げとトレモロスプリングの逃げを考慮したものになっている。できるだけ最小限の逃げになるようにしているように見える、というか特にスプリング逃げに関しては当たりそうなところを削った・・・という風にも見える。この部分が写った写真は、導電黒塗装が施されていたり、写真の光が回らなかったりで細部形状を把握しづらいのであったが、最近出てきたGuytonによる改修写真が非常にクリーンで形状がよく分かったのである。

 これらを加工を施した結果、ボディー厚み/深さ方向では高さが3段階に分かれた。下左写真でABCで示しているのがそれ。

 ●A:ボディーアッパーとロアの張り合わせ面(ボディー厚みでいう半分のところ)
 ●B:潜水艦部品のための彫り込まれた、ロアオークの面(改修検討図でいう1インチの掘り込み部)
 ●C:トレモロスプリングを逃げるためにさらに彫り込んだ面

 さらに、前から疑問だったことがある。トレモロスプリング逃げ部に不自然な面取り加工が施されていた。これは長らく疑問であったのだが、今回の検証で、過去に加工した潜水艦部品用の掘り込み「跡」が一部残った状態であることが判明した。こういうことがわかった瞬間の嬉しさったら、もう。


【img.15】A-B-Cの3段に加工されているトレモロチャンバー内。

【img.16】潜水艦部品用の円筒加工痕ってのを理解したときの嬉しさは尋常ではなかった。




トレモロ部最終形状への推移


【img.17】検討時状況をアニメ表示するとこんな感じ

 アームシステム変更に伴うボディー追加工は右図のようであると推測する。ナイフエッジやスプリングボルトアンカーやらの細部はまた別項で説明するので、ここでは大きな構造変更のみを掲示する。さらに、加工はトップボトム別々だったり、合わせた状態だったりで行ったと思われるが、ここではその考察を行わない。あくまで改造骨子を示すにとどめるものとする。





トレモロチャンバー内部空洞拡大


【img.18】ボディーセミフォロー拡大

 トレモロユニット構造変更により初期構造検討時から大幅に変更が施されたボディーであるが、この改修に合わせてか、またもともとそういう計画をしていたのかは定かではないが、徹底的に「セミフォロー」化を行った。先にも書いたがセミフォロー化の狙いが、フィードバックなのか軽量化なのかは定かではない。レスぺ本にあったように、もともとレッドスペシャルには、セミアコよろしく「fホール」を開ける計画があったで、なぜ?というより、当初の設計通りだっか可能性は高いだろう。

 初期検討時トレモロX線写真ではじめて分かったボディーのの骨骨構造。大きく目の行く左右チャンバーのみでなく、トレモロチャンバーも開口部以上に内部空洞が広がっていた。これもトレモロ構造変更に合わせて空洞拡大されたと思われる。




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