■TOP > 改造ZO-3

■■■ 大量生産への道筋 ■■■

 別に誰かに売るとかそういうことではない。ただ単にユニバーサル基板で作るのが嫌になっただけである。ユニバーサル基板は結構面倒なのだ。やはりちゃんとした基板で、部品の刺し場所を考えることなくパターン配線に気を使うことなく、部品を孔に刺し銅箔面に半田するだけ・・・っていう基板にしたい。そういうスマートさにあこがれてしまう。ヤフオクでたんまり買ってしまったユニバーサル基板であるが、さくっとおさらばし、きれいな基板を作ろう一人プロジェクトが発足した。


◇ユニバーサル基板だと半田面はこんな感じになる。これはこれでいいのだが・・・

◇アマゾンで買ったユニバーサル基板。結局これは利用されないまま保管されることになる・・・



基板を作るまでの流れとしてはざっくり以下のようになる。
 @回路決定
 A部品選定
 B基板アートワーク
 C基板作成

 この中で一番面倒なのはBの基板アートワーク(パターン作成)である。そのアートワークも実はCの基板作成手法に大きく依存しているのである。

 仕事はプロセスにのっとって、区切りでレビューして判定して・・・ってやると「まずこれが決まらなきゃ次にいけない」ということになる。だが会社じゃあるまいし、自分ひとりでやってればそんなの関係ない。「走りながら考える」のである。行き詰ったら先のことから考えて、還流させてしまえばいい。こんの会社じゃ絶対に許されない手法だ。けどね、今の動きの早い世の中、じっくり腰を据えてなんてやっていちゃだめだ。なんでもまずやってみることだ。自分だけでやる一人プロジェクトであればなんでもやればいい。こういうのが会社の仕事より断然楽しい理由なのである。

■ エッチング ■

 エッチングは基板作成の王道である。銅箔基板にマジックペンなどでパターンを描く。その後第2酸化鉄の液に浸すことで、インクなどでガードされていない部分の銅が溶けパターンのみが残るというものである。エッチングが終わった後は地道に部品用の孔をあけなくてはいけなく、それがめちゃくちゃ大変である。中学生の頃はこれを実践していた。お金のないころであり、パターンはマジックインキで描いていた。

 調べてみるとエッチングも以前より進化した手法が編み出されているようだ。PC上でパターンを作画したたらそれをレーザープリンタで出力し、生基板に転写しているらしい。ほぉ賢いね。今までマジックペンでしこしこ書いていたのからは進化である。さらに第2酸化鉄でのエッチングもジップロックに液と生基板を入れてやっているらしい。うむ賢いね。で、まとめると

○よいところ
 ・特別な装置を必要としない
×大変なところ
 ・基板にパーツ分だけ孔開けが必要
 ・レーザープリンタ出力の生基板へのパターン転写
 ・第2酸化鉄廃液処理

 特別な装置を必要としないのは良いのだが、やはり孔あけに工数がかかりすぎる。こういうところをもっとスマートにやりたいのである。つまりそれは機械に頼り自動化を進めるということだ。で、やっぱりNCにたどり着くのだ。

■ NC(モデラ/Modera)で ■

 今までもNCで生基板からパターンを切り出すことは考えていた。でもパターンとなるところ以外を「面」でとらえている自分がいた。NCは普通そういう使い方をしていた。これでは効率が悪すぎるのである。しかし考え続けていればおのずと解が出るものだ。いままでの「回路パターンを”削り出そう”」と思っていたのば間違いだった。パターンの境界線を「線」として削ればいいという発想に転換したら、あららら・・・と、課題が一気に解決に向かった。しかしモデラに付属しているCAMアプリはそういう「線」に対応していない。

 困った。いいところまで来ている。そんな解決策もひょんなことから見つかった。今まで絶対使わないと思っていた、モデラ付属の彫刻アプリがまさにそのものなのであった。説明は後で行おう。「そして今は「基板生産」が標準化されている。その辺のハウツーはこの後の「備忘録」に書いておく。

■■■ モデラ/Moderaで基板を作るための備忘録 ■■■

■ 回路図からパターンを作成 ■

 ネットで評判のいい「Eagle」っていう回路CADを使ってみることにした。規模が小さい趣味的基板はフリーウエアバージョンで使えちゃうのである。やってみると回路図がかっこよくスパッと描ける。いいねぇ。しかし部品形状を指定しないと基板アートワークに進めない。さらに生成される「配線パターンが細い”線”」になってしまう。これじゃあ玉なのだ。

 で、結局どうしたかといえば、エクセルを利用している。縦横のセル線を正方にしてグリッド化する。1セルの縦横を1/10インチとしている。抵抗、コンデンサ、ダイオード、オペアンプ、ピン等々の絵を描きパーツ化している。そして回路図を見ながら部品配置とパターンを描いていく。通常パターンはグレー、電源系はオレンジ、1/2オフセット電源は紫と色分けしておくと回路の内容がすぐわかってよろしい。この回路図はあくまでも回路パターンを描くためのものなのである。お絵かきであり、このデータは何ら利用できない。


◇見やすさ優先である。人力でできる範囲に限られるけど・・・




■ パターンをCADで再作成 ■

 上で作った部品配置やパターンをCADに置き換える。なぜCADか?というと、この後出てくるDrEngraveというCAMアプリがdxf形式を読み込めるからである。

 作業としてはエクセルで作ったパターンを単純にCADに置き換える。なら最初からCADで描けばいいじゃん・・・という話が出るが、CAD(ライノセロス)は線画になるのでパターンが見えにくいのだ。実際に描くものは
  @パーツ(灰色)
  Aパターン(水色/紫/赤)
  Bパターンセパレート線(水色)
  C孔ライン(赤)
  D外形
である。これらはレイヤー化して必要なデータを取り出しやすいようにしておくのは言うまでもない。


◇これはデータなのでそのままDXF出力するのである。やっぱパターンは見にくいね。




■ 基板パターン切削データ作成〜DrEngrave ■

 ここで話を進めるためには、DrEngraveの話をしなくてはないけない。モデラは普通のNCである。このCAMアプリ(MP4:モデラプレーヤー4)で基板を作ろうと思うと、削るべきところ(パターンじゃない部分)を「面」で削るように動く。細かいパターン部分を再現しようと思うと、そのパターン間隔以下の径のビットを使わなければいけない。そのすごく細いビットだと広い面を削るのにひたすら時間がかかる。これじゃぁどうもうまくない。と壁に突き当たった時も助けはネットにあった。DrEngraveというアプリを使えばいい。

 DrEngraveは「彫刻アプリ」と呼ばれている。何が彫刻かはよくわからないが、普通の使い方はビットマップでデータ入力し、黒く塗りつぶされた部分をひたすら削るようだ。つまり小学生の時に作った「版画」をつくるようなもののようだ。しかしこのアプリ、dxfファイルのインポートができるのである。それこそがこのアプリの真骨頂なのである。

 線データであるdxfファイルを読み込み、面ではなくその線データ上を指示した深さでそのままトレースするのである。当然エンドミルの径なんかをDrEngraveが認識することはなく、ただひたすら線をなぞるだけである。しかし、この単純な機能が欲しかった。0.8mmや1mmのエンドミルで「パターン境界線」をなぞれば、それはすなわち「パターンやランドがすごく大きな基板」として出来上がりだ。高周波云々とか言わなければ機能的には何の問題もないのである。

 正直このDrEngraveはモデラのおまけみたいなアプリで、今までそんなものがあったことすら知らなかった。またこのアプリ、実に使いにくくWindows95時代の遺産のようなアプリだ。使いにくくともこのアプリじゃないとできないことがある。しかい今は私にとっての神アプリとなった。

 このDrEngraveに入力するデータをCAD(ライノ)で作るのだが欲しいデータはBパターンセパレート線 C孔ラインである。パターンセパレートラインはそのままであるが、面倒なのは孔ラインである。なぜ「孔」ではなく「孔ライン」か? それはDrEngraveが線データのままエンドミルを動かすからである。つまり穴をあけるのは極小の丸ラインをトレースすればいいという考えである。

 とういことで、CADではBパターンセパレート線とC孔ラインを銅箔面から見た形にしてdxf出力をするのである。


◇左側は右側の部品面から見たデータを反転したもの。CADはこの辺が簡単にできるのでグーである。



◇孔データは実は小さい丸を描いている。

◇これは1mmのバイトで切ったもの。孔が大きいので本当は0.8mmで切りたいのであるが、やはり折れやすいので経費との兼ね合いである。




■ DrEngraveの設定・基板を切削 ■

 DrEngraveはプリンタドライバである。プリンタとはターゲットであるモデラ(NC)のことである。しかしプリンタを接続したPCでないと、設定ができないのだ。つまりオフラインのPCで切削条件データを作れない。NCにつながったPCで毎回チマチマやらなくてはならない。くぅーやりにきー

【DrEngraveの基本設定】
●グリッドピッチを1/20インチ(mm)に設定
 (基板の標準孔ピッチである1/10の真ん中、もしくは外側にラインを引きたいことがあるため〜主に基板きりだし外形)

●カッティング仕様
 @孔レイヤー
  -基板板厚(だいたい1.6mm)を貫通
 Aパターンセパレートライン レイヤー
  -銅箔層(0.05mmくらい?)だけ切れればいいので、0.1mm深さくらいでカット
 B外形レイヤー
  -孔と同じく基板板厚でカット

 これで大体基板1枚5分程度で作成完了だ。


◇削った直後は削り粉満載である。

◇生基板は大量に入手済である。これも端材であるけど・・・。



◇大量生産できる・・・ってことが重要なのである。やるかやらないかは別の話なのですよ。つまり明らかに環境と整えておくフェチなのである。







↑ 目次へ