今回の中国行きの目的の一つに「メイカーズスペース」の見学があった。ハードウエアのシリコンバレーとかシリコンバレーの10倍のスピードで動く深センとか、いろいろ言われてるが、その中心にメイカーズスペースがあることは間違いない。巨万の富を築いた投資家が格安で作業場や設計スペースや諸々の機材、工作機などを提供して、何か新しいものを生み出そうとしているのが「メイカーズスペース」である。
その昔はスティーブジョブズがそうだったように家のガレージがその役を担っていたのだが、それがWEBと新世代造形技術などによって、誰でも個人で製造業者(メイカーと呼ばれメーカーとは区別されるらしい)になれるということ。そのサポートが最も手厚いのが中国深センであるのだ。
となれば、日本でメイカーっぽいことを初めている同行某氏はそこを見ないわけにはいかないとなって、今回の1日ツアーとなった。
しかしいきなり自分たちだけでそんな暴挙を遂行できるわけではなく、深セン華強北を隅から隅まで知っているという某ガイド氏を雇い、代表的なメイカーズスペース3か所を回った。おまけにドローン購入の値切り担当にも任命した。
今回はこの某氏の交友範囲でメイカーズの中に潜入し、あるところでは責任者と話をし、あるところではそこを拠点としている社長と話し、あるところでは日本でも有名な日本人駐在デスクで日本の方と話し、という潜入であった。内部の撮影は可能であれば行ったが、公開していいのか?が定かではない。なので、今回の写真公開は限定したものになってしまうことを宣言しておこう。
深セン華強北から西へ20km弱行ったところにあるのがx.factoryであった。まだ周辺が造成している中、スロープ状になった半地下みたいなところにあるのだがが、そこに行くまでがナイスな導入路になっている。対応してくれたのがここを任されている?のは20歳そこそこの小柄な女性であった。今回訪問した3か所の中では、一番工作機械が充実していた。その工作機械は認定を受けた人しか利用できないとのことだが、定期的に講習会などが開かれており、それを受ければどんどん利用できるらしい。クラフト野郎の私から見たら、よだれが垂れまくるような機械がたくさんあって、ちょっと血圧が上がった。
見学が終わって何となくパンチが無い状態だったので、昔こんなものを作ってましたよ・・・とちょっとした動画を見せた。その刹那、ここの責任者女子の顔が変わって、メイカーズフェアーに出さないか?ここでやらないか?などのお誘いを受けた。メイカーズを3か所見たわけだが、どこもびっくりするような開発をやっているわけではない感じで、ちょっといいアイデアで勝負したら、それなりな反応が得られそう、と思った。自信がある人はぜひ半年くらい行って来て、何か作ってくるのが良いと思うぞ。
深セン華強北から北に少し行ったところ。森の横にある丘陵上にあるのが星河インキュベーションである。リッチなグループの一部(と言ってもだいぶ広いスペース)を間借りしているようなところで、丘の上からの眺めと言い、瞑想できる寺院といい、裏には旧ゴルフコースといい、働く環境としてはすこぶるいいぞ。
最後に行ったのは華強北ホテルすぐそばのパーツやビル12階にある、日本でも有名なSeg Maker+である。これは「ニコ技深セン観察会」などで何度も取り上げられているメイカーズである。我らが言ったときにはシオシオさんが対応してくれた。ブースとしては日本人用5席が確保していた。深センにちょっと滞在して何かやりたいときは言ってくれれば使えますよ・・・とのこと。
中国のすごいのは、なんでも「やってみる」ことである。そしてそれをよしとする文化であろう。日本はやる前にあれこれ考えすぎる、というか考えないことを許さない。始めるときは完璧を目指す文化だ。アメリカや中国はまずやってみて、ダメならダメなところを変えよう・・・である。さて結果がどうなるか?おのずとお分かりだろう。新しいことは日本では生まれず、何かやろうとすると既存の規制で縛られ、既得権益を持つ人たちに邪魔される。差は広がる一方だ。
さてそんなことを書いたのも、あっという間にシェアサイクル「モバイク」が広がったのが上記の背景があるからだろう。x.factoryにもシェア傘の自販機風設備があった。今のトレンドは自分でもつことなく、その時だけ使えればよい・・・である。
「モバイク」を調べるために著tとググったら、上記の本を書いた高口氏のニューズウイークにアップされた記事がでてきた。中国を馬鹿にしていると知らぬ間に追い抜かれるぞ、というかもうたくさん追い抜かれているよ、と。
中国シェア自転車「悪名高きマナー問題」が消えた理由