ハイテク禁止の94年、セナの死という信じがたい大事件によってF1の世界はカオスと化した。ことごとくレギューレーションが変更され、チームも混乱の極みだった。そんな中90年にF1の新しい時代のデザインとしてその後すべてのマシンが真似ることになる「ハイノーズ」を生み出したハーベイ・ポストレスウエイト博士がTyrellに戻ってデザインした022は、コンサバだけど素性のいいマシンとして、久々のTyrell復活を印象付けたマシンだった。022のフロントウイングフラップはこちらでどうぞ。
そして翌95年、Tyrrell 023がデビューする。右京のパートナーはマーク・ブランデルに変わって日本でも活躍していたミカ・サロ。ミカ・ハッキネンと同じ名前でかつ同じフィンランド出身。ってこともあって、タイトルスポンサーはフィンランドの世界的超優良企業「Nokia」だ。これは91年のBRAUN以来のビックなスポンサーだった。これだけいい材料がそろえば大いに期待が高まっただろう。
しかし歴史は繰り返すのだ。90年の019はほとんどスポンサーが付かない状態で、マシンは至ってシンプルなカラーリング、それでいて新進気鋭のアレジが大活躍した。その甲斐あって、翌91年は前年のマクラーレンが使ってチャンピオンをとったV10エンジンを獲得したのだった。中嶋の影響も大きいだろう。そしてさらにBRAUNというビックなスポンサーもゲットして大躍進・・・のはずだったが、成績は惨憺たるモノだった。
Tyrellはもともとコンパクトなマシンと軽いエンジンで、軽快なマシンを作るのに慣れていたのだろう。パワーもあるけど超重いエンジンはTyrrellにとって使いにくいエンジンだったのは想像に難くない。そしてTyrellはまた凋落した。
さてその023。見れば見るほどコンサバである。特徴たる特徴がない。強いてあげると二つの点がある。ひとつは極細のノーズである。結構かっこいい。もうひとつはカウルリア部分のなだらかな絞込みである。これは現在のマシンの超トレンドにもなっている。ハーベーさんやるな。でも流行のハイノーズじゃないのがハイノーズを一般化したハーベーさんの回答だったのかな?
至って普通のキットである。普通すぎてつまらなすぎる。そしてこのキットのポイントは「青を塗り分けるかデカールで攻めるか?」である。どちらも一長一短がある。
マスキングして吹く方法だと、複雑な曲面にも簡単に色付けが出来るが、塗り分けラインのマスキングにRが上手くつけられない。このRを上手くつけられないとかっこ悪すぎる。それと塗り分けラインの段差処理が厳しい。ペーパーでかる〜く当てるのだけど、青塗料が白を侵食したりするのでここも注意が必要である。
デカールで攻める方法は、シャープな色境界線が得られるし、なだらかな曲面にはジャストフィットである。しかしフロントサス用バルジや大面積を分割デカールで貼り分ける重ねあわせ部分、ギアボックス用のNACAダクトなどは詳細な注意のもと貼りこんでいかなくてはならない。暖めた濡れタオルと少量のマークソフターと綿棒でちまちまと攻めなくてはならない。根気の要る作業だ。
そして今回は後者のデカールを選択した。大変だった。
あと、完成後10数年経ったが、白が黄ばんできてしまった。下塗りの白が悪かったのか、上からのクリアーが悪かったのか?どっちだろう?