76年に実践投入された(発表は前75年)ティレルP34は前輪を4輪にするといった、奇抜なデザインでドキモを抜いたわけですが、実際奇をてらったものではなく、考えつくされて登場したマシンなのでした。F1はオープンホイールであるため、前輪のドラッグ(空気抵抗)は全体の半分を占めるほどあるそうで、その空気抵抗を減らすために、前輪を小さくする・・・というのが基本ポリシーです。小さくなって足りなくなったグリップを4輪にして補った結果がこういうマシンになったのでした。実際タイヤの設置面積は大型2輪時のより小型4輪の方が多いとか、前輪がパンクしたときもピットに安全に戻ってこれる・・・とかメリットを強調しておりました。また、小型タイヤをフェアリングする「スポーツカーノーズ」ですが、これもかっこいいのですね。
日本ではTyrellを「たいれる」と音訳していたのは皆さんよくご存知のことです。日本GPではマシン正面に「たいれる」と書かれていました。タミヤのキットにも「ケン・タイレル氏に・・・」というくだりがありますので、誰もが「たいれる」と読んでいたんですね。ちなみにモデル名の「P34」の「P」はプロジェクトの略で、このP34がプロジェクトから生まれたマシンであることが分かります。
実はタミヤの1/20シリーズ第1号がこのP34だったのです。当時モーターライズで動かなければいかん!という風潮から、モーターを仕込めるサイズとしてワールドスタンダードから外れる1/20を採用したのは有名な話です。実際このP34はモーターライズ仕様と、ディスプレイ仕様のエンジンが選択できます。
1/12を作った後に1/20を作ったわけで、もう細部の構造はばっちり学習済み、すらすらと作ることができました。また4輪を同じ向きに曲げるステアリング・リンク機構はよくもまあこんなもの作りましたね!という代物であり、ぜひともキットを作ってそれを見て欲しいと強く願います。