■TOP > マクラーレン パドック潜入記

■■■ 第7話【着いたぜサーキット】 ■■■

 予想に反し、たいして混雑するでもなく、20分くらいでサーキットに到着。9時半前だった。
「う〜ん、家から4時間でつくのね。近いじゃん」
バスを降りると聞こえてくるエンジン音にエギゾーストサウンド。”フォーン、パパパパ”。そうだ、もう土曜のフリー走行が始まっているのだ。急がなくては・・・

 と、早足であるいてメインゲートにたどり着いた。

 途中のグッズ売り場で、田宮製マクラーレンMP4/13日本GP仕様/Westデカール付き(デカールとはプラモデルについている、水でノリを溶かしてマークを貼るあれだよ)が先行発売されていた。リヤ/フロントウイングが追加パーツで入っており、箱を空けてみたい欲求をはねのけるのは大変だった。

 なぜこのモデルが快挙なのか?

 実は昨今のモデルにはタバコデカールマークがついていないのだ。F1のスポンサーでタバコ会社は大きなウエイトを占めているのにもかかわらずにだ。なぜかと言えば、プラモデルやミニカーは子供のおもちゃなので、子供にタバコの広告をするのはもってのほか、とのこと。ちょっとナンセンスだけど。また欧州を初めとして、タバコの広告自体が禁止されている国も多いのだ。そんなこんなで、F1の主催団体もタバコ広告に寛大なアジア地区での開催を探っているのである。99年から開催された”マレーシアGP”もその一環か?

 このマレーシアGPは会社のマレーシア工場のすぐ近くにあるセバンサーキットで行なわれている。今はマレーシア出張だと宿泊地は以前のクアラルンプールじゃなくてセバンだ。マレーシアGPに合わせて出張ないかなぁ? インドネシアGPできたらインドネシア工場に出張しちゃうぞ。

 話は飛んだけど、つまり「参りました!」と、我らモデラーはタバコネームのデカールを入手するのに四苦八苦しているわけだ。実際、サードパーティーから出ている1セット1000円近くもする別売品を泣く泣く購入する羽目になっているのである。

 F1のタバコスポンサーはちょっと考えただけでもマールボロ、キャメル、ウエスト、ロスマンズ、ウィンフィールド、ジタン、バークレー、マイルドセブン、キャビン、ベンソン&ヘッジズ、555、ラッキーストライク等々。今回のマクラーレンのモデルは

 ・日本限定発売
 ・West(タバコブランド)の寛大な処置

 の2点がそろっての実現だそうな。これがフィリップモリス(マールボロの親会社)だとたぶん許可されないだろうと言われている。

 このタバコデカールをいちいち買うのも馬鹿らしく、かつ財力も続かないため、行きついた先は”自分でデカールを作る"なのであった。その名のごとく透明な”クリアーデカール”に直接印刷するのである。デカールは水につけてノリを溶かすため、インクジェットプリンタでの印刷は不可能なのだ。というわけで、カスタムデカール作成のために、アルプスの熱転写型(溶融型)プリンタを購入したのだ。このプリンタをヨドバシで買った直後に、アルプスの営業さんから社販で7000円も安く売っているのを聞かされた時には、人生の無情を感じたものだった。

 しかし、技術は進歩するものだねぇ、先日買い換えたエプソンの写真画質プリンタは本当に写真画質だわさ。ハードもすごいのだろうけど、用紙がすごいのだな、これが。もうピッカピカで銀塩の印画紙と何ら変わらないね。

 あれ?何の話をしていたのだっけ?あっ、ゲートに着いたんだった・・・

 メインゲートに着いた。

 ロックタイトの担当Uさんに事前に電話したとき、サーキット内の連絡として携帯の番号を聞かれたのだが、うぅー、俺携帯持ってないのだ。「公衆電話は結構込んでいますので・・・」と言われいたのだが、なんだ、実際はぜんぜん空いているではないか? いまどき公衆電話なんて使う人いないのね。本当は携帯だとかPHSだとか持ってみたいのだが、なんせ使う機会がない。ちょっと大人のアバンチュールで、かみさんに内緒で連絡とりあったりするようなことでもあれば、即、買うんだけどなぁ?

 んで、全く人気のない公衆電話ボックスに入り、Uさんに電話をした。おっ、つながったつながった。電話の先からはまさに甲高いエンジン音がバリバリに聞こえてくる。うぉぉぉ、血が騒ぐぜ。
「もしもし、佐藤です。今着きました。ゲート前にいます」
「あっ、ご苦労さまでした。何時に出てきたんですか?」
と、ゲートまで迎えに来てくれるとのこと。

あ・ありがとう。うるうるうる。

 「青いウインドブレーカーを着ていますので目印にしてください」と。できるだけ派手な色のウインドブレーカーを選んでいったのだった。マクラーレンのスポンサーのロックタイトからの招待なのに、レイトンハウスのウインドブレーカーなのであった。待つ待つ待つ、竹竹竹、梅梅梅・・・(^_^;)

 ゲートの前には画用紙にヒッチハイクしているのような”チケット買います”なんて書いて待っているカップルもいる。そこにダフ屋が近づいていったりするのだが、どうも交渉成立していないなぁ?いくらで吹っかけているんだろう?

 「あっ?あの人かな?」と、黒いマクラーレンのポロシャツを着たかっこいい系のにいちゃんがやってきた。ちょっと目立つような仕草をしたり、顔をじ〜っと見たりしていたのだが、俺の横をすり抜けいていく。よっぽど声をかけようかと思ったが、とどまった。違うのかなぁ? 10分ほど待っても来ないので、せかすようで気がひけたが(小心者なの)、もう一度電話してみた。どうもUさん、違うゲートで待っていたらしい。その後5分くらいでめぐり合った。う〜ん、特徴的な人だ。



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