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■■■ 第15話【見た見た見た】 ■■■

さて、グランドスタンドから望遠レンズで各ピットを偵察している俺は、007になったようだった。

「うぉ、こんなもん見ていいのか?ベネトンのアンダートレーだぁ。ベネトンは遮熱板がゴールドだ。サイドポンツーン前の整流板(緑色部)ってアンダートレーから生えているんだぁ」
しかし、こんなものに一喜一憂している俺ってへんかなぁ?



「お、お、うぉぉぉぉ。フェラーリのアンダートレーなんて見ちゃっていいのかぁ? 変な分割されているなぁ。リアのディフューザーに布かけて隠してるぞ。こういうの見ちゃうともう舞い上がっちゃうぜぇ。マクラーレンの偵察部隊が見ているかも知れないよ。いいのかい?ロス・ブラウンさん!」って感じ。



こんなにカウルがあるなら俺にも1個くれないかい?



「おお、何だかフェラーリのピット前で人だかりが出来ているぞ」と、ちょっと望遠で覗いてみると、
「うおうお、シューマッハではないか?」
午後になるとピット裏からの陽になるので、ピットは暗くなって写真にはつらいぞ。息止めてシャッタースピードが落ちるのに備えるが、バコバコする心臓の鼓動を止める事が出来ずに、厳しいぃ。



「なんか水着のお姉さまが歩いているぞ。水色のレオタードはまさにベネトンギャルだな。しかし、あなた達、よくいろんな所に出没しているねぇ」(その後もっと接近遭遇するのだ/お楽しみに)



陽も大分傾いてきた。ぶらぶらしているついでに、ちょっとグランドスタンドの最上段にも行ってみた。
「うーん、伊勢湾が良く見える。1コーナー、2コーナー、S字の入り口が見えてリッチな感じだなぁ。けど、なんだかレース後のスタンドって虚脱感があってとってもいい感じ」
夕暮れのけだるさって言うのかなぁ?わかるかなぁ?



ちょっと、スタンドの外を散策してみた。あれ?なんか騒いでいるぞ。あ、あの有名人だ。フィンランドからきたミカ・ハッキネンの応援兄ちゃんだ。結構いい体している。なんとなく”デイプ・リー・ロス”みたいな感じ。顔を水色クロスのフィンランドモードにしていたりして、みんなでハッキネンの歌を歌っている。いいねぇ、いいねぇ。



個人参加で一人の俺はフットワークが軽くて良いのだが、感動を分かち合えるひとがいない寂しさも感じていた。そんな時はかみさんの重要性を感じるなぁ。でも彼女も付き合っていた頃のF1フリークモードからすっかり脱却してしまっている。こんな具合に・・・

「えっ?この黄色いのロータス?」(ジョーダンだ、ちゅーの!)
「ベルガーは今どこにいるの?」(引退してまっせ)
「この変な色はどこのチーム?」(おいおい、天下のマクラーレンだ)等々。

6歳のわが息子の方が鍛えたかいがあり、よっぱど詳しいわい。よし1歳の娘にはF1エンジン音のCD聞かせてもっとマニアックに育てようかなぁ?(かみさんが許すわけない)



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