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■■■ 第20話【帰路(初日)】 ■■■

 ロックタイトのスタッフと10数人の招待者はパーティー会場をあとにして、一路名古屋に向かう。帰りのバスはゴージャスなサロンバスだ。それも2台も調達していたので、ゆうゆう座れた。しかし通路を隔てた逆側にはフィリップ社長だ。話し掛けられたらどうしようとびくびく。それは杞憂に終わったが、更なる試練は他のところからやってきた。先ほどのタイから来ているS女史が話し掛けてくるぅ〜。

 S女史は俺の前に座っていたのだが、椅子の隙間から上から英語攻撃だ(椅子の下からの攻撃は無かった)。話が止まらないぞ。わからないぞ。上手くしゃべられないぞ。小心者の俺は英語で話すにしても、"一度頭の中で文法を組み立ててちゃんとした文章にしてから話す"、といういかにも日本人的な方法をとるのがいけないんだなぁ。しかし、夏に叔父さんの葬式で会ったマイコー(いとこの旦那)と話しておいたのが良かったのかもしれないし、子供に付き合って見ていた教育テレビ“英語で遊ぼう”のパツキン・マリーお姉さんに恋していたのが良かったのかもしれない。ちょっと耳になじむのが早く

「おおおぅ?、なんか俺の英語つながるかも?」

と、心の中で自画自賛する俺であった。でもわからないものは分からない、そんな時は日本人のDNAの中に埋め込まれているあれです、あれ。そう誰もが持っている

”ジャパニーズ・スマイル”

 これってとっても便利、(^_^;)
A女史は「プラクティス、プラクティス」と言っていた。その通りだぜ。だけどそのときそう思っても、すぐに”のど元"過ぎちゃってねぇ、いかんねぇ。まあ、それもこれも楽しい思い出だね。

 そんなこんなで、全く渋滞することも無く名古屋まで到着。宿舎となるホテルは結構ちゃんとしたものである。S女史に「これからスタッフで飲みに行くが、一緒に行こう」と誘われ、行ってみても面白いかと思ったが、やはりお疲れさんのスタッフ同士、和気あいあいとやりたいだろうし、決勝を明日に控え体調を整えておきたかったのもあり、やんわりお断りした。ホテルではチェックインがどうなっているか心配だったが、さすがロックタイト、ちゃんとされているではないか。楽チンでいいねぇ。

「それじゃぁ、お疲れ様でした。明日は6時にロビー集合でお願いします」

 そして部屋について、長くいろいろあった一日の整理と、来るべく明日のすばらしい一日の準備を怠り無く過ごすのであった。う〜ん、几帳面な俺! まず風呂に入ってさっぱりしたところで、先ほどのパーティーでいただいた”おみやげ”を見てみる。

 「おおおぉ、帽子が入っている」
 午前中Uさんから貰ったものとは違うマクラーレンのマシンをかたどった刺繍入りの帽子だ

「おお、ステッカーがたんまり入っている」
 会員になったときにももらったから、今回のは友達へのお土産にしよう。

「おおおぉ、ブルゾンが入っている」
 パーティー会場でみんなが着ていたやつだ。俺は別途個人での鈴鹿入りだったから会場でもらったんだな。タグにはイタリア製と書いてある。おイタリアざますよ、オッホッホッホッ。最近寒くなったので着ているが(ちなみにこれを書いたのは真冬でした)、実に軽くてかつ暖かい。これの下には半袖ポロシャツで十分って感じだ。実際にそうしているけど、ぜんぜん平気だ。でもちょっと地味なデザインかも。マクラーレンは以前のマールボロ赤白からWestグレーグラデーションに変わってから、黒を基調にしたちょっとシック系(悪く言えば地味)になってサーキットでは生えないのだ。それに比べて、なんてったってフェラーリの赤は強烈だね。マールボロをメインスポンサーにつけてから、以前のイタリアンレッドから更に明るい赤になって目に痛いぞ。
「Tシャツもあるでよぉ」

太っ腹のロックタイト!





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