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■■■ 第23話【決勝当日】 ■■■

名古屋の朝はさわやかだった。

 5時過ぎに目がさめ、手荷物をチェックする。レンズは70-200mmに変更だ。400mmなんてかえって邪魔になりそうだもんね。70mm以下はコンパクトカメラに任せよう。フィルムもたっぷりあるぞ。デジカメの電池もまだまだ元気だ。

 6時にロビーに集合し昨夜と同じサロンバス2台で出発する。やはり俺の前に座っているのは、タイ敏腕セールスレディーのS女史だ。朝日を見ながらさわやかな気分で英語の練習とあいなった。高速は渋滞もなく、ひたすら順調に鈴鹿の町へ入ってきた。だんだん周りの景色がサーキットモードになってくる。いるぞいるぞ、グッズをまとったピーポーが。しかし渋滞も無くサーキットに到着するのにはちょっと拍子抜けだ。決勝ってったってそんなに混まないのね。なんと7時過ぎには、昨日公共バスで乗りこんだのと同じバス発着場に到着したのだった。そこからてくてく歩く。みんなで歩く、あるくあるく。

 昨日と違うのは、俺の首にぶら下がってさんぜんと輝く"パドッククラブ・パス”。「う〜ん、ほおずりしたくなっちゃぅ、すりすり」 メインゲートもこれで通過。話によると、このパスはサーキットのどのエリアでも入れるそうだ(指定席エリアにも入れるけど席はない)。

 さて、ついたところはメインスタンド前。ここでM事業部長から説明があって、M事業部長、フィリップ社長、昨日のメンバーゲスト藤沢さん、四国の代理店社長Kさん、大手M社の技術部長氏、ちょっと知らない人、と私の7人がパドック入り出来るそうだ。何で俺が選ばれたのだろう? M事業部長に「模型を実車に忠実に作ることが大好き」とか言ったからかなぁ? それともF1大好きなのが伝わったからかなぁ?

 さて、サーキットの内側にはどうやって入るのだろう? コースを横切るわけにも行かないし、ブリッジも無いし。答えは地下道だ。メインスタンドの中の仕切られたVIPロード(と呼ばれているかどうか分からないが、俺にはそう感じたぞ)を通って、地下道へと抜けていく。ここを歩いていたときには、スタンドからの熱い視線を感じたのよ、オッホッホッホ

地下道入り口にてフィリップ社長/後ろに見える”パドック専用通路”が嬉しい



 着いた先は”別世界の夢天国”って言う風には決して見えない。ただのその辺って感じ。いわゆるただのピット裏だ。しかし、断然違うのが、外人さんがそこらじゅうに闊歩していることである。「一人くらい俺のことを弟子にとってくれぃ」と心の中で叫んでも、誰にも俺からの怪電波は届かなかったようだ。

”パドック”という言葉が何を指すのかよく分からなかったが、マクラーレンからの小冊子を見ると以下のように思われる。

 海外F1観戦ツアーの広告には、”オプショナルツアーとしてパドッククラブが用意されています”、なんて載ってたりするが、マクラーレンの場合、お・金・払・っ・て・も・買・う・事・は・で・き・な・い・ら・し・い。すごいもんを手に入れたもんだ。手が震えてしまうでぇ。

 またどうでもいい情報であるが、社内のカメラ屋さんで先日退社した若者がいたらしい。伊豆にある実家のワサビ田を継ぐためらしいのだが、兄さんが継ぐべきはずだったのだが、仕事を辞めたくないらしく弟が継ぐ事になったらしい。その兄さんはなんとF1メカニックらしい。後日知り合いのカメラ屋に聞いたらフランスのチームだと。???プロストかな?なんともすごい話が近くに転がっているもんだ。



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