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■■■ 第33話【ナショナリズム】 ■■■

 前回のフィレンツェンのヘルメットを見て何か気がついた人も多いだろう。そうだ、ドライバーのヘルメットって国旗をイメージしている事がとても多いのだ。フィレンツェンもドイツの赤・黄・がモチーフだ。



 しかしこんなに近くにドライバーがいるなんてすごい、すご過ぎるぞ。どアップだぁ。肩には”SONY”のロゴ。儲かってまんなぁ、SONYさん。



 たとえばシューマッハ兄弟はフィレンツェンと同じく赤・黄・黒を基本にしているし、ハッキネンはフィンランドの水色・白、クルサードはスコットランドの紺地に白のクロス。古いところで言えば、マンセルはいかにものユニオンジャックだし、ベルガーはそのもののオーストリア国旗(赤・白・赤)、セナはブラジル国旗の緑・黄だね。


 そうそう、国旗と言えばこんな逸話があった。

それは俺が結婚して1年が経とうとしている92年の秋。かみさんとラブラブ(うそ)でわくわくしながら鈴鹿に行ったとき、大きなブラジル国旗と中くらいのユニオンジャックを買ってきたのだった。その時は予選のチケットしか取れなかったので、予選を見た後家に帰った。そして日曜日、かみさんと食料品を買い物に行った俺は、かみさんの「もう少し買うものあるから先に帰ってていいよ」に応えて、食料品をチャリの前カゴに乗せ、先に帰ってきた。時は2時ごろだったので、「ちょうど今ごろ鈴鹿で決勝だなぁ」と思いを巡らせ、セナ様とその年でF1を撤退するホンダに敬意を表し、社宅の窓から買ってきたばかりのブラジル国旗を掲げたのであった。社宅は3階に住んでいたので、ブラジル国旗は通りから良く見えたことだろう。そしてブラジル国旗は風になびき、いかにも気持ちよさそうだった。

でも気持ち良くないのはかみさんだった。

 買い物から帰ってくるなり目を吊り上げ、「何考えているのっ!」と俺を一蹴。1024分の1くらいに縮みあがった俺は、すごすごと窓から国旗を取りこませていただいた。あの30分くらいが、我が家のブラジル国旗が一番輝いていたときだった。そのブラジル国旗は今、ユニオンジャックと共に新居の階段で静かな余生を送っている・・・



 ところでピットロードではいわゆる”有名人”を見つける事が出来る。

 下の写真は99年からワンメイクとなったブリヂストンの顔、浜島さん(テクニカルディレクター)である。普段雑誌で見るとコロコロしてて人懐っこそうな顔をしているけど、さすがにチャンピオン決定直前となると渋い顔してるなぁ。タイヤトラブルでチャンピオン戦に影響が出たら大変だもんね。



 次なるひとは、ホンダの第2期参戦時(初期)に総監督していた桜井さん。今はホンダ辞めて"レーシングインターナショナル”っていう、今一つよくわからない会社の社長さんだ。セナとの交友関係は有名で、ロータスに乗っていたセナがホンダエンジン欲しさにこの桜井さんに直訴しに来たそうである。しかし、この桜井さんのあとに監督になった後藤さんもホンダ辞めて、マクラーレン→フェラーリ→ザウバーと渡り歩いているんだよねぇ。やっぱりF1の魅力に取り付かれたひとは、そこから離れられないのだろう。





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