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■■■ 第51話【さよならパドック】 ■■■

 だんらんも一息ついたところで、M事業部長がナイスな振りをしてくれた。「そろそろ行きましょうか。早く行って良く見えるところで見ましょう」

 う〜ん、その通りよ。「決勝前の確認走行まであと30分ばかりあるが、ピットボックスがもうぎちぎちに埋まっていたらどうしよう?」、と不安性な俺であった。実際もらったパスはどこでの観戦も出来るものだが、俺にとってはピットボックス以上の所は無い。早く行こうよぉ〜。

 マクラーレンのパドックはそのときで”さようなら”であった。18時クローズと書いてあったからまだまだ居ることが出来たのだろうけど。そして俺はといえば、「ここに来れることはもう無いだろう」と心で語り、涙の一滴が頬を伝わった・・・なんてことは無かったよ。しかしテーブルを去る際に、来たときから目に付けておいた"West”のボックスタバコを失敬してきた。89年にザクススピード・ヤマハのメインスポンサーになったときの、赤を基調としたレギュラーボックスと、現マクラーレンのメインスポンサーカラーとなっているシルバーを基調としたライトボックスだ。その89年参戦時は鈴木亜久里がドライバーだったけど、全戦予選落ちなんて不名誉な記録が残っているっけ。

 俺は以前タバコを吸っていたが、今では完全ノンスモーカーだ。ヘビーなF1ファンはスポンサー関係の商品を良く買ったものだ。F1スポンサーのタバコあれこれ。マールボロ、ジタン、ロスマンズ等々。



 あと何だか分からないが、テーブル上のかごに何か入っていたので、これまた失敬してきた。とりあえず貰えるものは貰っとけ、の精神だったが、これがマクラーレンのマシンをかたどったピンバッチであるのに気がついたのはしばらく後の事だった。知ってればもっと貰って来たのに・・・





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