■TOP > アジアンワールド > いよいよメイカーズスペースに潜入

■■■ いよいよメイカーズスペースに潜入 ■■■

 今回の中国行きの目的の一つに「メイカーズスペース」の見学があった。ハードウエアのシリコンバレーとかシリコンバレーの10倍のスピードで動く深センとか、いろいろ言われてるが、その中心にメイカーズスペースがあることは間違いない。巨万の富を築いた投資家が格安で作業場や設計スペースや諸々の機材、工作機などを提供して、何か新しいものを生み出そうとしているのが「メイカーズスペース」である。

 その昔はスティーブジョブズがそうだったように家のガレージがその役を担っていたのだが、それがWEBと新世代造形技術などによって、誰でも個人で製造業者(メイカーと呼ばれメーカーとは区別されるらしい)になれるということ。そのサポートが最も手厚いのが中国深センであるのだ。

 となれば、日本でメイカーっぽいことを初めている同行某氏はそこを見ないわけにはいかないとなって、今回の1日ツアーとなった。

 しかしいきなり自分たちだけでそんな暴挙を遂行できるわけではなく、深セン華強北を隅から隅まで知っているという某ガイド氏を雇い、代表的なメイカーズスペース3か所を回った。おまけにドローン購入の値切り担当にも任命した。

 今回はこの某氏の交友範囲でメイカーズの中に潜入し、あるところでは責任者と話をし、あるところではそこを拠点としている社長と話し、あるところでは日本でも有名な日本人駐在デスクで日本の方と話し、という潜入であった。内部の撮影は可能であれば行ったが、公開していいのか?が定かではない。なので、今回の写真公開は限定したものになってしまうことを宣言しておこう。



■■■ x.factory ■■■

 深セン華強北から西へ20km弱行ったところにあるのがx.factoryであった。まだ周辺が造成している中、スロープ状になった半地下みたいなところにあるのだがが、そこに行くまでがナイスな導入路になっている。対応してくれたのがここを任されている?のは20歳そこそこの小柄な女性であった。今回訪問した3か所の中では、一番工作機械が充実していた。その工作機械は認定を受けた人しか利用できないとのことだが、定期的に講習会などが開かれており、それを受ければどんどん利用できるらしい。クラフト野郎の私から見たら、よだれが垂れまくるような機械がたくさんあって、ちょっと血圧が上がった。


◆半日レンタルタクシーを降りたそこがx.factoryであった。建物がある感じがしないのであるが、傾斜地に建っているようである。できたばっかりのようで、偉くきれいである。

◆下っていく。このお茶葉のような緑が清涼感を誘うのであった。




◆x.factory潜入。

◆まず文民スタッフのところから。フリースペースのような配置がメイカーズの特徴でもある。テーブルにはスプレーで「INNOVATE」とあるぞ。




◆飲食もフリースペースでできちゃうみたい。つまり極端なこと言えば暮らせちゃうじゃん。

◆顔が映らないような角度で配慮してみる。この女性がここを仕切っている方である。若い。




◆色々な工作部屋があったが、ここは私の領域である3Dプリンターが並んでいた。すべて安価なFDMであったのは残念。他の工作機械や高価なのがバンバンあったように、やはりアクリル系のインクジェット3DPがあるとよかった。

◆壁に掲げられているのは、x.factoryに登録しているメイカーパーソンである。まだ50人程度であったが、100人程度までしか受け入れないとのこと。ツアコンしてくれた方はココに登録されていた。現在日本人は3名である。



 見学が終わって何となくパンチが無い状態だったので、昔こんなものを作ってましたよ・・・とちょっとした動画を見せた。その刹那、ここの責任者女子の顔が変わって、メイカーズフェアーに出さないか?ここでやらないか?などのお誘いを受けた。メイカーズを3か所見たわけだが、どこもびっくりするような開発をやっているわけではない感じで、ちょっといいアイデアで勝負したら、それなりな反応が得られそう、と思った。自信がある人はぜひ半年くらい行って来て、何か作ってくるのが良いと思うぞ。



■■■ GALAXY INCUBATOR ■■■

 深セン華強北から北に少し行ったところ。森の横にある丘陵上にあるのが星河インキュベーションである。リッチなグループの一部(と言ってもだいぶ広いスペース)を間借りしているようなところで、丘の上からの眺めと言い、瞑想できる寺院といい、裏には旧ゴルフコースといい、働く環境としてはすこぶるいいぞ。


◆どこに行っても建物はばっちりである。新しく中国人が建てるとなれば、それりゃすごいものになるのは当たり前なのですな。

◆深セン・グローバルICTセンターなる組織がメイン母屋のようだ。




◆でも中に入ると、こういったフィギュアが延々と飾ってあったりする。もしかしてフィギュアを主体にしている会社?と思ってしまう。

◆廊下の一角に深セン周辺のメイカーズマップみたいなのがあった。もうメイカーズだらけである。これだけ裾野が広くて若いのが多くちゃ、勝てませんな。




◆メイカーズエリアはひたすら広い。

◆延々と続くメイカーズエリアである。




◆ちょっと外に出てみれば、とメイカーズスペースの某社長氏に言われ行ってみたら、人造湖があった。でもその「ちょっと見てみれば」はそこではない。

◆実はゴルフコースを買い上げ、検討スペースにしている模様。周近平政権になって、ゴルフなんて贅沢はやめい・・・と言われたとか言われないとかで、ゴルフ場が減っていると言っていた。




◆でかいドローンの検討をしていた。2mくらいはありそうなドローンがピタッと停まっていると迫力ある。警察用のドローンだそうな。

◆こっちは白機体。もうドローンは中国っていうのが一般的になったね。すごいね。早く手掛け投資を続けるとこうなれるいい事例。




◆この星河インキュベーションの横にはお寺があった。平日だったりするからかぜんぜん人がいないのでじっくり見れた。

◆やっぱお寺はいいね。。




◆この造形物はかっこいいね。マジでまとめて欲しかったりする。

◆大仏様。大仏ってなんで金なんだろう?




◆もっと大きな大仏様。

◆さらに大きな涅槃仏(ねはんぶつ/スリーピングブッダ)がいた。おもしろいよね、寝ているところだよ。タイのワットポーに行ったときはあの巨大な涅槃物にびっくり仰天だったぞ。





■■■ Seg Maker+ ■■■

 最後に行ったのは華強北ホテルすぐそばのパーツやビル12階にある、日本でも有名なSeg Maker+である。これは「ニコ技深セン観察会」などで何度も取り上げられているメイカーズである。我らが言ったときにはシオシオさんが対応してくれた。ブースとしては日本人用5席が確保していた。深センにちょっと滞在して何かやりたいときは言ってくれれば使えますよ・・・とのこと。


◆実は泊まったホテルの斜め前にあったのだった。この建物の12階である。

◆受付「風」なところがあった。




◆日本関係としてまとまっていた。有名なのがこの「ニコ技深セン見学会」である。ググればいくらでも記事が出てくる。

◆こういう本を書いた人たちと近いこの場。




◆価値創造ですな。まあ会社でもよく言われるけど、真剣に考えている人はまずいないね。

◆工作室は「FAB LAB」と呼ばれていますな。工作系の設備としてはx.factoryの方が充実していた。




◆x.factoryと比べると小規模な工作エリアである。でも電気系の設備が充実していたような・・・

◆この後ここでみんなで記念写真を撮った。そんなスペースに使われているのは明らかである。



■■■ 自転車 ■■■

 中国のすごいのは、なんでも「やってみる」ことである。そしてそれをよしとする文化であろう。日本はやる前にあれこれ考えすぎる、というか考えないことを許さない。始めるときは完璧を目指す文化だ。アメリカや中国はまずやってみて、ダメならダメなところを変えよう・・・である。さて結果がどうなるか?おのずとお分かりだろう。新しいことは日本では生まれず、何かやろうとすると既存の規制で縛られ、既得権益を持つ人たちに邪魔される。差は広がる一方だ。

 さてそんなことを書いたのも、あっという間にシェアサイクル「モバイク」が広がったのが上記の背景があるからだろう。x.factoryにもシェア傘の自販機風設備があった。今のトレンドは自分でもつことなく、その時だけ使えればよい・・・である。

 「モバイク」を調べるために著tとググったら、上記の本を書いた高口氏のニューズウイークにアップされた記事がでてきた。中国を馬鹿にしていると知らぬ間に追い抜かれるぞ、というかもうたくさん追い抜かれているよ、と。

中国シェア自転車「悪名高きマナー問題」が消えた理由


◆このQRコードを読み込んでWeChatで1元(16円くらい)払い込めば使えちゃうっていう気軽さ。どこに乗り捨ててもいいらしい。

◆WえChatで解除コードが送られてきて、その番号を入力すればよいのである。楽チン!




←前に戻る ↑ 目次へ 次に進む→